ただ持っていても意味がない! キャリアに役立つ資格の選び方とは?
そこで、“ただ持っているだけの資格”にしないために、知っておきたい資格の選び方を、資格取得のための学習サイト「資格スクエア」代表の鬼頭政人さんにうかがいました。
資格がムダにならないように、まずはキャリアの方向性を考えて
国家試験から趣味・教養的なものまで、さまざまな資格があります。実は、弁護士や会計士など需要が高い(難易度も高い!)ものでない限り、資格よりも実務経験のほうが転職やキャリアアップには有利に働きます。なので、“とりあえず資格を取る”のではなく、まず将来の方向性を定めて、キャリアに関連した資格を取るとよいでしょう。
★=比較的容易 ★★=やや難しい ★★★=かなり難しい
事務系の職種で注目するなら、ビジネスの基礎体力を付けるという意味で、簿記〈★〉やビジネス会計検定〈★〉、中小企業診断士〈★★★〉など。また、仕事に役立つだけでなく日常生活で損をしないという視点では、お金の使い方がわかるファイナンシャルプランナー〈★〉、法手続きがわかる行政書士〈★★〉などがあります。
アラサーといえば出産・育児でキャリアを中断することもある世代なので、復帰したときの働き方を見据えて資格を取るのもよいでしょう。秘書検定〈★〉、初級ウェブ解析士〈★〉、ウェブデザイン技能検定〈★★〉、基本情報技術者〈★★〉など、バックオフィス系の仕事なら柔軟な働き方が可能です。スキルを身に付けて、フリーランスとして独立というシナリオも描けます。
女性は一般的にマーケティングやライティングに強いといわれますが、その分野の資格はあまりないのが現状です。その中で、Webマーケティング系のGoogleアナリティクス上級〈★★〉などは検討してみる価値はありそうです。
今後、ニーズが高まりそうな資格とは?
一般事務職の求人が減少傾向にあるなら、市場の急成長が見込まれ、人材が必要とされる分野で資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょう。まだ一般的でないという点でも、目新しく、履歴書で光ります。
たとえば、
・さまざまな産業分野で導入活用が広がるドローン操縦士〈★〉
・仮想通貨の普及・導入に向けて暗号通貨技能検定〈★〉
・モノがインターネットにつながるIoTシステムを構築・活用するためのIoT検定〈★〉
・人工知能(AI)の事業化のための技術的な知識を持つAIジェネラリスト検定〈★〉
など、これらの先端技術分野は急速な普及が見込まれ、時代に合った資格だと思われます。
資格全般にいえることですが、受験者数が増えると取得が難しくなる傾向があるので、早めにチャレンジするのが得策でしょう。さらに、国家的に重要な課題であれば民間の資格から国家試験になることもあります。知的財産管理技能検定〈★〉などがその例です。経済の動きや政策などの時流をキャッチして、今後、必要とされる資格を見極めましょう。
IoTやAIの需要が高まる一方で、機械やコンピュータにできないのが“人に寄り添う仕事”です。条件を満たせば受講費用の一部を国が負担してくれる、「専門実践教育訓練給付金」の対象にもなっている看護師〈★★★〉は、確実に必要とされる資格だといえます。
興味を持ったことから、キャリアが広がることもある
将来のキャリアの方向性を定めて資格を取ったほうがといい、とお話しましたが、その逆もありです。興味を持った資格検定試験を受けてみると、そこからキャリアが広がることもあります。
資格検定試験を受けることのメリットとしては、知識を体系立てて理解することができる、また締切効果が働くので勉強するきっかけになる、というのがあります。資格を手にしたら自信にもなるでしょう。自分に刺激を与えていかなければ、興味のあることもなかなか見つかりません。資格の勉強をしているうちに、その分野が好きになることもあります。
ビジネスとは関係のない趣味・教養系の資格も、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を向上させることができ、突き詰めていけば、自分で教室を開いて人に教えることができるかもしれません。どんなことでも、極めれば、仕事につながる可能性を秘めています。
1981年生まれ。資格スクエア代表。弁護士。慶應義塾大学法科大学院在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て都内法律事務所に弁護士として勤務。投資ファンドに勤務した後、2013年、資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業。著書に『資格試験に「忙しくても受かる人」と「いつも落ちる人」の勉強法』(大和書房)など。
※この記事は2017年12月時点での情報です。