やりがいを模索し、大手企業からの転職! その先にあったのは、満足のいく環境と待遇

2016年01月26日

「自分を変えたい」と思ったとき、みなさんはどんな行動を起こしますか?
引っ越してみる、いつもとは違う友だちに会ってみる、職場を変えてみるのも一つの方法かもしれません。でも、転職にはなかなか勇気がいりますよね。
そこで、さまざまな理由で過去に転職をした先輩女性に、一体なにを変えたかったのか、そして転職により、なにが変わったのかを伺います。みなさんの迷いを解決するヒントが見つかるかもしれません。

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新卒で大手旅行代理店に営業として入社した村井さん。その後は「社会に貢献すること」を軸に、やりがいを優先してキャリアを模索。現在勤めている東北の木工製品を加工・販売している会社では、結果としていままでで一番良い条件で働けているとのこと。
自分のやりがいを優先して転職をしてきた村井さんに、やりがいと収入の比較についてお話を伺いました。

【村井さんから学ぶ成功の秘訣】

・一生懸命がんばって結果を出せば収入は自ずとついてくるので、やりたい仕事をすること
・失敗や責任を負うことを恐れず積極的に挑戦すること
・「働いて稼ぐこと」をもっと前向きにとらえること

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会社の規模にとらわれず、転職の基準は「やりがい」を満たせる場所

村井香月さん(35歳)木工製品製造・販売 営業職

村井香月さん(35歳)木工製品製造・販売 営業職

-新卒で入った大手旅行代理店ですが、転職をしようと思ったきっかけは何ですか?

「自分の将来像が描けなかった」というのが大きいですね。営業だったので、男性が多い職場でした。数少ない女性の先輩はというと「キャリア志向が強く、結婚せずにバリバリ働いている人」か「朝4時に起きて家事も育児も完璧にこなすスーパーウーマン」のような人しか長続きしていない感じで。そういった雰囲気の会社で長期的に働いている自分の姿をイメージできなかったんです(グラフ:a)

それに、学生のころからの夢もあったため、「次こそは自分のやりたいことをやってみよう」と思ったんです。多少収入が減るくらいであれば自分のやりがいを優先したほうが良いと思い、入社3年目を終えて転職を決意しました。

その後は「えーい、辞めちゃえ!」と次の仕事も決めずに会社を辞めて…(笑)。
計画性もない状態で会社を辞めて、三カ月くらいはアルバイトで生活をしていました。

あとは転職支援サービスを使って市場における求人募集の状況について認識していたので、転職に対する不安はそれほどなかったように思います。最初の会社で営業のノウハウや社会人としての基礎を教えてもらったおかげもあり、あまり思い悩むことはありませんでしたね。

-その後、フェアトレードの会社に転職されますが、どのような考えからですか?

こんなことを言うのは少し気恥ずかしいのですが、大学を卒業したからには「社会に貢献したい」という思いで、働いていました。私の中で「国際協力」がひとつのテーマで、自分にはなにができるだろう、と考えながら転職先を探していたところ、「フェアトレード(※発展途上国で作られた製品を適正な価格で継続的に購入することで、その生産者をサポートする仕組み)」の仕事に出会ったんです。

ほかにもフェアトレードの会社はいくつかありましたが、理念と事業性がしっかりしていることを魅力に感じ、その会社に決めました。そのときはまだソーシャルビジネス(*1)という考え方は知られていませんが、いま思えばそうした考えの先に行き着いた会社だったように思います(グラフ:b)

ボランティアを通じて芽生えた南三陸への想い

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-フェアトレードの会社に5年勤めたあと、現職(間伐材を使った加工製品の販売)に至るきっかけにもなった東北の復興支援活動に参加されていますよね。どういった経緯で参加したのでしょう?

フェアトレードの会社を辞める直前に、東日本大震災が起こりました。ちょうど有休消化期間と重なったこともあり、まずは3週間のボランティアで被災地に行ったんです(グラフ:c)

ガレキの撤去など、体を動かすことがメインの仕事になるとどうしても男性には敵わない部分がでてきます。それに、数週間で帰ってしまうことがわかっているボランティアスタッフに任せられる仕事って少ないんですよ。
「もっと違う形でやれることがあるんじゃないか」と考えていたときに、右腕派遣(東北復興プロジェクトに取り組むリーダーの右腕として、現地に行き支援するプログラム)のことを知りました。

私が派遣されたのは、『南三陸復興ダコの会』というプロジェクトで、地域のキャラクター雑貨の製造と販売を行うもの。前職で背景のある商品を売っていたので、その経験が役に立つかもしれないと思ったんです。
セールスや広報などの面で、充分ではないものの、南三陸の人たちが求めていることと自分にできることがちょうど合致したのでよかったですね。

-当時の収入はどうでしたか?

ボランティアなので、お給料はありません。ただ、生活支援金という形で生活に必要な最低限の金額を派遣元のNPOからもらっていました。

-そんな中での生活は大変だったのではないですか?

右腕としての仕事は前例がない分、とにかく手探りでさまざまなことをやりましたね。
県外にも販売できるように工夫したり、ネット通販を始めたり。あとは、ファンを獲得できるようにSNSで発信したり、新しい商品を新聞やネットで紹介するための文章を作ったり…。
「自分がやるしかない!」という環境だったので、日々勉強しながらがむしゃらにやっていました。

当時、お風呂もないお寺で寝泊まりしていたのですが、そんなわたしを見た現地の方たちにはすごく気を使っていただきました。「お風呂入っていきなさい」とか「ご飯食べていったら?」とか、最終的には「うちに泊まっていったら?」などと声をかけてくださって…もう完全に私が支援されていましたね(笑)。

そうした現地の方たちとの交流が「もっと頑張ろう」と思う原動力になっていたように思います。
東京に戻ったいまでも、連絡を取り合ったり遊びにいったりと交流が続いているのはすごくうれしいし、ありがたいですね。

南三陸との縁を大事に、経験を活かせる現場に復帰

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-現在のお仕事は右腕派遣とも関わりがあるとのことですが…

そうですね。実はいまの会社の社長とは南三陸で出会ったんです。派遣期間が終わって東京に戻ることを伝えたら「営業職があいてるよ」と声をかけてもらって。
間伐材を活用した木工製品の販売を行っている会社で、南三陸の木を使った商品もあるので、東京にいても現地と繋がっていられるという気持ちは働くモチベーションにもつながります(グラフ:d)

再就職して安定した収入は得られるようになりましたが、転職当初は同世代と比べるとかなり低かったですね。でも、結果を出せるようになってから少しずつ昇給していきました。

会社の規模で見ると大企業から40人程度の会社、いまでは20人程と、どんどん小さい会社に移っていますが、いまがこれまでで一番良い環境で働けていると思いますね。

-右腕派遣を経験したことで、なにか変化はありましたか?

いまも営業職ですが、小さい会社なのでそれ以外の業務を担当することも多くあって。営業全体の施策を上司と一緒に考えたり、マーケティングやPRの仕事もあったりします。右腕派遣では、広報もやっていたのでその経験が生かされていますね。

あとは、仕事に対する考え方が大きく変わったように思います。
いままでは、どうしても“待ち”の状態になることが多く、“上司に言われたことをやる”という仕事の仕方でした。
でも、東北では正解のない仕事で、自分で考えて行動するしその分責任も自分にある、という状況を経験しました。それによっていままでどれだけ会社の名前や上司に頼っていたのか、というのを実感したんです。
いまも上司はいますが、小さい会社ですし「自分がやらなくては」という感覚が前よりも強くなったように思いますね。
どれだけ会社に貢献できるか、という良いプレッシャーを持ちながら働いています。

U29女子へのアドバイス「『失敗』を恐れない。『稼ぐ』ことに前向きに」

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-では最後に、U29女子へのアドバイスをお願いします。

「失敗して責任を取ることを恐れないでほしい」と思っています。
失敗を恐れていると、どうしても積極的に行動することができず、受動的になってしまいがちです。それに年数や経験を重ねると、仕事でのプレッシャーも強く感じるようになりますよね。でも、いくら大きなミスをしたとしても、自分が責任を取れる範囲なんて限られているんです。ミスをしたら誠心誠意、どうやってそれをカバーするか周りと一緒に考えて行動します。

だから、失敗や責任を恐れないで積極的に行動していくことが大事ではないでしょうか。

また、女性たちはもう少し稼ぐことに前向きになってもいいんじゃないかと思うんです。
「もらえるお金は拍手の数」という言葉が好きなのですが、拍手と同じでもらえるのであればもらっておいたほうがいいですよね。そして、もっと貪欲になっても良いと思っています。

いままで私は、あまりお給料にこだわらず「誰かに貢献できること」を探し、ご縁によって転職をしてきました。
収入が減ったり、仕事の重圧に「もうダメだ」と落ち込んだりするときもありますが、ずっとやりがいを模索してきたおかげで、仕事に対するモチベーションを保ち続けられたと思っています。それに、結果として好きな仕事をしながら結果を出すことで、それに見合ったお給料もいただけるようになりました。

いまの仕事が全てだと思いがちですが、そうじゃない世界は周りにたくさんあります。もちろん、一つの会社で頑張り続けるのも大切です。でも、外にでることで自分の世界が広がるというのは知ってもらいたいですね。

(*1)地域社会におけるさまざまな課題を解決するために、住民やNPO、企業などが協力してビジネスに取り組むこと。

(モニカ+プレスラボ)