職場での評価がアップする“男性脳”の攻略法

2017年09月22日

上司や同僚、後輩など、職場の男性と話していて「どうしてちゃんと聞いてないの」「どうして察してくれないの」などと感じること、ありませんか? 女性が理解できない男性の言動は、多くの場合「男女の脳の違い」に大きく関係していると考えられます。“男性脳”における特有の心理を理解すれば、職場でのさまざまなシーンで役に立つはず。

そこで今回は、脳科学の専門家である黒川伊保子さんに、男性脳の特徴や男性と一緒に仕事をするときに知っておきたいポイントについて、アドバイスをいただきました。

 

否定されてもクヨクヨしない

男女間で、情報が誤った伝わり方をする、伝えた情報が不十分、などのコミュニケーションロスを起こす最も大きな要因は、“共感”の有無の違いにあります。女性脳が円滑に機能するためには、「共感すること」と「共感を得ること」が重要な要素ですが、男性脳は共感するかどうかはまったく気にしません。

何か話をしたとき、女性は最後まで一通り聞いて、共感できる部分に対しそれを示してくれますが、男性は話に矛盾や問題点があると感じると、すぐにそれを指摘します。そのほうが、無駄な時間を使わず、お互いのためになると考えるからです。

男性と仕事の話をすると、「ダメ出しばかりされる」と感じることがあるかもしれませんが、「共感を得られなくてもいちいち傷つかない」ことが大事。男性に否定されたり、反論されたりしても必要以上に気にすることはありません。
 

男性に話しかけるときはゆっくりと

女性の脳は30歳から40歳代前半まで、言葉をつむぎ出す機能が活発になっていきます。対して、男性の脳は年齢を問わず何かに熱中すると、物事を「聞く」「理解する」「話す」などの言語機能のスイッチを切ってしまいます

そのため、仕事に集中している男性に話しかけていきなり本題に入っても、言語機能が働き始めるまでに時間がかかるので、話の冒頭を理解していないことが多いのです。男性は話が途中から始まっているように感じて戸惑い、女性は男性が話を理解していないのでイラッとします。

こうしたコミュニケーションロスを避けるために、とくに大事な案件について男性と話すときには、意識してゆっくりと話すようにしましょう。「いまお話ししてもよろしいですか?」と伝えてから、3秒待って話を始めるくらいのイメージを持っておくといいでしょう。
 

結論と要点の数を先に伝える

職場で男性と話すとき、とくに気をつけたいポイントがあります。それは、まず結論から話すことと、要点の数を挙げることです。男性脳は、物の位置や方向・距離を把握する空間認知の領域が発達しており、目的地とそこへ至る道筋で物事を認識しようとします。

会話においても、その結論と話の長さを気にしています。戦略的に話を持っていきたい交渉やプレゼンなどの場では、「今回提案したいのは○○です。そのポイントは3つあります」というように切り出すとよいでしょう。最初に結論と話の要点がいくつあるのかを伝えると、男性は安心して話を聞けるはずです。
 

イチオシのアイデアが浮かんでも提案は複数で

女性は、男性に比べて直感力が優れています。仕事の提案でも「これしかない!」というイチオシのアイデアがひらめきますが、それだけを男性に示しても、あまり評価されません。男性脳は物事の判断に空間認知の領域を使うので、比較対象を必要とするからです。

イチオシ案を出すときは、それを引き立てるための「比較案」を2つ以上用意するといいでしょう。そうすることで、男性脳はイチオシ案が優れていると理解でき、納得しやすくなります。
 

できない理由として、自己都合をすぐ口に出さない

また、女性脳は男性脳に比べて、自己防衛の意識が圧倒的に強くなっています。例えば、急な残業を頼まれたとき、女性の場合、何かできない理由があれば瞬間的にそれが頭に浮かびます。ところが男性は、できない理由があってもすぐには思いつかず、その場で引き受けてしまうことが多いのです。

女性脳で残業できない理由が瞬時に頭に浮かぶのは反射的なことなので、多少顔に出るのは仕方ありません。ですが、男性に対して、その理由をすぐ口に出すのはやめましょう。自己都合で残業を断るより、「明日、早く出勤して対応します」といった前向きな代替案を出したほうが、ずっと印象もよくなるはずです。
 

男性とうまく仕事をするためには、「男女の脳の違い」をきちんと認識しておくことが大切。それによって起こる食い違いや誤解を避ければ、男性から信頼を得られ、職場でのあなたの評価が急上昇するかもしれません。

また、女性脳の直感力は、大きなアドバンテージ。直感力を高めるにはおしゃべりがエネルギーになるので、たまには心ゆくまでおしゃべりして、女性脳を活性化させましょう。

 

記事監修:黒川伊保子
脳科学コメンテイター。人工知能研究者。株式会社感性リサーチ代表取締役社長。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発。マーケティング分野に新境地を開いた、感性分析の第一人者。また、その過程で性、年代によって異なる脳の性質を研究対象とし、日常に寄り添った男女脳論を展開している。著書に『女の機嫌の直し方』(集英社)、『キレる女懲りない男―男と女の脳科学』(筑摩書房)など。

※この記事は2017年9月時点での情報です。