お金を楽しく貯めるための家計管理に、お得な「ふるさと納税」活用法まで!ファイナンシャルプランナーがU29女子に送る本気の節約・投資レッスン<後編>

2016年03月31日

結婚や出産、引越しなど、将来の人生プランを考えたとき、一歩踏み出せるかを大きく左右するのはやっぱりお金。今回はU29女子代表・会社員の岡田さんが自身の収入を赤裸々に公開し、ファイナンシャルプランナー前野さんに貯金と投資のコツを体当たり取材!“なんとなく”だったお金のノウハウを“本気で”お伺いしてきました。

<今回のポイント>
・投資で「必要なお金」を増やすのはNG!焦らないことが運用のコツ
・「ふるさと納税」などの制度を利用して上手に節税する方法もあり
・「自分が何にお金を使いたいか」を決めることが、無理のない節約への近道!

 

投資は、お金と時間に余裕をもった“ゆる運用”がコツ

 

 

U29女子
岡田さん・28歳
新卒入社した会社で勤務年数6年目の会社員。貯金はしているつもりだけど、無駄遣いも多いところが悩み。
投資にも興味津々。

 

 

 

 

 

ファイナンシャルプランナー
前野彩さん
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持ち、多数メディアで活躍しつつ女性の家計相談を中心に活動する人気ファイナンシャルプランナー。
今回はU29女子のために「頑張らない」家計管理をアドバイス!

 

 

 

岡田さん:以前、貯めているだけのお金を有効活用したいと思って投資を始めようと思ったことがあるんですが、何から始めらたら良いのか分からなくて挫折してしまいました。そもそも、投資に回す金額はどう決めたら良いんでしょうか?

前野さん:それも今後「何」に「いくら」使いたいかによって変わってきます。投資を始めようとしたきっかけは何ですか?

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岡田さん:う〜ん、もっとお小遣いが欲しくて…というのが正直なところです。なんとなく、遊びに使える自由なお金を増やしたい、と思ってました。

前野さん:では、順番に説明していきますね。
まず、投資は大きくふたつに分けて「株式」と「投資信託」があります。どちらも値動きがあるため、どうしても損をする可能性があります。ときには「損してもいい金額でやりましょう」という方もいますが、損していいお金なんてありませんよね(笑)。岡田さんは「遊びのため」つまり「お小遣い」ということなので大丈夫ですが、例えば“来年の結婚式のために、いくら必要”といった「期限があって、絶対に必要なお金」を投資で増やすのはやめましょう。たとえ買った株の値段が下がっても、値上がりを待てず売るしかない…ということが起きてしまいます。たとえ損しても「今すぐ必要なお金じゃないし、いつか戻って来ればいいや」とゆるく考えるのが運用のコツです。

岡田さん:株の買い方は、どうやって決めればいいんですか?

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前野さん:私がオススメしているのは「興味がある分野の銘柄」を買うことです。好きな分野や業種だと「売り場が広くなっている」「たくさん仕入れられている」と目に付きますし、関心が持てますよね。
さらに、服や化粧品といった分野であれば、株主優待にも期待できます。優待があると、値下がりしても「化粧品がもらえるからいいかな」って楽しく続けられます。株は安い銘柄であれば、数万円から買えますよ。

岡田さん:普段お店で買い物する時の視点が変わってきそうですね。市場動向に詳しい人が勧める銘柄が良いのかと思ってたんですが、勧められるままよく知らない企業の株を買って値下がりでもしたら「損したうえに騙された!」って気分になりますもんね。

前野さん:「価格の変動が心配」という方には、投資信託がオススメです。1つの投資信託の中には、数十から多いところで数千の銘柄をまとめてプロが運用するため、仮にどこかが破綻しても、ダメージが小さくなります。値動きも個別銘柄を買うよりも安定してますよ。投資信託は1万円から買えますし、ネット証券によっては500円から積み立てができて、いま投資信託のハードルはとても低くなってきています。

とらばーゆ

岡田さん:初めて投資をするときはどっちがオススメですか?個別銘柄の場合、毎日細かく株価の変動を見なきゃいけないイメージがあって、チェックするのが大変そうで…。

前野さん:市場はプロも初心者も関係なく動いているので、株式と投資信託どちらが初心者向き、ということはありません。ですから毎日市場をチェックせずに「1年後に値上がりしていればいいや」と考えたり、「株主優待のプレゼントだけ貰って売る」という運用方法も大いにアリです。
株は、持ってみないと「自分がどういう気持ちになるか」というのは分かりません。「株価の変化が楽しくて、ニュースも進んでチェックするようになった」という方もいれば、「10円の変化でも気になってしまうので、投資信託で積み立てて、(途中減ったかもしれないけれど)気づいたら貯まってたというほうが良い」という方もいます。

 

家を買わない人は「マイナス金利」で、損してる?

岡田さん:投資信託のほうが楽だと思ってたんですが、お話を聞いて個別銘柄のほうが変化を楽しめそうだし、株主優待も魅力的で興味が湧いてきました。あと、最近ニュースでよく見かける「マイナス金利」や「ゼロ金利」をきっかけに株を始めた人が多い、と聞いたことがあるのですが、どう関係があるんですか?

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前野さん:「マイナス金利」や「ゼロ金利」は金融機関向けの政策なので、私たちの日常生活に直接影響するものではありません。
そもそも、全ての銀行は日本銀行に口座を持っています。私たちは銀行にお金を「預ける」といいますが、実は「貸してる」んです。貸してるから、銀行は貸してくれた私たちに対して利息を払うし、私たちから集めたお金を住宅ローンや企業の設備投資にまわして利息をもらう、というサイクルになっています。そこで余ったお金を銀行は日本銀行に預けて、銀行は日本銀行から利息をもらっていたのです。
ですが、景気が冷え込むと個人も企業もお金を使わなくなり、貸し借りが起こらなくなってしまいます。そこで「マイナス金利」を設定し、日本銀行は銀行に対し「お金を預かっているのだから、むしろ銀行から手数料をもらうこと」を決めました。
そうなると、銀行が日本銀行にお金を預けると、手数料(マイナス金利分)の支出が増えるので、銀行は日本銀行にお金を預かってもらうよりも、企業や個人の住宅ローンにお金を貸すようになりました。これにより、フラット35という住宅ローンの金利は、マイナス金利前と後では0.23%も下がりました。
銀行としては、住宅ローンの金利収入が下がっている分、もともとお金を銀行に貸してくれた個人に対しての金利も下げるしかないわけですよね。そこで、普通預金の金利も0.001%というように下がっているんです。

岡田さん:じゃあ、普通預金に預けているだけでは損してるってことですか?

前野さん:私たちがマイナス金利の手数料を払うわけではないので、損することはありませんから安心してください(笑)。ただ、銀行に預けているだけでは、お金が増えない時代なので、投資信託で積み立てて運用したり、株価が下がっているからこのタイミングで株式をやろう、という人達がいます。こうした投資の流れを作ることで、企業を元気にして、景気を改善していくことも「マイナス金利」の目的です。

 

ネットショップ感覚で楽しめちゃう「ふるさと納税」

岡田さん:景気のためにさまざまな政策がおこなわれているんですね。貯金や投資以外に、こうした国の制度を利用してお金をうまく増やす方法はあるんですか?

前野さん:税制をうまく使うことで天引きされる住民税を減らす方法があります。「ふるさと納税」はご存知ですか?

岡田さん:お肉やお米がもらえる、という知識しかありません…。

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前野さん:「ふるさと」という名前はついていますが、出身地でなくてもいいので、どこかの地方自治体へ「寄付」することを「ふるさと納税」といいます。「ふるさと納税」はあくまで寄付なので、最低2000円は自己負担しなくてはいけません。もし1万円寄付したら、自己負担の2000円を超えた8000円分の税金が安くなる、という仕組みです。
当初は、自己負担額は5000円で一方的に寄付するのみだったのですが、「寄付してもらったのだから、5000円相当の品をお返ししよう」という自治体が現れて「特産品でお返しをする」という仕組みが広まったんです。さらに東日本大震災をきっかけに自己負担が5000円から2000円に下がりました。しかも、自治体からのお礼の内容は据え置きの自治体も多く、2000円の自己負担で5000円相当の特産品が貰えるのでお得、というわけなんです。

また、税金を安くするためには、本来は会社員でも確定申告が必要です。でも、確定申告をする必要がない方で、寄付する自治体が5箇所以内であれば「ワンストップ特例制度」が適用されます。これは、例えば北海道に「ふるさと納税」をすると、北海道から「岡田さんが寄付をしてくれたので、来年度の住民税を安くして下さい」と住んでいる自治体へ自動で連絡がいく制度です。

岡田さん:税金が下がるうえに特産品までもらえるなんて、すごくお得じゃないですか!

前野さん:ただ、その分いま住んでいる地域の税収は下がってしまう、ということも覚えておいてくださいね。また、たくさん寄付するほど安くなるということではなく、寄付金は住民税の二割までという上限があるので、ふるさと納税をきっかけに自分が納めている税額を知るきっかけにもなりますね。

岡田さん:手続きはどうやってすればいいんですか?

前野さん:自治体に直接おこなうこともできますし、全国の1800近い自治体の情報が載っている「ふるさとチョイス」というサイトがオススメです。ので、カード支払いができる自治体が増えているので、ネットショッピング感覚で良くも悪くも気軽にできますね。
「ふるさと納税」はオススメですが、こうしたオトク情報を集めるだけじゃなく、自分の寄付したお金をどのように使ってほしいのか、ということは常に考えてみてくださいね。

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岡田さん:これまで目的もなくお金を貯めていたんですが、お金があっても「自分がどうしたいか」「何に使いたいか」「何のために貯めるのか」が決まらないと有効に使えないということが、今日はよく分かりました。あと、ふるさと納税は今日にでも始めたいと思います!

前野さん:決めた目標に向けて貯金すると、もし使わなかった場合でも別のことに有効活用できます。お金の準備ができていれば、結婚や引越しなど、将来の選択肢も増えていきますよ。岡田さんはお金に対して前向きに取り組む意欲がきちんとあるので、そこが強みだと思います。あとは「使い方」を覚えましょう。「道具を持っていること」とそれを「使うこと」は全く別のこと。岡田さんは道具を持っている人だと思いますから、今日はその「使い方」を知って頂けたかな、と思います。自分の目的をきちんと決めて、お金を楽しく使いましょう!

<前野彩さん>
ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士・住宅ローンアドバイザー)、株式会社Cras 代表取締役、FPオフィスwill 代表。
元、中学校・高校の保健室の先生という異色FP。自らの住宅ローンで800万円、保険で1,000万円の見直しを行った経験を元に、「知ればトク得、知らなきゃソンするお金の知恵」を伝える。個人相談の人気は高く、年間300件にのぼる。また、年間120回を超える講演を行うほか、雑誌やテレビでも活躍中。近著には今回の相談でも使った「本気で家計を変えたいあなたへ」 (日本経済新聞出版社)がある。他多数。