よく見ずに捨てたりしていませんか?重要事項が満載の源泉徴収票の見かたをチェック!

2016年11月30日

U29女子が身に付けておきたいお金のこと
源泉徴収票には、重要事項が満載。しっかり確認してみましょう。

U29女子 源泉徴収票の見方

毎年、年末になると、会社から源泉徴収票をもらうけど、よく分からないから見ないでそのうちどこかにいってしまっている…という人は、ちょっと待ってください。
実は、源泉徴収票には、重要事項が満載です。一年間働いて、どのくらいの年収なのか、どのくらい税金・社会保険料を支払っているのか、そして一年間の手取りも分かります。

1、源泉徴収票とは?

まず、「源泉徴収票」って何?という疑問が起こりますね。
源泉=源。給与のことです。徴収=税金などの取り立て。
つまり、働いてもらう給料(給与総額)から、税金や社会保険料を計算した計算書の控えです。
自分で、直接支払ってはいませんが、所得税や住民税、健康保険料、雇用保険料を、私たちは毎月の給料から引かれているのです。
いつも、引かれた金額しか手にしていないので、その実感はあまりないかも知れませんが、実際には、かなりのお金が差し引かれているのをご存じですか?

2、源泉徴収票を見るポイント

では、具体的に「給与所得の源泉徴収票」を見ながら説明をしましょう。
注意するポイントは6つです。

源泉徴収票の見かた 票イメージ
※マイナンバー制度導入により、2017年度から様式が一部変更されます

支払金額

1年間に稼いだお金の総額。手取りではなく、額面の金額。通勤費などは含まれていません。

給与所得控除後の金額

①から給与所得控除額を引いた金額。
控除とは、税金を計算するときに、支払う税額を減らすことができる制度です。ですから控除が多ければ多いほど、税金を払う額が少なくなるということになります。
サラリーマンは、仕事する上で必要なものがいろいろあります。たとえば文房具とか、スーツとか、靴とか、カバンとか、いろいろ必要ですよね。その分は、必要経費として税金を取りませんよ。と言うことで、ザックリと支払金額から算定したのが給与所得控除額です。
支払金額から給与所得控除額を引いた金額が給与所得控除後の金額になります。

所得控除の額の合計額

1年間で支払った社会保険料のほか、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除などの合計金額です。
社会保険料とは、健康保険、公的年金、介護保険、雇用保険などの金額のことで、これらは控除の対象になります。それにだれでも無条件に差し引ける基礎控除38万円、配偶者控除などそれぞれの控除額を足した金額がこの数字になります。

源泉徴収税額

源泉徴収税額とは、所得税額のことです。
この所得税額とは、②から③を引いた金額。つまり課税所得(所得税を計算する時の金額)に所得税率をかけた金額が所得税額になります。
所得税率とは、195万円以下の課税所得金額の場合は5%、195万円を超え330万円以下の場合は10%と、どんどん上がっていきます。

社会保険料等の金額

あなたの給料から、天引きされた社会保険料等の総額です。つまりこの金額というのは③の「所得控除の額の合計額」の中に含まれています。③で説明したように社会保険料とは健康保険、公的年金、介護保険、雇用保険などです。

生命保険料の控除額

生命保険、介護医療保険、個人年金保険を支払った場合、一定の金額を控除してくれます。それの合計金額になります。

3、手取りの計算の仕方

ところで、よく見てみると、自分の1年間の手取り額がどこにも書いてありません。
自分の手取りを計算するには次のようにして計算してください。
①支払金額−④源泉徴収税額−⑤社会保険料等の金額=手取り金額です。

◎税金を取り戻す方法は
税金を取り戻す方法で身近なものは、医療費控除があります。1年間の医療費が10万円を超えた場合は、税金が戻ってきます。このときの10万円というのは本人だけではなく、生計を一にする家族全員の医療費を合計できるのです。意外と10万円を超えることが多いのです。ただ、年末調整ではなく、自分で確定申告をする必要があります。税金が戻ってきますので、ぜひ確認してみてください。

4、源泉徴収票には5つの壁が隠されている

所得には、いくつかの壁があることをご存じでしょうか?
A 103万円の壁:年収が103万円を超えると所得税が発生する
B 106万円の壁:一定条件に該当すると社会保険適用となる
C 130万円の壁:社会保険の適用となる
D 141万円の壁:妻の年収が141万円を超えると、扶養者の配偶者特別控除がなくなる
E 195万円の壁:課税所得が195万円を超えると課税所得が10%になる

A~Dは、①支払金額の数字です。この数字に近い金額の人、そして主婦で働いている人は、注意してください。この数字を超えるかどうかで、手取金額が変わってきます。
Eは、課税所得の金額なので次の計算でわかります。②給与所得控除後の金額−③所得控除の額の合計額=課税所得

源泉徴収票の見かたについて、お分かりいただけたでしょうか。
ただ毎年受け取るだけではなく、自分の支給金額や源泉徴収額をこの機会にしっかりチェックしてみましょう。

長尾義弘さん NEO企画代表 ファイナンシャルプランナー、AFP記事監修:長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャルプランナー、AFP。
徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『お金に困らなくなる黄金の法則』『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社)など多数。