事務効率化コンサルタントに聞く!【その②】ミスを未然に防ぐ、デスクまわりの整理術
ミスが起こる原因を理論的に解説し、その対策を紹介した「事務効率化コンサルタントに聞く!その①」(藤井美保代氏監修)に続き、今回は書類の整理術など、実践的な工夫によってミスを防ぐ方法を紹介します。
デスクの整理整頓でミスを防ぐ
事務仕事の基地ともいえるデスク。散らかっていると、大事な書類やメモを紛失したり、捜し物のために無駄な時間が増えるばかり。そのような状態では仕事の効率が下がり、ストレスもたまります。デスクの整理をすれば、ミスが防げて仕事もはかどります。当然のことと思うかもしれませんが、なんとなく片付けるのと、意識的に収納するのとでは効果が違うのです。
整理整頓のキーワードは「使用頻度」。デスクの上には使用頻度が高いもののみを置くようにしましょう。よく使う文具や進行中の書類などが該当します。使用頻度が中程度のものは、引き出しの中にしまいます(例:ハサミや伝票など)。
引き出しの収納では、使用頻度が高いものほど手前に入れます。一般的な事務机には、中央に幅広の浅い引き出しがあります。ここは通常は空けておき、作業中に離席する必要が生じた際、机上に広げていた書類を一時収納するための「書類の仮置き場」にするとよいでしょう。また、紛失NGの重要書類などをクリアホルダーに入れて、引き出しの底に両面テープで固定し、紛失防止に利用するのも一案です。
袖机では、上段の浅い引き出しは文具の収納に適していますが、開閉時の振動で中のものが動きやすいので、空き箱やトレイで間仕切りを。空き箱同士はクリップなどで留めておくのがオススメです。10cmほどの深さがある中段の引き出しは、立てる収納を。定型封筒や各種伝票など、使用頻度の高いものを手前にして立てておけば、必要なときにすぐ取り出せます。
下段の深い引き出しには、ボックスファイルをいくつか置いて、A4サイズのファイルを保管すると、ファイルが倒れにくくなります。また、よく使うファイルが限られている人は、引き出しの前面と並行になるように収納すれば、引き出しを少し開けるだけですぐに取り出せます。何種類ものファイルを扱っている人は、引き出しの前面に対し垂直になるように収納すると全体を見渡せます。
クリアホルダー&付せんを利用した書類整理でミスを防ぐ
書類の管理は事務の基本。書類の保管、案件ごとの仕分け、期限管理など、クリアホルダーは事務作業に欠かせないアイテムです。さまざまな仕様があるので上手に使い分ければ、事務効率が大幅にアップします。さらに、付せんで内容を「見える化」しておけば、期日忘れや処理漏れなどのミスを防ぐことができます。
クリアホルダーは、はさむ書類のボリュームなどに応じた厚みのものを使い分けるのが基本。透明で厚さ0.2mmほどの標準仕様のクリアホルダーは、書類の保護や保管、取りまとめなどに幅広く使えます。0.5mm前後の厚口タイプはしなりにくいので、収納枚数が少ない場合に立てて保管するのに重宝します。それより厚い超厚口タイプは、カバンなどに入れて持ち運ぶ際の折れ曲がり防止のほか、下敷きボードとしても使えます。
次に、ミスを防止する「書類の見える化」を紹介しましょう。書類を受け取ったら、まず目を通してその処理について判断・分類すると思いますが、そこで使うのが、大きめの付せんとクリアホルダー。作業の期限日や「チェック待ち」などといった現在の状況を付せんに書いてクリアホルダーに貼り、書類をはさみます。クリアホルダーは緊急度の高いものほど上になるように重ねて、トレイなどの定位置で保管しましょう。
このとき、付せんをどこに貼るかもポイントのひとつ。クリアホルダーの表面に付せんを貼るとはがれやすく、中の書類に貼ると書類を追加するたびに貼り替えの手間が生じます。そこで、裏技。付せんの裏面に必要事項を記入してクリアホルダーの内側に貼れば、はがれたり、貼り替えの手間がなくなります。
そして、作業の期限管理は、「案件」と「時間」で二重に行うようにしましょう。そうすれば、どちらかの記載にミスや漏れがあっても他方でフォローできます。
「案件管理」は、次の3つの手順で行います。
①書類を案件ごとにクリアホルダーにはさむ
②いつまでに終わらせるのか、作業期限の日付を付せんに書いて、クリアホルダーの上部からはみ出るように貼る(インデックスのようなイメージ)
③ボックスファイルで立てて保管
「時間管理」は、エクセルなどのソフトやノートを使って1日または1週間ごとのシートを作成し、いつどの案件を処理するのかを記入します。業務内容別、担当者別など、仕事の内容に合わせて作るのがオススメです。
パソコンのフォルダ管理もひと工夫してミスを防ぐ
書類をパソコンで保存するときは、ファイルごとに大きく分類して、段階別のフォルダを作って整理するのがオススメ。たとえば、書類の種類別、企業別、担当者別のような3段階に分け(例:「見積書」>「会社A」>「○○部長」など)階層構造でフォルダ管理すると、書類作成時に捜しやすくなります。また、宛名をその都度上書きすると時間と手間がかかり、入力ミスの原因にもなりかねないので、書類のひな型を作る際は、担当者の宛名まで入力して担当者別のフォルダに保存しておくとよいでしょう。
よくあるEメールの添付忘れを防ぐには、送付するファイルを先に添付してからメール本文を書き始めること。シンプルですが効果的です。また、「お世話になっております」「よろしくお願いいたします」などの定型文は、あらかじめ署名欄に打ち込んでおくとメール作成の時短につながります。
事務効率化コンサルタント。特許および貿易事務の業務に携わり、事務業務のリスクヘッジや効率化のノウハウを身につける。その結果、過去の担当者の月100時間を超える残業をゼロにした。おもな著書に、『デスクワーク整理術』(三笠書房)、『デスクワーク&整理術のルールとマナー』(日本実業出版社)などがある。3月に『事務ミスがない人の図解整理術〔書類・メモ・データ〕』(三笠書房)を発売予定。
オフィシャルサイト「オフィス事務の効率学」: http://www.office-jimu.com/
※この記事は2018年2月時点での情報です。