仕事と家事・育児……両立する秘訣は、サポートを受けやすい体制作りにあり!

2017年10月31日

結婚、出産、育児とライフステージが変わることで、女性は働き方も大きく影響を受けます。育児休業や時短勤務などの制度はだいぶ整い、社会的にも浸透してきましたが、仕事と家事・育児の両立は、依然として働く女性の大きな悩みのひとつです。

そこで、産休・育休を経て復職した後、仕事と家事・育児とを両立させるためにあらかじめしておきたい準備や、周りとの関係性作りの秘訣を、自身も3人の子育てをしながら仕事を続けてきた経験をもつ、キャリアコンサルタント森ゆきさんにうかがいました。

 

会社や行政の支援制度を自分のライフスタイルに合わせて活用!

仕事と家事・育児との両立を考えたとき、まずは会社の制度をよく確認し、自分にとって必要な制度はぜひ活用するようにしましょう。

その際、会社や上司と十分に話し合いをして、自分の働き方の希望を積極的に伝えることが大事。自分が望むような制度がなかったとしても、事情を説明すれば配慮をしてもらえる場合もあります。たとえすぐには対応してもらえなくても、そういったニーズが増えれば、将来的に会社が動いてくれる可能性もあります。

また、行政でもさまざまな子育て支援を行っているところがあります。ある自治体ではベビーシッターを利用する際の費用を一部負担してくれたり、子育て家庭の家事・育児をサポートしてくれるヘルパーさんを派遣していたり。自分の住んでいる地域の自治体では、どんな支援サービスが提供されているのか、自らリサーチすることも忘れないでください。
 

職場ではこまめに「GIVE」を作って、必要とされる立場を確立しておく!

産休・育休制度が浸透してきたとはいえ、長く仕事を休んで周りに負担をかけたり、復職後は子どもの急な発熱などで早退せざるをえないこともあるでしょう。そんなときに備えて、職場の空気が悪くなったり、気まずさを感じたりしないための「必要とされる立場の確立」をあらかじめしておくことが大切です。

そもそも、仕事はチームで成り立っているもの。どんな仕事もひとりですべて行えるものではありません。そのため、産休・育休を経ても「○○さんに戻ってきて欲しい」と思ってもらえる、「職場にとって必要な人」であることが重要です。それを確立できれば、周りの人はあなたの都合に合わせてある程度融通してくれますし、協力もしてくれるでしょう。

では、「職場にとって必要な人」になるためには、具体的に何をしておけばいいのでしょうか。何も特別なスキルがいる訳ではありません。同僚や後輩のサポートを買って出たり、急に休んだ人の代わりを引き受けたり、上司からの面倒な注文にも快く対応したり。日頃から、進んで困っている人のサポートをすることで、周囲の人も自然と「困っているときに○○さんに助けてもらった」「○○さんがいないと困る」という印象をもってくれるでしょう。

「GIVE&TAKE」というように、いつか自分がサポートして欲しい「TAKE」を期待するなら、まずは先に「GIVE」を作っておくこと。日々の小さな「GIVE」の積み重ねが、「必要とされる立場の確立」には一番の秘訣なのです。
 

家庭では「家事の時短」と「家事の人手を増やす」ことに注力!

仕事と家事・育児が両立できない要因は、「家事が思ったようにできない」というケースが大半のようです。すべて自分でやらなければと、まじめながんばりやさんタイプの人ほど、その悩みは大きい傾向にあります。1日の限られた時間のなかで、仕事と家事に加え、新たに育児も増える訳ですから、今までと同じにというのは無理な話。解決するためには「家事の時短」と「家事の人手を増やす」ことが必須です。

まず、「家事の時短」のためには、ときに投資も必要。たとえば、家電を最先端のものに買い替えるというのもひとつの手です。特に洗濯乾燥機や食洗機、自動掃除機は時短&効率化の強い味方。さらに今は、家事代行サービスもリーズナブルで頼みやすくなっていますから、ときには外注してもよいのでは。私の場合、週に2回、掃除と洗濯は家事代行サービスをお願いして、すごく助けられた経験があります。

一方「家事の人手を増やす」ために欠かせないのは、パートナーである夫をはじめとした家族の協力。まずは夫婦で互いの得意・不得意な家事を話し合い、しっかり分担を決めましょう。

その際に大切なのは、たとえば「食事の後片付け」なら、「食器はすすいで食洗機に並べて、鍋やフライパンは手洗いして棚にしまっておいて」というように、夫に担当して欲しい内容を手順まで具体的に伝えることです。いくら夫に「家事が大変、育児が大変」という漠然とした不満だけを訴えてもダメ。夫側も家事・育児をする気持ちはあっても、「何をどうしたらいいのかわからなくて、結局何もできていない」というパターンがほとんどです。また実際にやってみたら、「こういうほうがやりやすいんだけど」など、夫からの意見も出てくるかもしれません。そんなときは、「自分のルール」を貫くのではなく、夫のやり方を尊重する気持ちも大事です。

そもそも家庭のことは、女性だけが意識を高くもっても上手くいきません。夫に「これから一緒に家事・育児をやっていくんだ」という意識をもってもらうためには、言い方にもひと工夫を。家事・育児をお願いするときは「手伝って」ではなく、あくまで「一緒にやろう」「分担しよう」という言い方を意識して使いましょう。夫の「自分は当事者なんだ」という意識を、自然と高める効果があります。
 

仕事と家事・育児の両立に欠かせないのは、何でも自分ひとりで完璧にこなそうとせず、職場と家庭、それぞれにサポートを受けやすい環境・体制を整えておくこと。仕事も家事・育児もチームで行うという意識をもちましょう。特に、職場のような「制度」のない家庭においては、役割分担などもしっかり決めて、家族で無理なく生活していくための、家庭内システムの構築を目指しましょう。

 

記事監修:森 ゆき
キャリアコンサルタント。外資系メーカーでエンジニアとして勤続10年後、IT系企業に転職。その間、3回の出産、産休・育休、職場復帰をして、管理職も経験したことから、女性のキャリア構築支援を目指してキャリアコンサルタントとして独立。多くの女性からの相談を受けるほか、講師として企業でセミナーや講演などを行っている。
森ゆき 公式サイト:https://www.mycareer-lab.com/

※この記事は2017年10月時点での情報です。