どう使う?どう貯める?
ファイナンシャルプランナーに聞いてみた
ボーナスを賢く貯めるマネー術
いよいよボーナスシーズン到来!
ボーナスの使い道、あなたはもう決めていますか?
この時期、ボーナスの使い道のアンケートなどで必ずトップにくるのが「貯蓄」。でも、貯金をしてもほとんど利子がつかない今、「地道にコツコツ…」に意味があるのかな?と思っている方もいるのではないでしょうか。将来を考えるとボーナスを全額使い切るなんてことは不安だし…、口座に振り込まれたままにしておくのも少しもったいない気がするし…。賢く使いたいけど、具体的にどうしたらいいのか分からない。
そんなあなたのために、ボーナスの有効な活用法を、ファイナンシャルプランナーでお金に関する著作も多くある、長尾義弘さんに伺ってみました。
普通預金に預けるだけで大丈夫?
皆さんが考えているように、「ボーナスを貯蓄に」というのは実にいい選択肢の1つ。これをきっかけに貯め癖をつけることができ、将来にゆとりを持った生活ができるからです。
でも普通預金に預けようとしている人は、少し考え直してください。普通預金の金利は、現在0.001%。1年間100万円を預けても10円しか利子が付きません。時間外にATMを利用すれば、手数料でマイナスになってしまいます。
普通預金よりも20倍お得な定期預金がある!?
定期預金の場合、1年定期の金利は0.01%。普通預金と大きな差はありません。でも、一部のネット定期預金では、0.2%や0.15%など、通常の銀行の定期預金よりも20倍ぐらい利率の高いものがあります。
とは言っても、利率0.2%では1年間に100万円を預けても2,000円…。やはり預金だけでお金を貯めるのは、なかなか難しいようです。そこでおすすめなのが、株式や投資信託といった運用です。普通預金や定期預金にプラスしてみてはいかがでしょうか。
最強の貯蓄術は確定拠出年金!?
「確定拠出年金」という制度をご存知でしょうか?
確定拠出年金とは、仕事をしている現役時代に、自分で毎月一定額を積み立てていく年金です。国がその制度の後押しをしているので、さまざまな優遇制度があるのです。
確定拠出年金の最大のメリットは、税金でかなり得をするということ。確定拠出年金で拠出する掛金は、所得控除扱いになります。つまり、所得税5%(課税所得が195万円以下の場合)と住民税10%があるので、年利15%の節税が可能なのです。
具体例:月額3万円の掛金だと年額36万円。この36万円の15%の5万6,000円が戻ってくるのです。ということは30万4,000円で36万円分の貯蓄ができることになります。しかも受け取るときにも、退職金控除、または公的年金控除があるので税制上のメリットは大きいです。
ボーナスで投資デビュー!その2つのワケ
これらのほか、ボーナスを賢く活用する方法として株式や投資信託で資産運用をする方法もあります。この時期、私が“ボーナスで投資デビュー”をおすすめするのには、2つの理由があります。
1つめの理由
通常の給料 のような「生活資金」を投資に回すのはとても危険だから。その点、「余裕資金」となるボーナスであれば、今の生活に影響なく運用することができます。
2つめの理由
投資を始めることで経済や社会の動きに関心を持つようになるから。これからの長い人生を生きていく中で、お金の知識は実に重要なことだと思います。
もし投資を始めるのなら まずはNISAで少額から…
NISA口座を活用するのがおすすめです。
NISAとは、少額投資非課税制度のことです。株式や投資信託の運用益や配当を非課税にする制度で、税金の優遇を受けることができます。
通常の口座では株式や投資信託の利益に対して、20.315%の税金を取られてしまいます。つまり儲かっても税金を引かれてしまうのです。でも、NISA口座であれば、儲かった分の税金は引かれません。
投資初心者はこんなところに気をつけて
初めて投資信託の商品を選ぶときのポイントとしては、運用会社へ支払う年間の運用費用が少ない(信託報酬料の低い)こと。長期で運用する場合は、この信託報酬料の違いが結果に大きく左右します。
しかし、ボーナスだからといって気持ちが大きくなり、全額投資に回すのは絶対にNGです。投資はあくまで投資。かならず利益が出るという保証はなく、時には元本割れをするリスクもあります。生活資金に余裕を持ってスタートし、少しの額から始めて経験を積みながら、投資額を増やしていくのが賢い方法と言えます。
人生の中で何十倍ものリターンがあるものは…
株式や投資信託の他にも、使い方によっては何倍、何十倍ものリターンが得られる投資があります。それは自分への投資です。
たとえば私は、数十万円を使ってファイナンシャルプランナーという資格を取得しました。数年後、それをきっかけに本を出版するなどして、かけた額の何十倍にもなって戻ってきたのです。これも一種の投資と言えると思います。
人生を豊かにするための自己投資もある
また自己投資とは、お金を直接増やすことだけとは限りません。たとえば習い事を始めたり、素敵な趣味を増やしたり、行ってみたい場所に行ってみるとか…。
始めてみたら意外とはまった、行動範囲を広げたら新たな出会いがあった、自分の新たな特技を発見したなど、それまで知らなかったような世界が広がり、人生をより豊かにしてくれることもたくさんあります。
■いかがでしたか?
漠然と「お金を貯めたい」と思っていた方も、具体的なボーナスの活用法が見えてきたでしょうか?自分に合ったお金の運用方法が分かってくれば、将来への不安がクリアになったり、やれることが増えるようになっていきます。将来にわたったお金を考えることは、自分の人生設計にもつながることなのです。
今度のボーナスは、自分とお金の未来を考えるきっかけとして活用してみてはいかがでしょうか。
長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャルプランナー、AFP。
徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『お金に困らなくなる黄金の法則』『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社)など多数。