自分で作る年金!?節税効果もある「iDeCo(イデコ)」ってなに?

2017年08月08日

少子高齢化で年金も目減りする一方……、もはや公的年金だけでは安心して老後が迎えられない!? 

そんな不安の声も広がる中で、「金融にうとい」「損したらイヤだし」と、なかなか資産運用に手を出せない方も多いのではないでしょうか?

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、今年から加入対象者が広がり、ほとんどの人が加入できるようになったことで今注目されている、老後資金のための資産運用法です。その一番のメリットである節税効果や運用方法について、株式会社Money&You代表のマネーコンサルタント・頼藤太希さんに伺いました。

 

公的年金に加えて給付を得られる「iDeCo」ってどんなもの?

日本の公的年金制度には、20歳以上のすべての人が共通して加入する「国民年金」と、会社員・公務員が加入する「厚生年金」などがありますが、「iDeCo」は任意で加入し、自分で老後資金を作る制度です。加入者が自分で掛け金を収めて運用商品を選び、掛け金と運用した利益の合計額をもとに、60歳以降、老齢給付金を受け取れます。

これまで加入対象者は自営業やフリーランスの個人事業主に限られていましたが、2017年1月から公務員や主婦、企業年金制度のある会社員などにも対象が広がり、国民年金加入者のほぼ全員が加入できることになりました。

 

「iDeCo」最大のメリット、3つの税制優遇でこんなにお得!

iDeCoのメリットは、なんといっても運用時から給付時まで得られる3つの大きな税制優遇です。

掛け金が全額所得控除!
例えば、月々の掛け金が1万円の場合、年間の拠出額は12万円。所得税が10%の場合(※課税所得額によって所得税率が変わります。詳しくは国税庁HPを参照)、住民税の10%と合わせると年間2万4000円の税金が控除されます。

運用で得た利益が非課税!
通常、投資などで得た利益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの場合すべて非課税になります。例えば、10万円利益が出た場合、通常であれば約2万円税金が引かれ、手取りは約8万円ですが、iDeCoなら丸々10万円をもらえるということです。

年金受給時の控除も大きい!
iDeCoは年金形式か一時金形式での給付になりますが、年金の場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象になるので、税負担が減ります。

 

どうやって運用するの?

それではiDeCoの具体的な運用方法を見ていきましょう。

1.掛け金を決める
まず掛け金を決めます。掛け金は月々5000円から1000円単位で設定することができます。年1回変更できますが、被保険者のタイプによって拠出金限度額が設けられています。なお、国民年金保険料の免除を受けている人は原則加入できません。

・第1号被保険者:自営業者⇒月額6.8万円《年81.6万円:国民年金基金または付加保険料との合算枠》
・第2号被保険者:会社員・公務員
 「会社に企業年金がない会社員」⇒月額2.3万円《年27.6万円》
 「会社の企業型確定拠出年金に加入している会社員※」⇒月額2万円《年24万円》
 「会社の企業型確定拠出年金と確定給付企業年金に加入している会社員※」「確定給付企業年金のみに加入している会社員」「公務員等」⇒月額1.2万円《年14.4万円》
・第3号被保険者:専業主婦(夫)⇒月額2.3万円《年27.6万円》
※iDeCoに加入するためには「企業型確定拠出年金にてマッチング拠出を行っていない」「iDeCoに加入できる旨、規約に定められている」の両条件が必要。

2.金融機関を決める
次にiDeCoを取り扱う金融機関・運営管理機関の中から、加入する機関を1つ決めます。各金融機関で、毎月かかる事務手数料、商品ラインアップ、サービスの内容が違うので、しっかり内容を比較して決めましょう。

3.商品を決める
加入した機関の中から運用商品を選びます。運用商品は大きく、定期預金や保険商品などの「元本確保商品」と投資信託の「元本変動商品」の2つに分けられます。それぞれ商品の性質が異なりますので、よく理解し自分に合ったものを選びましょう。

4.60歳から給付スタート!
給付金には「老齢給付金」「障害給付金」「死亡一時金」の3種類があり、「老齢給付金」は60歳以降で受給が可能です。ただし、通算加入期間によって受給の開始時期が異なります。

 

大きな税制優遇を得られるiDeCoは、老後の資金作りのための心強い資産運用法です。

60歳まで資金を引き出せないことがデメリットと言われていますが、逆に考えれば、引き出せないから確実に老後資金が貯められるのでメリットとも言えます。

3つの税制優遇があるiDeCoを上手く活用し、老後資産を築きましょう。

記事監修:頼藤太希

株式会社Money&You代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に株式会社Money&Youを創業し、現職へ。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場『FP Cafe』を運営。メディアなどで投資に関するコラム執筆、書籍の監修、講演など、日本人のマネーリテラシー向上に努めている。著書は「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法」(河出書房新社)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。