何が採用の決め手になるの?面接、試験、スキルなど合否の分かれ目を徹底解説

2017年01月23日

採用の基準ってあるの?

履歴書イメージ

採用試験には、筆記試験や面接がありますが、結局何が決め手になるのでしょうか。
たくさんの応募者の合否を判断している面接官の心理はどのようなものなのでしょうか。
今回は、人材紹介・再就職支援などを手掛けるパソナキャリアカンパニーのキャリアアドバイザー・井上佳美さんに、誰もが気になる「採用の基準」について聞きました。

履歴書の志望動機欄、自己PRの使い回しは
面接官に見抜かれてしまいます!

応募の第一関門が書類選考であることは、言うまでもありません。Webのエントリーであっても、試験や面接の際には、書類を持参するように求められることも多いと思います。履歴書・職務経歴書におけるマストは「整合性」。複数の企業に応募する場合、志望動機や自己PRを使い回さずに、応募企業に合わせた内容にすることがベストです。

最近は、パソコンで書類を作成する人がほとんど。そのとき特に注意したいのが、志望動機の欄のケアレスミスです。例えば同じ「経理事務」の応募で、いろいろな企業を受けるというときです。職種に対する志望理由が同じになっても、A社は国内取引が主、B社は国外取引が主であった場合、コピー&ペーストで作成をしているうちに、A社向けの内容をB社に提出する書類に貼りつけてしまう、といったことが起こりやすくなっているようです。

応募する企業の業種や職種が似ているから、社名や部署名を書き換えれば使い回せると思っている方もいるかもしれませんが、企業の人事担当者は実に細かいところまで確認しているので、少しでも不自然な部分があったらすぐに見抜かれ、一貫性がないと判断されてしまいます。ご自身で応募するときには、細かなところまで応募先に合った内容か、きちんと確認をしましょう。

また、数字一つの間違いでも信用にかかわります。当たり前のことですが誤字脱字も同様です。書類は作成したら1日寝かせて、翌日に落ち着いてもう一度見直すとよいでしょう。添付の顔写真についていえば、自撮りはNG。必ずジャケット着用で証明写真を撮影しましょう。

志望動機は「なぜこの会社でなければならないのか」を

また志望動機の欄に「御社の理念や社風に共感し…」「御社の事業内容に興味を持ち…」「○○の業務の経験を活かし…」といった、ほかの企業にも使えるような、汎用的な表現を使うのは極力避けましょう。担当者は何百、何千もの応募書類に目を通しているので、ありふれた言葉で埋め尽くされた履歴書は見送られてしまいます。

担当者は、志望動機から何を知りたいのでしょうか。それは「なぜこの会社に応募したのか」に尽きます。例えば人事職の応募に対して、同じく人事職を募集している会社はいくつもある中、なぜこの会社を選んだのか。そしてこれまでの経験やスキルを活かして、会社にどんな貢献をしてくれるのかを知りたがっています。事業展開?仕事内容?それとも、社員が生き生きと働いている姿を見て心を打たれたのか、会社のどんな点に魅力を感じているのか、その理由を具体的に知りたいのです。そしてその理由が、その会社でなければいけないものであることが肝心です。志望動機では、応募者の意欲が見られているため、自分の言葉でしっかりと思いを伝えましょう。

志望動機に書いてはいけないのは、単に「福利厚生が整っているから」という表現。福利厚生や待遇にフォーカスし過ぎると、自発的ではなく、他力本願に見られてしまいがちです。あくまでも企業や仕事の内容について書くことが鉄則です。

採用担当者に「会いたい」と思わせる書類を作成しましょう

志望動機は確かに重要ですが、履歴書に志望動機欄がないもの、もしくは自己PR欄になっているものを選ぶという選択肢もあります。志望動機は面接で直接伝えることができますし、第一段階の書類選考では、「応募に足るスキルを持っているかどうか」を見られることが多いです。転職においてはそれまでのスキルや経験値を表す、職務経歴書がアピール材料となります。どのような会社で、どんな仕事をどのように工夫し、どう成果をあげたのかという「実績」を、担当者は書類で判断したいのです。

やってきたこと、書くことが多い人は分かりやすく、見やすくして2枚程度、多くても3枚までにまとめましょう。担当者は見慣れているので、内容が多くても職務経歴書はしっかり読み込んでくれます。自己PRも含めて自分の強みは何か、自分が会社に入ったらどう貢献できるかを具体的にイメージしてもらえるように、数字や具体的な実績を盛り込みましょう。

履歴書・職務経歴書は自分の基本情報を企業に伝える入口です。「詳しいことは面接でアピールしよう」と思っても、書類選考が通らなければ始まりません。まずはここを突破することを目指し、担当者に「この人に会いたい」と思わせるような書類を作成することが重要です。

適性検査などの試験はただの「参考資料」ではありません

採用選考の途中で適性検査、筆記試験があることがありますよね。これは選考の一つとして参考にするためのもの?合否に影響があるの?と不安な気持ちになった方も多いかもしれません。結論から言えば、大いに影響します。

一般的にはSPI試験と適正検査を行う企業が多いですが、企業が独自で作成したものを行う場合もあります。そして、一定の基準に満たないスコアの場合は不合格となる場合もあります。職務経歴書の内容がどんなに素晴らしくても、この試験の基準をクリアしないと面接にはたどり着けません。選考の一つと捉え、しっかり準備をしましょう。

基本対策としてできることは、まずSPI試験の問題集を1冊購入して解くこと。これは慣れることが大切なので、一度は必ず解いておきましょう。そして、時事ネタ、政治経済などの動向は社会人の一般常識として知っていることが前提です。普段からニュース、新聞などを読んで、しっかり情報収集をしましょう。

適正検査は業種・職種にもよりますが、担当者が「この人が社風に合うか」「実際の業務に合うか」の判断材料にするケースが多いです。自分を良く見せようとして正確に回答しないと、あとで不整合が出て、担当者に不信感を与えてしまったり、誤った印象を与えてしまうこともあるため、素直に答えましょう。

もちろん面接も大事な採用選考ではありますが、その面接にたどり着くまでの履歴書・職務経歴書や試験も重要だということがとてもよく分かりますね。一つ一つに入社への意欲を込め、丁寧に取り組みましょう。そうすれば自ずと面接対策もスムーズになるはずです。
株式会社パソナ パソナキャリアカンパニー 人材紹介事業部門 キャリアアドバイザー 井上佳美さん

(取材協力・監修)
株式会社パソナ パソナキャリアカンパニー
人材紹介事業部門
キャリアアドバイザー 井上佳美さん

管理系職種全般(人事・総務・法務・経理・経営企画など)を担当。求職者の方々に寄り添い、長期的なキャリア形成ができる転職になるよう、きめ細かなサポートを心掛ける。