結婚に出産……女性のライフイベント、どれくらいかかる?

2017年09月20日

20代の独身生活では、まだ「将来のための貯蓄」について真剣に考えることも少ないかもしれませんが、30代が近づくうちに、「結婚に出産……この先お金ってどれくらい必要なの?」と、漠然と不安を抱く方もいるでしょう。

今回はマネーステップオフィス株式会社代表でファイナンシャルプランナーの加藤梨里さんに、「結婚」や「出産」など女性のライフイベントに関わる費用や無理のないお金の貯め方についてお話をうかがいました。

 

結婚、出産、保育園……いくらかかる?

それでは、女性のおもなライフイベントにどれくらい費用がかかるのか、それぞれ見ていきましょう。

結婚費用
挙式と披露宴・披露パーティの全国平均金額(推計)は約360万円。結納や新婚旅行などの費用を含めると、平均して約470万円かかります(※1)。とはいってもこれはあくまで平均値。挙式や披露宴の規模・形態、新婚旅行の行き先によって大きく抑えることも可能です。

新生活を迎えるための費用
結婚後、家具や家電の購入など、新生活の準備にかかる費用は平均で72.3万円。さらに、新居を構えるのであれば、引っ越し費用も含めて約100万円程度は必要になりそうです(※2)。ただしこの費用も、それぞれの考え方や生活スタイルによって異なります。新しいものをあえて購入しない、どちらかの部屋で新生活をスタートする、などで費用は抑えられます。

※1 リクルートブライダル総研「ゼクシィ結婚トレンド調査2016」より
※2 リクルートブライダル総研「ゼクシィ新生活準備調査2016」より

出産費用
全国の出産費用の平均は約49万円(※3)となっていますが、健康保険に加入していれば、出産育児一時金として赤ちゃん1人につき42万円が支給されます(※4)。ただし、産科医療補償制度(※5)に加入していない医療機関等で出産した場合などは、支給額が40万4000円になります。

出産育児一時金を受け取れば、出産に関わる平均的な自己負担は実質的に7万円ほどになりますが、出産に伴ってかかる諸費用、たとえば個室の差額ベッド代や、入退院時の交通費、お見舞いに来る家族の交通費、出産祝いへのお返しなどは個人差が大きい部分です。思いのほか膨らむことも考えて、20~30万円ほど用意しておくと安心です。

※3 厚生労働省保健局「出産育児一時金の見直しについて」より
※4 厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について」より
※5 医療機関等が加入する制度。加入機関において制度対象となる出産をして、分娩時に重度の脳性まひとなった場合に、赤ちゃんと家族の経済的負担を速やかに補償するもの

保育費用
出産後も働く女性にとって必要不可欠なのが保育園。保育園の費用のかかり方は、認可・無認可によって大きく異なります。認可保育園の保育料は各自治体によって設定され、おおよそ世帯収入に応じて決まります。各自治体に保育料の資料があるので、どれくらいかかるのか事前にチェックしておくといいでしょう。

無認可の保育園の場合は、園ごとに保育料が異なります。フルタイムで預けると月に10万円前後と高額になるところもあり、お住まいの地域や年収にもよりますが、一般的には認可保育園よりも負担が大きくなるケースが多いようです。ただ、英語や音楽、体操などの教育に熱心で、保育サービスが充実しているといった独自性が高い保育園も少なくありません。また、認可保育園は原則としてお住まいの自治体内の園にしか入園できませんが、無認可保育園は地域を問わず入園できるところが多くなっています。認可保育園とともに、お近くの保育園の情報も確認しておくといいでしょう。

認可保育園・無認可保育園 それぞれのおもな特徴

■認可保育園(認可保育所)
・国が定めた設置基準を満たし、都道府県知事に許可された施設(公立、私立を問わない)
・施設に対する公的補助が大きいため、保育料が比較的安い
・利用者が負担する保育料は世帯収入に応じて決まる(同自治体内の認可保育園なら、どの施設でも保育料は同じ)
・原則として、在住、在学、在勤の自治体の施設にのみ入園できる
・入園申し込みは自治体へ行い、保育の必要度が高いほど優先的に入園できる

■無認可保育園(認可外保育園・保育所)

・児童福祉法等に基づく国の認可を受けていない施設の総称。都道府県の基準を満たしている施設、小規模な保育サービス、ベビーホテル、深夜に開所しているなどさまざまな形態がある
・保育料は各施設が設定する。公的補助がないところが多いため、認可保育園に比べると高額なケースが多い
・入園条件は各施設が設定するのが原則(必ずしも共働きでなくても入園できる場合がある)
・入園申し込みは各施設に直接行う

 

必要なお金はどうやって貯める?

結婚や出産など、将来のライフイベントにどれくらいのお金がかかるのか、まずは相場を知っておくことが大事です。それに対し、自分が求めるイメージがあればそれに基づいて、貯金の目標額を設定します。

たとえば「ハワイで結婚式をあげたい」「子どもが生まれたら保育園に入れたい」など、目的が明確になればそれにかかる費用がわかります。現時点での貯金額を確認し、足りない分が貯めるべき目標額。そして「いつまでに」という期間を設定すれば、毎月の貯金額が決まります

貯金のために節約しなければならないときは、家賃や光熱費、食費などの必要経費は無理に削らずに、まずは化粧品代や交際費、被服費などから見直すといいでしょう。無駄があると思ったものや、なんとなく使ってしまっているお金を減らしていきます。通信費や保険料の見直しなども、無理なく節約できる効果的な方法です。

将来、自分はどのタイミングでどれだけお金が必要なのか、まずはイメージをしてみることが大切です。明確なイメージがあれば、足りない分は今から計画的に貯め始めることができるので、漠然とした不安が少し晴れるかもしれません。

ただ、貯めるとはいっても、過度な節約は不要です。本当に必要な出費は無理に削らずに、メリハリのあるお金の使い方を考えましょう。

 

記事監修:加藤梨里
ファイナンシャルプランナー。マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、銀行、FP会社を経て独立開業。家計、保険などお金のセミナー、執筆、相談を行う。働く女性のライフプランと健康にも関心がある。慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。

※この記事は2017年9月時点での情報です。
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