ビジネスシーンでのSNSマナー、あなたは守れている?
そこで今回は、ソーシャルメディアに詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんに、SNSをビジネスで利用する際に気をつけたいことをうかがいました。
企業秘密や上司の愚痴も筒抜け!? 気軽に使えるからこそ慎重に
気軽に自分の情報を公開できるSNSは便利なツールですが、その分、注意も必要です。たとえば「今日は大阪に出張です!」という一言から会社の動向を察知されたり、デスクで撮った写真にパソコンの画面が映り込んでいたため企業情報が漏えいしていたり、リリース前の情報をうっかり書いて契約違反を犯していたり……。何気なくアップした写真や文章から予想外の情報まで漏れてしまい、大きな問題につながることもあるのです。
ほかにも、「取引先からまた呼び出し食らった!」とか「上司がしつこくてうんざり……」など、クライアントや上司への愚痴もタブーです。実名を出さなくてもわずかな情報から本人を特定されてしまい、大きな問題に発展しかねません。SNSにはネガティブなこと、不利益になるようなことは絶対に書かないのが鉄則です。
仕事関係の人とつながりたくないときの対応
基本、実名で顔写真などを掲載するフェイスブックは、サービスの特性から、名刺代わりに使ってビジネスで活用するのにも向いています。しかし、実際には「仕事ではフェイスブックを使いたくない」という人も多くいます。
こうした状況の中、「上司やクライアントから友達申請がきたけど、どうしたらいい?」という相談を多く受けます。本音をいえば拒否したいけれど無下にも断れない……という場合、まず見ていないふりをしてスルーするのはNGです。心証を悪くして、実際の関係に悪影響を及ぼしかねません。
フェイスブックには、「制限リスト」という機能があり、友達申請を承認しても、制限リストに追加された人は、全体公開している投稿のみ閲覧可能で、公開範囲が「友達」のものは見ることができません。このような機能を使って、相手に合わせてカスタマイズするのもひとつの手です。どうしてもビジネスでつながりたくない場合には、「フェイスブックはプライベートのみで使用しているので、申し訳ありませんがツイッターでお願いします」「連絡はお電話でいただけますか」など、ほかの連絡手段を伝えると、関係を拒んではいないということをアピールできてスムーズです。
相手への配慮とオフ・オンの線引きを
SNSの使用については、会社によって対応が異なります。業務中の使用を認めている会社もありますし、休憩時間であってもセキュリティポリシーの観点などから、アクセスすること自体禁止しているところもあります。自分の会社はもちろんのこと、メッセージを送る場合は相手の会社の規定も考慮しましょう。
電話やメールに比べてカジュアルに使えるだけに、仕事の案件では気軽に使い過ぎないよう注意が必要です。基本的に登録した人とやり取りをするLINEは、よりプライベートなツールです。本来は親しい人や友人との間でのやり取りに向いているサービスですが、最近では通話にも使用できる便利さから仕事で活用したいと考える人も増えています。相手の負担を考えて、緊急性がないことは、就業時間外や休日には連絡しないよう配慮しましょう。
サービスの特性をしっかり理解したうえで、マナーを守り、仕事に関連する場合はとくに慎重になって利用するようにしましょう。
ITジャーナリスト。書籍・雑誌・Webメディアなどの記事の執筆・監修・講演などを手がけ、SNSや情報リテラシー教育に詳しい。主な著作として『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎エデュケーション新書)、『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)など多数。
※この記事は2017年11月時点での情報です。