2017年に「103万円の壁」が取り払われる? 配偶者控除がなくなると夫婦の働き方はこう変わる!

2015年12年16日

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夫が支払う税金が、扶養に該当する妻がいることにより低くなる「配偶者控除」。この制度が2017年を目安に廃止され、代わりに「夫婦控除」を設けることが検討されています。
「夫婦控除」が導入された場合、夫婦の働き方はどのように変わっていくのでしょうか? また、この変化に伴い、U29世代はどのような心構えをしておけば良いのでしょうか?税理士の武田美都子さんに分かりやすく教えていただきました。

「配偶者控除」とは?

まずは、「配偶者控除」についておさらいしておきましょう。

「働く人は所得税や住民税を納める義務がありますが、これらの税金は、1月から12月までの一年間の収入を元に計算されます。この計算は一人単位で行われます。
そして、年間の医療費や、扶養家族の人数など、事情に応じて税金が低くなる仕組みがあります。そのなかで、扶養している配偶者がいる場合は、税金を安くしますよというのが、“配偶者控除”です」(武田美都子さん/以下同じ)

この「配偶者控除」は、どのような条件で適用されるのでしょうか?

「妻が働いていない、あるいは妻の給与年収が103万以下であれば、妻は扶養家族に該当します。よって、扶養している人(夫)の所得税の計算は、配偶者控除の38万円を引いて計算されます。つまり、夫の年収が同じであっても、妻が働いて103万以上の年収がある場合とない場合では、ない場合のほうが、夫が納める税金が下がることになります」

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新しく検討されている「夫婦控除」とは?

「妻がパートなどで年収103万以上稼いでしまうと、家計に響くのを懸念して、扶養の範囲内で勤務調整をされる方が多いのが現状です。

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女性の活躍躍進を推進している政府は、この女性の勤務調整を問題視しています。本来、活躍できる女性がたくさんいるにもかかわらず、税金の問題でそれが抑制されているのではないかと思われるからです。そこで、妻の働き方で夫の税金が左右されることがないよう、配偶者がいるのであれば一定の額を引いて計算をするという“夫婦控除”が提言されました」

夫婦の働き方はどう変わってくる?

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「配偶者控除」が廃止され、「夫婦控除」に代わった場合、夫婦の働き方はどう変わってくるのでしょうか?

「妻の働き方で夫の税金が左右されることがなくなるため、年収を103万以下に抑えなければと思われる方は減少すると考えられます。家計を気にせず、働きたいだけ働いてもいいので、女性の仕事に対する自由度は増すでしょう。またパートではなく、フルタイムの勤務を希望される方も増えるのではないでしょうか」

例えば、配偶者控除を受けるためには、時給900円で働く場合、6時間勤務であれば週3日程度、8時間勤務であれば週2日程度に抑える必要があります。しかし、夫婦控除が適用されれば、週5日勤務やフルタイム勤務も可能になり、時間や日数などの働き方の選択肢が増えるだけでなく、仕事内容にも変化がありそうです。

また、夫婦控除は、女性を雇う企業側にとっても、次のような変化があるといいます。
「現行の配偶者控除を意識して、年収103万以下に抑えて働きたいという希望を持っている方は、勤務時間等に制限が出てきます。つまり、配偶者控除は、企業の生産性等に影響を与えている部分もあるのです。
よって、 “夫婦控除”に移行することで人々が勤務調整を行わず、働きたい人は自由に働けるようにして、女性にさらに各企業でも重要な仕事を継続的に任せられるなど、大いに活躍することを期待しています」

U29世代の女性は、どのような心構えでいれば良い?

U29世代の働く女性として、未婚・既婚関わらず、次のような心構えでいると良いと武田さんは語ります。

「配偶者控除から夫婦控除に変わることによって、税金の面では、結婚を機に正社員からパートへといった、働き方を変える必要がなくなっていきます。
また今まで夫が配偶者控除を受けるために自身は勤務調整をしていた、という方の中には、正社員を目指す方も出てくるかもしれません。制度上、結婚によって女性の勤労意欲が阻害されるというようなことはなくなっていく方向です。また、女性の活躍する場も増えることでしょう。働く側も、雇う側も、充実度が上っていく就労状況になるのではないかと期待しています」

U29世代の女性も、長く働いていくための準備を少しずつ進める、就業中の方は「今の仕事は結婚後や出産後も働き続けられるのだろうか」ということを見直してみるなど、「仕事」というものを捉え直して、自分らしく働く方法を見つけていく必要があるかもしれませんね。

まとめ

これまで、配偶者控除を気にして勤務時間を抑えていたという人も、自身の年収にかかわりなく、夫婦の所得から一定額を控除する「夫婦控除」が制定されれば、「103万の壁」を意識せず働けるようになります。
「103万の壁」がない中で、もう一度自分の人生設計を見なおしてみましょう。あなたが進むべき新たなキャリアの方向性が見えてくるかも!?

 

(プロフィール)
武田美都子
税理士(平成14年税理士登録)。武田美都子税理士事務所所長。
(株)たっくす・こんしぇるじゅ(本社:東京港区)代表取締役。
通常の税理士業務のほかに、大手百貨店等の依頼を受け女性向けセミナーを多数行っている。朝日放送テレビ、ABCラジオ、雑誌等メディアにも多数出演し、著作「はんなり美人のお財布術~上手にためて賢く使う」は日経新聞や産経新聞等にも掲載。また元銀行員という経歴を生かした経営企業アドバイス、資金繰りアドバイス、女性を対象としたマネー診断やお財布セミナーなど、専門家としての正確な情報をわかりやすく面白く伝えるのが人気であり盛況である。