年は自分より上だけど、立場は下……“年上部下”との上手な接し方

2017年12月11日

20代後半になると、リーダー職に抜擢され、中には自分と同い年や年上の人が部下になる、というケースもあるでしょう。もしくは、中途入社してきた人の指導を任されたけど、相手が同い年・年上、ということもあると思います。

そんなとき、“上司”として指導しなければならないけど、相手に気を遣って、どう距離を取ってよいのかわからない……。このように微妙な立場にありながら、相手と友好な関係性を築く方法を、キャリアコンサルタントの徳永ミユキさんにアドバイスいただきました。

 

まず、“上司としてどうあるべきか”、本質をおさえましょう

年功序列型といわれてきた日本でも、近頃は能力や成果で上下関係が逆転することも少なくありません。「年下(同い年)なのに……!」と反感を持たれる可能性もあるでしょう。そんな関係性の中で、どう指導すれば角が立たないのか悩む人もいると思います。

経済学者ケインズの言葉に「“何をすべきか”よりも、“どうあるべきか”」というのがあります。相手によって対応や行動をその都度変えるのではなく、相手が誰であれ、どうあるべきかを考えて行動する、という意味で上司の本質にも通ずると思います。上司としてのミッションは、あくまでもチームで目標を達成し、会社の期待に応えることです。そのために、どのように部下をマネジメントしてまとめていくべきか、という立場であることをまず認識しましょう。
 

あなたの部下は「仕事中心」? それとも「人中心」?

部下の特性を理解することは、上司としての信頼を得られ、人間関係を円滑にするヒントにもなります。ビジネスパーソンの行動パターンは、大きく次の2つに分けられます。あなたの部下がどちらのタイプにより近いか当てはめて、基本的な接し方の参考にしてみてください。

仕事中心
データ志向や結果主義で、理由がないと納得しないタイプ。人から指示されたり、コントロールされることを嫌います。裏を返せば、数字を見せるなどして合理的な指示を出せば、素直に応じるともいえます。野心のある人には、成果に応じて上のポジションに推薦するなど、その先の結果を見せてあげるとよいでしょう。このタイプは私情やプライベートを挟まないほうがうまくいくようです。

人中心
感情が優先され、相手の態度や表情に敏感なタイプ。なるべくメールやメモなどで済まさずに、直接的な声がけや面談をして、感情に働きかけることが重要です。「何かありましたか?」「疲れているみたいですね」とさりげない気遣いによって信頼が得られます。このタイプには、プライベートでコミュニケーションを取るのもよいでしょう。
 

「逆の立場だったら」を考えると、年上部下への接し方が見えてくる

あなたの部下が年上で、その会社でキャリアを積んできた人であれば、積極的に仕事の相談をしましょう。相手は頼られていることがわかれば悪い気はしません。チーム内で重要なことを決定するときは、必ずその人を通すフローをつくり、立ち位置を尊重しましょう

「〇〇さんにだけは相談するけど」と切り出して、重要な案件を共有しておくといいかもしれません。実際、自分よりも会社のことに詳しかったり、中途入社の人ならいろいろな経験を積んできているので、参考になる情報を得ることができます。

絶対にやってはいけないのは、人前で恥をかかせることです。意見の相違があっても「ちょっと違うんじゃない?」と、少しでも否定的な言葉を返すとプライドを深く傷つけることになりかねません。同意しがたい場合は、チームミーティングの場などで、「○○さんはこう言っているけど、□□さんはどう思う?」などと、ほかのメンバーの意見を聞くなどして軌道修正するのが賢明です。

これらのことは、「相手が年上(同い年)の場合のテクニック」としてあまり意識し過ぎず、「逆の立場なら自分はどう思うか?」を基準に相手と接するとよいでしょう。いまは上司のポジションですが、成果主義の会社なら、いつ自分が年下もしくは後輩の部下になるとも限りません。そんなとき、どう接してもらえれば気持ちよく仕事に取り組めるか、想像してみると自ずと自分がとるべき態度や行動も見えてくるでしょう。
 

同い年・年上の部下に対しては、“接し方のテクニック”よりも、“自分があるべき本質”をおさえて、上司として、相手の立場だったらどう感じるかを考えて、フェアな態度で接すること。案外、相手は“年下”“年上”と意識していないかもしれません。相手を気遣うコミュニケーションができていれば、それほど身構えてかかる必要はないのかもしれません。

 

記事監修:徳永ミユキ
キャリアコンサルタント(国家資格)、ビジネスコンサルタント。株式会社ザ・プレゼンツ代表。約16年、帝国ホテルの接遇・営業企画室で国内海外顧客販促企画等に携わる。その後、教育コンサルティング会社を経て独立。職場の人間関係、コミュニケーション、ハラスメントなどを得意とし、CS・ES向上関連の各種審査員などを務める。取材掲載実績は、リクルートアントレnet、AERA(アエラ)、ACCJジャーナル(在日米国商工会議所)等多数。

※この記事は2017年11月時点での情報です。