あなたは大丈夫? 知っておきたい暴言を吐く人の心理

2017年09月13日

電車が遅れたときに、人目もはばからず駅員に向かって怒鳴り散らしている人を見たことはありませんか? 駅以外でも何か気に入らないことがあると、すぐ怒る人はどこにでもいます。

赤の他人なら近寄らなければ済む話ですが、上司や家族など身近にそんな人がいたら、いつ自分に矛先が向くかわかりません。今回は、暴言を吐く人の心理とその対処法について、心理カウンセラーの土肥幸司さんにお話をうかがいました。

 

怒りっぽい人は、いつも追い詰められている!?

人には感情があるので、誰でも怒ることはあります。ただ、それを表に出したり、人にぶつけたりするのは別の話。感情をあらわにして怒るというのは、心に余裕がないときだと考えられます。気持ちにゆとりがあれば、もし怒りがわいても、気分転換をしたり他人に話を聞いてもらったりして、怒りを鎮めることができるはずです。

また、仕事や家庭などで不満を溜め込んでいる人ほど怒りっぽくなるようです。普段からイライラしていると、何か嫌なことがあったとき、それがきっかけとなって怒りがあらわになり、誰かに当たってしまうのです。
 

暴言は「自分をわかってほしい」という心の叫び

さらに、感情を爆発させ暴言を吐く人は、「自分は周りから大事にされていない」「軽んじられている」という苛立ちを心の奥底に抱えていることが少なくありません。「もっと自分を大切にしてほしい」「気持ちを理解してほしい」と思っているのに、その思いをうまく伝えられない、もしくはその真意を相手がくんでくれない。すると、最初は我慢していてもいずれ限界がきて、爆発してしまうのです。

その際、強い口調で必要以上に大きな声で怒鳴ったり、不用意に人を傷つける言葉を発したりと、行き過ぎた行動になってしまうのです。相手を責めることで優越感に浸っているのでは? とも考えられがちですが、実は相手を攻撃して発散しているのではなく、「わかってほしい」という心の叫びであることが多いのです。
 

暴言の裏にあるメッセージをくみ取る

では、職場や家庭などで面と向かって暴言を浴びせられたら、どのように対処したらいいのでしょうか。理不尽な暴言には、自分もついヒートアップして反論してしまう、という人もいるかもしれませんが、暴言を吐いている人は感情的になっているので、それだと火に油を注ぐことになってしまいます。

また、人は反撃されるのも嫌ですが、無反応な状態にも苛立ちを感じます。怖さのあまり口をつぐんでしまったり、「何を言っても無駄だな」と傍観したりするのも逆効果。「こっちがこんなに言っているのに、無視された」と思って相手はますます興奮し、怒りを増幅させてしまうことに。

相手が感情的になっているときこそ、なるべく冷静に対応することが重要です。暴言を吐かれたら、泣き叫んでいる子どもと同じだと思えば、落ち着いて対応できるかもしれません。子どもが泣き叫ぶのは、何か要望や伝えたいことがあるとき。

「○○なんですね」とうなずいたり、オウム返しをすることで、まずは相手の訴えを受け入れて同意してあげるのです。そして、「あなたを理解しようとしている」ということが伝わるような言葉をかけたり、ジェスチャーをするといいでしょう。暴言を吐かれると、人を傷つけるような強い言葉に気をとられがちですが、その言葉の裏にあるメッセージをくみ取って対応できれば、相手が落ち着きを取り戻すきっかけになるでしょう。
 

自分が暴言を吐いてしまわないようにするためには?

繰り返しになりますが、暴言は日頃の不満が何かのきっかけで爆発したときに出てしまいがちなので、普段から自分の好きなことをしてストレスを発散し、怒りや不満を溜め過ぎないことが大事です。また、家族や友人など、大切な人とのつながりを普段から感じられていると、気持ちが満たされてイライラすることも少なくなるでしょう。

仮にうっかり暴言を吐いてしまったら、まず「今、自分には余裕がないんだ」ということを認識してください。そして、なぜイライラしてしまったのかという理由を伝えて、素直に謝りましょう。すると、相手も理解し助けてくれることが多いのです。
 

怒りっぽい人、暴言を吐く人は、不満やストレスを抱えているのに、それを相談できる相手がいなくて、孤独なのかもしれません。

それがあなたの身近な人の場合、「下手に近寄らない方が身のため」と距離を置くのではなく、あなたの方から相談に乗ってあげて、不満を溜め込まないよう、協力してあげましょう。その人が心を開き、よい関係を築ければ、周りに怒りをぶつけることもなくなるはずです。

 

記事監修:土肥幸司
心理カウンセラー。対人関係、コミュニケーション、自信喪失のケア、自己表現・実現のサポートを得意とする。クライアントの幸せを信じ、その気持ちに添って接することをポリシーとしている。

※この記事は2017年8月時点での情報です。