未経験から転職! 販売サブマネージャーからヨガインストラクターへ
自分の心に素直に。長く、心地良く働く道を見つけました
株式会社ビジョナリーライズ
志澤愛美さん(27歳)
|前のお仕事では、気持ちが休まる時間はひとつもなかった
今日は久しぶりのオフ。でも私、お休みのはずなのになぜか社用携帯を手にしてる。会社のメールをチェックしてる…。今、振り返り考えると、私はまさにそんな仕事ライフを送っていました。24時間仕事が頭から離れず、ずっと気持ちが張りつめてる。休みのはずなのに脳みそのモードは全然休んでない…。結局身体も疲労感が残ったまま。
以前の私は、お店での接客はもちろん、スタッフのシフト管理に後輩の指導、それに新人への社内セミナーの講師の仕事と、とにかく何でも任される中間管理職でした。それに人前に立つ講師という仕事柄、私自身もキレイでいなくちゃダメという変な思いに駆られて(笑)。太ってはいけない、メイクは常にばっちり。いつどんな時も美しく、お客さまからはもちろん、後輩からも憧れられる存在でいなくちゃ。とにかく頑張らなくちゃと、どんどん自分を追い込んで、ついに私の心と身体が悲鳴をあげたのです。
|ふとしたきっかけで出会ったヨガが、私の人生を変えた
「筋肉が緊張しっぱなし。全然身体が休めてないですよ」。体力アップを目的に通っていたスタジオのフィジカルトレーナーが、私の心身の状態を教えてくれました。「身体の緊張をほぐすのに、ストレッチやヨガを始めてみるのもいいかもね」。
こうして出会った、ヨガ。レッスンに入ると心がほわっと丸くなって、仕事でとんがっていた気持ちが整っていく。仕事への熱意と勢いだけでガンガンに突っ走っていた私に、心のブレーキをかけてくれたような感覚でした。ヨガってすごい! 突き詰めていけば、私の人生を変えてくれるかも! 「思い切ってインストラクターを目指してみよう」。決心が固まるまでそう時間はかかりませんでした。
|緊張マックスの講師デビュー。お客さまが私に教えてくれた気配りの大切さ
こうして決めたヨガインストラクターへの道。約半年の資格取得の勉強を経て、ついに迎えたデビューの日。実はこれが私にとって一番の正念場となりました。
『あと10分でレッスンが始まります』
さぁ、講師デビューへのカウントダウンがスタートしました。
10分前。次々にスタジオに入るお客さまを、何とか笑顔でお迎え。
5分前。緊張でバクバク鳴る心臓。それでも平静を装い「こんにちは」と皆さんにごあいさつ。
1分前。わわわ、もう始まっちゃう! 本当に私が指導していいのかな。私、大丈夫かな?もう完全にパニック!!!
どうレッスンを運んだのか、何を話したかもよく覚えてないくらい緊張した初仕事。自分ではソツなくこなしたつもりだったけど、レッスン後には「スタジオの奥のほうにいたせいかしら? 声が聞き取りにくかったわ」。「ちょっとスタジオの温度が暑かったわ」と、率直なお客さまからの声が。
デビュー当日。未熟な私の心にズシンと響きました。
あぁ、自分のことばかりで全然気配りできてなかったな。自分を戒めると同時に、お客さまに頂いた言葉を次のレッスンをよりよくするモチベーションへと変えていきました。
あのひと言は今でもしっかりこの心に刻まれています。そして、インストラクターとして、お客さまの前に立つたびに、自分自身へリフレインしている言葉でもあります。
今はホットヨガのインストラクションを中心に、会社の事務作業や企画業務を手伝う毎日。ヨガインストラクターを通して自分の心と身体を緩め、一方、オフィスワークではビジネスの張り詰めた空気を味わう。そんなメリハリのあるお仕事ライフを実現しています。
頑張りすぎている20代の皆さん。
確かに頑張ることは大事だけど、頑張りすぎる前にしっかり心をいたわってほしい。そして、仕事を通じて心と身体をメンテナンスしていく方法もあるんだと、気づいてほしい。長い仕事人生、いつまでも心も身体も健やかに、過ごすことを真剣に考えたら、未経験の壁を超えるなんて結構たやすいもの。仕事で身体をこわした経験のある私だから、皆さんへ伝えられる。確固たるメッセージです。
●ある日の流れ
9:00 出勤。
9:15 朝一番でホットヨガクラスをインストラクション。
11:30 続いて午前中2本目のレッスンを担当。
13:10 午前中のレッスンが終了。スタジオの掃除とシャワーをサッとすませる。
14:00 ランチタイム。今日のメニューはりんごとバナナ、ミネラルウォーターをたっぷりと。
15:00 スタジオの事務所で企画のお仕事。今日はシニア層に喜んでもらえそうなイベントを考える。
18:00 事務処理を終えて、勤務終了。
●転職before / after
・雇用形態……正社員 → 正社員
・勤務時間……10:00~19:00 → 9:00~18:00(シフト制 実働8時間)
・給与……約30万円 → 実家に5万円入れて、さらにお小遣いも十分残る程度
・休み……週休2日制(シフト制) → 週休2日制(シフト制)
・休日の過ごし方……家に持ち帰った仕事をこなす → ヨガフェスやイベントに出かけて楽しむ
●転職して変わったこと
とにかく健康な身体を手に入れたこと。そして、健康な心も手に入れたこと。それに生徒さんとの交流を通して人のつながりの大切さも実感! すべてがいい方向へ回り始めています。(志澤さん)
●編集部より
忙しい毎日、難しい人間関係…もしかしたら私たちも知らず知らずのうちに、仕事で自分の心や身体を痛めているのかもしれません。志澤さんはそんな自分の変化をいち早く感じて、仕事人生の舵を大きく切り直しました。「ムリをせず、心地よく、長く働きたい」そんなシンプルな願いも、未経験の壁を超えるカギになりえます。
取材・文/中島典子 撮影/刑部友康