正社員転職を叶える秘訣!キャリアの棚卸しで自己PRを磨こう

2017年03月29日

正社員転職のカギは、“企業の求めるものと自分のキャリアとの共通項の発見”

キャリア女性イメージ

「正社員として転職したいけれど、正社員経験のない私には難しいかも」と諦めている人はいませんか? 契約社員・派遣社員などから正社員での転職を目指す人が気を付けておきたい点や意識すべきところなど、ここで把握しておきましょう。

これまでの経験や実績を面接でアピールする際のポイントもあわせて、人材紹介・再就職支援などを手掛けるパソナキャリアカンパニーのキャリアアドバイザー・柏倉光子さんに教えていただきました。

 

前職の雇用形態は関係なし! 誰にでもチャンスのある正社員転職

まず大前提として、企業側から見た場合、中途採用で最も大事なのは応募者の経験や実績、パーソナリティ、自社で活躍してくれる人材かどうかという観点です。これまで正社員だったか、それとも契約社員、派遣社員だったかなど、過去の雇用形態ではなく、あくまで応募者の方がこれまでどういったスキルを培ってきたかが問われます。

また転職を考える側からしても、一番熟考すべきなのは、「転職して何をしたいのか」という転職の目的や今後のキャリアプランです。その上で、自分の目指すキャリアプランやライフスタイルにあった働き方、雇用形態や会社を選んでいきましょう。

もちろん最初から正社員にこだわって転職を考える人もいるかもしれませんが、「正社員」は決してゴールではなく、あくまでも雇用形態の一つ。むしろ、なぜ「正社員」なのかという部分をしっかり突き詰めて、その理由を明確にすることで、転職の軸が見えてくるでしょう。自分の転職の目的、目指す方向性を明らかにすることが、自分が求める働き方や転職先を見つけるための第一歩です。

雇用形態に関わらずきちんと自己アピールできるよう、これまでの自分の実績や経験をしっかり棚卸し(整理)しておくこと、そして、これまで培ったスキルをどう活かして、その企業で何をしたいかを伝えられればベストです。

「キャリアの棚卸し」でアピールポイントを整理

書類や面接での自己PRで意外と見落としがちなポイントが、「相手は自分のことを全く知らない」という前提で伝えるということです。

仕事内容を伝える際に、単に「営業事務でした」だけでは、その人がどういう立場に置かれてどんな経験を積んできたかということまでは見えてきません。しっかりとキャリアを棚卸しして、アピールにつなげることが大事です。

例えば「会社の中のこういう位置づけの部署で、自分一人で10人の営業マンのアシスタントとして、提案資料作成や商品の受発注業務をしていました。顧客は200社でした」などと数字を出して言えばポジションが伝わりやすく、「事務処理能力の高い人」とアピールすることもできます。

「応募者の能力はどの程度のものなのか」「自社に入った場合、どのような働きが期待できるのか」という点で相手に具体的なイメージを持ってもらうために、自分のキャリアやアピールポイントを書き出して「言語化しておく」ことが大切です。

また、一次面接でNGになる場合、理由として多いものに「企業理解が足りない」という意見が挙げられます。「職種については興味があるようでしたが、会社については勉強されていませんでした」という面接担当者の声が多いのが現状です。

せっかくスペシャルなスキルを持っていても、自社への志望度が低いと捉えられてしまっては、評価も低くなってしまいかねません。「企業理解をしっかりしていること」=「志望度が高い」ということをアピールするための重要な要素なのです。

そのため、事前準備としてその企業の下調べをするのはもちろんですが、企業側がどういう人材を求めていて、自分の経験の中でそれに当てはまるのはどの部分なのかを理解した上で、アピールすることが大事です。自分のどの面が、相手が欲している部分に近いのかを考えて面接に臨みましょう。

そのための方法の一つとして、まず、「会社の方向性と求めているスキル」「自分の経験」をそれぞれ左右に分けて箇条書きし、重なるものに○、やりたいけどやったことのないものや現在勉強中のものには△、興味や接点のないものには×をつけます。○がついたものがアピールすると効果的なもの、ということになるわけです。

これをしておくと、例えば「英語ができます」ではなく「御社がグローバル事業を強化し、3年後に海外拠点を2倍に拡充する予定だとうかがい、クライアントとのやり取りにおいても、私の英語力を活かすことができると思いました」と言うことができますね。

キャリア棚卸表

自分を売り込むことばかり考えて言いたいことだけを言うのではなく、相手が何を求めているかを想定して、それに対して自分ならこんなことができますと伝えるアピールが重要なのです。

面接は双方にとってのお見合い

面接では誰しも緊張するものですが、どんなに緊張していても、笑顔と姿勢、元気な挨拶は忘れないようにしましょう。面接では第一印象が大切です。

また声が小さい人が意外と多いので、相手が聞き取れるボリュームでハッキリ答えるようにしましょう。会場の広さや相手との距離、話し方に合わせて声の大きさやトーンを変えることができればベストです。

ほかにも気を付けておきたいのは、面接でのネガティブな発言です。
物事は何事も表裏一体なので、一見ネガティブに捉えられがちな内容も前向きに伝えることで、自己アピールに繋げましょう。

例えば、転職理由を質問された場合に気を付けたいのが、「人間関係が原因で転職を考えている」という回答です。場合によっては、相手にコミュニケーション能力が低いと捉えられてしまうかもしれません。

また、待遇や福利厚生面ばかりを質問するのも、会社に頼りすぎている印象を与えてしまう可能性があります。質問内容からも自分の意欲をアピールすることができるため、他力本願にならずに、前向きな姿勢を表しましょう。

また、面接担当者の考え方も様々なので、あまり「こうだ」と決めつけた想定を持たず、臨機応変なコミュニケーションが大切です。志望動機を暗記して上手く話せたとしても、心がこもっていないと、面接担当者からは「本心がよく分からなかった」と評価されてしまうことも。企業側は応募者の人自身を知りたいと望んでいることを忘れてはいけません。

また、面接では、相手に選考されるものという意識がどうしても強くなりがちですが、応募者側が会社への理解を深めたり、自分と会社の相性を知るための良い機会でもあります。

例えば、面接担当者の人となりからもその企業の社風が見えてきます。面接担当者がジーンズをはいている会社はラフで慣習にとらわれない企業風土だったり、面接結果がすぐに出る会社は何事においても決断を下すのが早い会社だったり、一概には言えませんが、面接のやり取りからもその会社が見えてきます。

「正社員として長く働きたい」という希望があるのならば、面接の場も企業を知る上でとても重要なチャンスになります。面接=企業と個人のお見合いの場なのです。

ちなみに、待遇や福利厚生面、また面接の不合格理由など、面接では直接企業に聞きづらい情報は、間に転職エージェントが入っている場合、情報を得ることもできます。

「この期間内に転職したい」「この時期までに面接を組まないと現職のスケジュール的に難しい」という場合も、面接日程や企業の結論タイミングを早めてもらうなど、相談内容に応じて転職の成功に向けたサポートをしてくれるので、上手に活用しましょう。

「自信がない」と立ち止まらずに、まずは行動を

転職して正社員になりたいけれど一度も経験がないから……と諦めかけている人も、悩む前に自分ができることを考え、行動するのが大切です。

その会社が何を求めているのか、どんな人材を求めているのかを把握し、自分の経験と重なる部分があるのかを検証することから始めてみましょう。

企業やポジションにもよりますが、社会人経験の少ない20代なら今後の可能性を踏まえて、ポテンシャルで採用されるケースもありますし、30代、40代と年齢を重ねるごとに、業務知識、経験に加えて、マネジメント経験などを求められるケースもあります。まずはキャリアの棚卸しをして合致する部分=アピールポイントを見出して、もし足りない部分があれば、それを補うために勉強していることや日頃実践していることを伝えることも一つです。「自分ができること」「したいこと」「会社から求められていること」が合致する部分が大きければ大きいほど、お互いに満足する転職に繋がるのではないでしょうか。

雇用形態にとらわれることなく、自分の転職活動の軸、そして自分のキャリアを見つめることが最大のポイント。企業と自分の共通項を見つけて、さらにそのことを面接でしっかりアピールすることが、面接成功への近道です。
キャリアアドバイザー 柏倉光子さん

株式会社パソナ パソナキャリアカンパニー
人材紹介事業部門
キャリアアドバイザー 柏倉光子さん

管理系職種(経理、人事、総務、法務、経営企画など)の転職を中心に、幅広い年齢層の方々の転職を支援。十人十色、その方の人生が活きる仕事に出会えるよう、きめ細かな転職サポートを心掛けている。