妻の働き方で変わる、65歳までに貯めるべきお金

2017年10月02日

年金だけじゃ心細い?夫婦の老後には、いくらの貯蓄が必要?

少子高齢化が進み、年金だけに頼れない昨今、「結婚後も働いて老後に備えたい」と考える人は多いでしょう。夫婦共働きの場合でも、正社員・派遣社員・パートなど、妻の「働き方」によって、もらえる年金額や貯蓄額も大きく変わってきます。

安心して老後を送るためには、夫婦でいくら必要なのか、働き方によって老後資金がどのくらい変わってくるのか、株式会社Money&You代表のマネーコンサルタント・頼藤太希さんに教えていただきました。

 

夫婦ふたりで貯めるべき金額をシミュレーション!

老後に夫とふたりで生活していく場合、今の夫婦の年収で必要資金がどれくらいまかなえるのか、また今から毎月どれくらい貯金しておくべきか、シミュレーションしてみましょう。



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●結果

・夫が65歳になるまで、夫婦ふたりで貯めておくべき金額:

・夫の年齢があなたより上で、夫が90歳で亡くなった後の老後資金:

・夫が65歳になるまで、毎月貯めておくべき金額:

※65歳まで働き、90歳まで生きた場合で計算
※国民年金保険料の未納していない前提
※2016年12月14日に成立した「年金制度改革関連法」により、将来もらえる年金は現在の年金支給額の6〜7割程度になると想定されています。

 

夫婦ふたりの老後資金、65歳までに貯めたい金額は【約2316万円】

総務省が発表した「家計調査報告(平成28年)」によると、65歳以上の無職夫婦世帯では、最低限の生活をするための1か月の支出は毎月約26万8000円(全国平均)だといいます。

一方、もらえる年金など、夫婦の1か月の収入(社会保障給付+その他:不動産や年金保険など)は約21万3000円(全国平均)なので、毎月約5万5000円が不足していることに。

ふたりとも90歳まで生きると仮定し、65歳から90歳までの26年間で約1716万円の不足、さらに医療・介護費など、もしものお金を夫婦で600万円(1人300万円)プラスすると必要な貯蓄額は約2316万円に。これは持ち家の想定なので、賃貸住宅やローンの返済が残っている場合には、さらに住居費が支出に加わります。

では、上記の支出金額をベースに、妻の働き方によって老後資金がどう変わるのか、見てみましょう。

 

夫が正社員+妻が正社員のケース―夫の年収539万円・妻の年収367万円※1と想定、持ち家の場合

老後夫婦の1か月の収入が約30万4000円(夫の年金約16万9000円、妻の年金約13万5000円)、1か月の支出が約26万8000円とすると、毎月約3万6000円のプラス

もしものときのお金を差し引いても、ふたりが正社員で働き続ければ、比較的ゆとりのある生活を送れるといえるでしょう。

ただし、1か月の支出、約26万8000円はあくまで最低限の生活に必要な額なので、趣味や娯楽のための資金は別途備えましょう。

 

夫が正社員+妻がフルタイムの派遣社員のケース―夫の年収539万円・妻の年収286万円※1、2(厚生年金加入)と想定、持ち家の場合

老後夫婦の1か月の収入が約28万9000円(夫の年金約16万9000円、妻の年金約12万円)、1か月の支出が約26万8000円とすると、毎月約2万1000円のプラス

もしものときのお金を差し引いても、いくらかゆとりのある生活を送れるといえますが、派遣社員の場合、正社員よりも、長く働き続けられる可能性が低い点に留意が必要です。知識・スキルを磨き、必要とされる人材であり続ける努力が必要になります。

 

夫が正社員+妻が扶養範囲内のパート・アルバイトのケース【約1661万円】―夫の年収539万円※1・妻の年収103万円(夫の扶養)と想定、持ち家の場合

老後夫婦の1か月の収入が約23万4000円(夫の年金約16万9000円、妻の年金約6万5000円)、1か月の支出が約26万8000円とすると、毎月約3万4000円の不足

これらを踏まえると、
・65歳~90歳の不足分生活費:3万4000円×12か月×26年=約1061万円
・もしものお金(医療費など):600万円

1061万円+600万円=約1661万円 が必要となります。

妻がもらえる年金額は基本、専業主婦の場合と変わりませんが、妻に収入があればその分貯蓄に回せるので、老後資金の準備には大きく役立ちます。

※各ケースは65歳まで勤め上げ、退職金なしの場合。
※賃貸住宅の場合は支出に家賃を計上。
※2016年12月14日に成立した「年金制度改革関連法」により、将来もらえる年金は現在の年金支給額の6〜7割程度になると想定されています。

 

どうやって必要な金額を貯めたらいい?

とにかく、早いうちから老後資金を意識して、毎月お金を貯めていくことが大切です。

貯蓄の方法には会社の財形や個人年金、節税効果が期待できる個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)などもいいでしょう。共働きなら夫婦共に加入するとさらに◎。

夫婦ふたりで長く働けば、余裕をもって老後の準備ができそうですし、妻が専業主婦からパートに、派遣社員から正社員へと働き方をシフトすることでも変わってくるでしょう。
結婚後の働き方は、老後の年金額だけでなく、月々の収入や貯蓄額にも影響するので、この点も意識してみてください。

 

このように、夫婦の老後資金は「妻の働き方」で大きく変わってきます。

女性の場合、出産・育児などのライフイベントも控えているので、どうやって貯めていくのか、今からしっかり計画を立て、早めに貯蓄を始めましょう。

記事監修:頼藤太希

株式会社Money&You代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に株式会社Money&Youを創業し、現職へ。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場『FP Cafe』を運営。メディアなどで投資に関するコラム執筆、書籍の監修、講演など、日本人のマネーリテラシー向上に努めている。著書は「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法」(河出書房新社)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。

※1:国税庁「平成27年分 民間給与実態統計調査」より
※2:厚生労働省「平成27年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」の労働者派遣事業の賃金をもとに240日で計算

※この記事は2017年9月時点での情報です。