U29(ユニーク) 女子プロジェクト

U29女子の皆さん、時には「流されて」みませんか?

今や、女性が社会に出て働くことは「当たり前」。 U29女子のほとんどは、企業勤めやフリーランスなどとして、男性と同じように仕事をしています。一方で悩ましいのが、「キャリアプランを描きづらいこと」。
これだけ社会進出する若い女性が増えたのに、まだまだ、多くの企業は女性のライフイベントに伴う働き方に、柔軟な対応をとれていないのが実情です。だから、女性は男性よりも、未来像が描きづらい。どうすればいいのでしょうか。今回は、U29女性に必要な「流される勇気」について考えてみたいと思います。

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北条かや(ほうじょう・かや)
1986年金沢生まれ。同志社大学社会学部、京都大学大学院文学研究科修了。著書に『こじらせ女子の日常』『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆のほか、TOKYO MX「モーニングCROSS」などに出演。Twitterは @kaya_hojo 、FBページは こちら 、ブログは「コスプレで女やってますけど 」。(撮影:青山裕企)

 

 

 

 

女性社長=バリキャリではない

先日、ある女性社長(Aさん )に話を伺う機会がありました。彼女が手がけるのは、平均30代後半の大卒女性たちと、企業をマッチングする人材サービス。

「私は大学卒業後、20代から30代前半を雑誌記者として過ごしました。会社員としての仕事はやりがいもありましたし、独立起業は、考えてもいなかったんです」(Aさん)。

え、そうなの? 女性起業家といえば、「やりたいこと」を追いかけて、満を持して独立するバリキャリ系だと思っていた私は、少し拍子抜けしました。

 

30~40代になるにつれて、難しくなる「働き方」

Aさんの考えが少しずつ変わり始めたのは、女性のキャリアを支援する雑誌を手がけるようになってから。

「多くの働く女性を取材するなかで、20代のうちは環境を気にせず、バリバリと働けても、
30代半ば以降になると、女性は、結婚や出産、家事育児の負担に、夫の転勤などが重なって、やりがいをもって働いていた仕事を辞めざるを得なくなる女性もたくさんいる。『彼女たちをなんとか支援できないか』と考えるようになったんです」(Aさん)

確かに、働く女性を取材していると、「年齢の壁」があると感じます。たとえば、営業職。ある大手企業に聞いたところ、入社して10年たつと、「営業職の女性」が、新卒時の10分の1に減っていたそうです。

営業はまだまだ、男性社会。そんな中で、管理職としての未来像を描けなかったり、忙しすぎて「結婚や出産を考えられない」と悩んだりして、別部署へ異動する女性もいるそう。将来への不安を抱えるU29女子は、多いのではないでしょうか。その思いは、かつて会社員だった私にも、痛いほど理解できます。このまま働いても、先が見えないと感じていたのです。

 

人生観は偶然変わった

今、フリーランスとして働いている私も、会社を抜け出すときは不安でした。仕事が辛くて、ほとんど何の経験も積むことなく辞めてしまったのです。「本当に自分がやりたい、文章の仕事をしよう」と思っても、スキルもない。ライターとしての最初のギャラは、1ヶ月にわずか「2000円」でした。ところが、なんとなく、好きなツイッターやブログで発信を続けているうち、ある編集者さんから偶然、「別の編集者さんが私のツイッターアカウントをフォローしている」と聞き、書籍の企画書を送ってみたところ、出版が決まったのです。その書籍の出版をきっかけに、これまた偶然、連載のお話をいただき、何となく流れに身を任せて仕事を受けているうちに、今に至ります。若いうちは、とにかく偶然の出会いに身を委ねることが大事だなと感じます。
Aさんも、「女性のキャリアを支援したい」という、漠然とした思いを抱きながら、在職中にキャリアカウンセラーの資格を取ったそうです。

「安定した会社員を10年以上やっていると、環境の変化には臆病になります。でも、2011年の東日本大震災で、人生観が変わった。一度きりの人生、自分がやりたいことをやって、後悔しない人生を送りたいと思ったんです」(Aさん)

独立した彼女は、出会う人、出会う人に、「自分がやりたいこと」を話したそう。そうしているうちに、偶然、今の創業メンバーと出会い、会社を起こしたそうです。

 

キャリアの8割は偶然で決まるから、今すぐ決めないでもいい

Aさんが会社を辞めたのは、たまたま女性誌の記者として配属された、というできごと、震災というできごと、創業メンバーとの偶然の出会いなど、多くの「偶然」に満ちています。彼女は言います。

「キャリアの8割は偶発的に決まる、という言葉があります。それを聞いて、私はとても安心しました。自分のこれまでを振り返ってみても、『偶然』の大切さを実感しています」

そう、何が将来の自分をつくりあげるか、わからないからこそ楽しいのです。U29世代の皆さんも、ときには、偶然の流れやできごとに、身を任せてみるのもアリではないでしょうか。今すぐに「何歳で◯◯をして、何歳で◯◯になって……」と、完璧に決めなくてもいい。キャリアの8割は、偶発的なできごとによって決まるのです。もしかしたら、明日の出会いが、3年後の自分を作っているかもしれません。

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