仕事の効率がアップするノート術
タスク整理編

2016年06月30日
仕事でノートを使っていますか? メモを取るときは、スマホやタブレット、パソコンなどのデジタルツールを利用する人がほとんどかもしれません。でも、ノートをうまく活用すれば仕事の効率がグンとアップします! そんなノート術を、商品開発コンサルタント・ビジネス書作家の美崎栄一郎さんに教えてもらいました。

やるべきこと(=タスク)を
思いつくままにノートに書きだす

仕事では、大きなものから小さなものまで、さまざまなタスクがあります。さらに、確認事項やチェック項目などもたくさん。これらをすべて覚えようとすると、頭がパンクしてしまいます。ですから、仕事上の抜け漏れがないようにするには、頭の中でなくノートでタスクを整理します。まず、手帳の予定を見ながら、思いつくままにやるべきことを書き出します。たとえば、6月29日にAさんと打ち合わせがある場合、そのときをイメージして、
契約書を持参する
その前に、説明するための資料が必要だなと思いつき、
資料を持参する
のように書き出していきます。順序は関係ありません。思いつくままでOKです。このときに、「スーツを着用する」ということも思いついてしまえば、とにかく書きます。「名刺を持参する」も同じです。重要度の大小は問いません。

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商談ですから前後の時間があります。打ち合わせの際は、30分前くらいに駅の近くに着くというのを、私は仕事の基本にしています。「時間を調べる」とノートに書き込んで、さらにこれは直ぐに検索できますから、到着時間も書き入れます。そのときに、待ち合わせる予定のBさんに待ち合わせ時間を伝えるメールを入れなければ、と思いつきます。そうノートに書いた後、携帯番号を聞いておかねばと思い、「ケイタイ」と書き、番号を書き込むための下線を入れます。電話番号をノートにメモする理由は、自分の携帯電話の電池が切れてしまった場合でも、ノートを見ればなんとかなるからです。ノートは電池切れがありませんから。

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すぐに処理できるタスクは
ノートに書いてチェックしながら進める

思いついてすぐに処理してしまえるタスクは、ノートに書きながら処理します。どんなに単純なことでも書いてから処理するというのを徹底してください。単純なことほどやったか不安になりますから、ノートに痕跡を残すのがよいのです。家を出てからガスを消したかどうか不安になるのは、記録がないからですよね。処理したタスクをチェックして消すために、私の場合、グレーの蛍光ペンを使っています。グレーの蛍光ペンを最初に見つけたときは、なぜ蛍光でグレーなのかと疑問にも思いましたが、タスクを消すにはとても便利なのです。蛍光ペンだと線を引いたところが目立ってしまいますが、グレーのペンだと目立ちません。それにやったという達成感も出ますから、一石二鳥なのです。このように、頭の中で思いついたタスクを紙に書き出し、チェックしながら進めると、抜け漏れがなくなり、ミスの少ない仕事ができるようになります。

タスクをノートに記入する際は
動詞の形で書いて内容を明確に

ここで、私のタスクの記述スタイルに違和感を持った人もいるかもしれません。「契約書」や「資料」ではなく、「契約書を持参する」「資料を持参する」というように書いていることです。動詞の形で書くというのが、実はタスクを漏れなく実行するためのコツなのです。つまり、「契約書」と書いてしまうと、「契約書を作成する」というタスクなのか、「契約書にサインをもらう」というタスクなのか、「契約書を郵送する」というタスクなのかが曖昧になるのです。今回の場合、「契約書を持参する」のがその当日のタスクですが、その前に契約書のひな形的な書類を作成しなければなりません。つまり、「契約書」と書いてしまうと、持参するのか作成するのかが曖昧になってしまうのです。動詞を書けば、行動になりますから、タスクの漏れがなくなります。契約書を作成する業務に入るときに、会社のプリンタに入っている再生紙ではなく、ちゃんとした用紙が必要なので、「用紙を購入する」と書き込み、その場でネット注文しました。完了ですから、グレーのペンでチェックしています。

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打ち合わせひとつでも、当日の準備、事前の準備が必要ですから、当日のシミュレーションをしながら、紙に書き出しつつ仕事をこなします。このときに、別のことを思い出したりしてしまうのですが、その場合は、ページをめくってメモしておくのです。人間の頭って、集中したくても何かがふってきて他のことに意識が向いてしまうことがあるのですが、そのときはそっち側に意識を完全に切り替えて(今回はページをめくって)出すだけ出して、また元の仕事に戻るというのを繰り返すのです。

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仕事では中断がよく発生します。
上司や同僚などから声をかけられると、その時点で作業をいったん止めねばなりません。電話がかかってくるというのも中断になりますよね。これらは自分ではコントロールできません。ですから、ノートに作業を書きながら進めるのが有効なのです。戻ってきたときに、そのページを見ればやってきた仕事の過程が見え、スムーズに仕事を再開することができるのです。

ルーティーン化できるタスクは
パソコンでリストを作って効率アップ

こうやってノートに書き出しつつタスクをこなしていくと、同じタスクを繰り返している場合はルーティーン化できることがあるとわかります。たとえば、私は出張が多いのですが、その際の荷造りは毎回同じようにやらねばならない作業です。この作業を、最初はノートに書き出していたのですが、それがまとまった段階でパソコンを使ってリストを作りました。そして出張のたびに、そのリストをプリントアウトしたものをノートに貼っています。ノートに貼ると追記も簡単ですし、記録として残りますから、チケットを入れ忘れていないかなども、このノートを見返せばよいので安心なのです。定型作業は、こういう風にパソコンでリストを作ってしまいましょう。最初は面倒ですが、二度目以降はチェックリスト通りに行動すればよいだけなので、作業効率が高まりますし、チェックしているので抜け漏れも起こりません。

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タスクをいちいちノートに書くのは面倒なような気がしますが、もう一度同じことを頼まれたときに、思い出しながら作業するのはけっこう時間がかかります。また、頼んだ相手は、二度目なので大丈夫だろうと、前回以上の速さやクオリティを期待してきますので、その期待に応えられるように、自らの仕事のタスクを記録しておくことが大事です。信頼度アップのために、ぜひタスク整理のノート術を身につけましょう。

美崎栄一郎(商品開発コンサルタント、ビジネス書著者・講演家)
美崎栄一郎
(商品開発コンサルタント、ビジネス書著者・講演家)

花王でアタック、ソフィーナなどの開発のプロジェクトリーダーとして活躍後、独立。デビュー作『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』がビジネス書大賞1位に。その後、花王でのサラリーマン経験から、実際の現場での経験を元にした使えるノウハウをまとめ、著作は30冊以上。2013年よりビジネス手帳の監修も手がける。