働く女子のキレイをかなえる「セルフケア術」
新年度が始まってはや2カ月。気温や湿度が高まるこの時期は、女子のカラダやココロに不調が起きやすいタイミングでもあります。そこで毎日のセルフケアのポイントについて、産婦人科医の國井優衣子先生に聞きました。
【食事】たんぱく質をしっかりとる
國井先生によると、この春に就職・転職や職場の異動など何らかの環境変化があった人が、今の時期に心身の不調を訴えることが多いのだとか。知らず知らずのうちにストレスを抱え、女性ホルモンのバランスが乱れていることが原因になると言います。「月経不順や無月経などで来院する方が増える時期。不眠や倦怠感、肩こりなどもよくある症状です」。
「ホルモンの分泌は脳がコントロールしていますが、その機能の調整に必要なのがたんぱく質と脂質。毎回の食事で、バランスよく食べることが大切です」。たんぱく質には肉や魚などの動物性と大豆や豆腐などの植物性がありますが、これも偏らないことが大事なのだとか。まずは1日3食しっかり食べることがスタートです。朝は食べない、昼はおにぎりだけ、などの人は見直して!
ちなみに、女性ホルモンはエストロゲン (卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種。生理後排卵まではエストロゲンの分泌が高まり、排卵後次の生理まではプロゲステロンが増えるのが正しい性周期です。
【睡眠】ぬるめの入浴&ストレッチで快眠
よく眠ることも、ホルモンバランスの調整には不可欠。1日の睡眠時間は、個人差はありますが、6~8時間がベストだと言われています。もう1つ大切なのは睡眠の「質」。日中に高ぶった交感神経を鎮め、心身をリラックスさせる副交感神経を高めることがポイントです。
おススメは、就寝前に38~40℃のぬるめのお湯に15~20分ほどゆっくりつかること。「浴室をほの暗くすれば、さらに効果アップです。脱衣所の明かりだけつけて浴室の電気は消すなど、お手軽な方法で試してみてください」。入浴後は軽いストレッチをして、体が冷えないうちにお布団へ。スマホやタブレットを持ち込みは、交感神経を高めてしまうのでNGです。
【ファッション】おなかを温める
冷えも女子の大敵。特に、血管が集中する子宮や卵巣の付近が冷えると血流が滞り、ホルモンバランスの乱れにつながります。「冷房が入る季節は、自覚がなくても体は冷えているもの。寒いと感じたときには相当冷えていると考えてください」。カーディガンや膝かけなどのほか、保温効果のある下着もおなかの冷え対策におススメです。爪先立ちでかかとを上げ下げする運動も、2、3分でも下半身の血流がかなり改善するそう。休憩時間に試してみて!
【ライフスタイル】ワクワクを楽しむ
女性ホルモンのバランスを整えてくれるものに、セロトニンという脳内ホルモンがあります。分泌を促すには日光を浴びる、有酸素運動をするなどの手段がありますが、別名「幸せホルモン」と呼ばれ、ワクワクした気分でいることでも方法の一つ。「特に排卵後、次の生理まではセロトニンが減少しがちな時期。趣味を楽しむなど、自分をワクワクさせることを特に意識するといいですね」。
~ 國井先生からメッセージ ~
「婦人科では女性ホルモンの血中濃度を調べる検査も実施しています。検査にベストなタイミングは生理中。不調を放置すると、将来的に不妊につながる恐れもありますので、自覚症状の有無に限らず一度調べておくことをおススメします。婦人科の受診に抵抗がある人もいるかもしれませんが、自分の体を守れるのは自分だけ。ぜひ自分を大切にしてください」。
■ プロフィール
國井優衣子
日本産婦人科学会専門医。順天堂大学産科婦人科学教室で研鑽を積み、現在は、産婦人科クリニックさくら(神奈川県横浜市)をはじめ、都内の産婦人科外来診療に従事。