U29(ユニーク) 女子プロジェクト

アラサー女性の「仕事の三大お悩み」解決術

結婚や出産、職場での立場の変化などをきっかけに、これからのキャリアやワークライフバランスについて考えるようになるアラサー世代。“人生の転機”を迎えるこの時期だからこそ、大きくなってしまう「仕事の悩み」とは?

キャリアコンサルタントとして活躍し、多くのアラサー女性の「仕事の悩み」に向き合っている寺本亜紀さんに、その解決術をうかがいました。

 

対人関係や仕事内容……アラサー女性の仕事の悩みとは?

2017年9月7日に発表された厚生労働省の「平成28年労働安全衛生調査」によると、労働者が仕事でストレスを感じる事柄として、1位:仕事の質・量(53.8%)、2位:仕事の失敗、責任の発生等(38.5%)、3位:対人関係<セクハラ・パワハラを含む>(30.5%)、4位:役割や地位の変化等(26.8%)、5位:会社の将来性(22.2%)が挙げられています。

実際に、20代後半~30代前半の女性から受ける悩みの相談も、決してこの調査結果とかけ離れるものではありません。

この世代の女性からの相談内容として多いもの、一つ目は「上司に理解・評価されない」「同僚や先輩との関係が上手くいかない」といった対人関係に関するものです。二つ目は「仕事量が多すぎて、結婚や出産後も続ける自信がない」「役職が上がって求められる仕事の質が変わり、戸惑っている」という現在の仕事内容に関するもの、そして三つ目は、「未経験でも、やりたい仕事に転職したい」「やりたい仕事に就くために資格取得を考えているけれど、今の仕事を辞めるのは不安」といった今後のキャリアアップに関するものです。おもにこの三つがアラサー女性にとっての“仕事の三大お悩み”になっているようです。
 

悩みの解決に有効なのは“転機を乗り越える方法”に沿った自己分析

対人関係でもキャリアアップでも、悩みの内容に関わらず、解決方法として有効なのは客観的な自己分析です。たとえば、「職場の先輩からなぜか冷たい態度をとられる」というような、解決策を見出すのが難しそうな悩みであっても、冷静に自己分析をしてみると「私のあのときの言い方に問題があったかも……」といった風に、悩みの原因となっていそうな要素が見えてきます。すると、自分の言動をどう変えていくと問題解決につながるのかという対処法も、おのずから見えてくるでしょう。これらは頭の中で考えるだけでは、なかなか整理がつかないことも多いため、実際に手書きで紙に書き出してみるのがおすすめです。

そしてその際に、指標として役立てていただきたいのが、米国メリーランド大学名誉教授のナンシー・K・シュロスバーグが“転機を乗り越える方法”として提唱する「4S理論」です。この「4S」とは、①状況(Situation)、②自己(Self)、③支援(Support)、④戦略(Strategies)の頭文字をとったものです。それぞれ次のようなポイントで書き出してみましょう。

①状況(Situation)
今の職場や自分の置かれた状況について、メリット・デメリットを含めて具体的に書き出します。ここで大切なのは、自分がコントロールできる事項(心がまえや仕事のやり方など)とコントロールできない事項(昇進・昇給、周囲からの評価など)をしっかり見分け、自分がコントロールできる事項だけに着目するよう、気持ちを切り替えることです。

②自己(Self)
自分自身が本当に大切にしていることや、どんな自分でありたいのかを詳しく書き出します。たとえば、「家族との時間が一番大事だから、残業や休日出勤はしたくない」「アートが大好きなので、どうしてもデザイン関係の仕事に就きたい」など。そして、それらが今の職場で叶うのか、叶わないのかを冷静に見極めましょう。

③支援(Support)
問題解決のためのアドバイスや情報提供など、周囲の誰からどんなサポートが受けられるのかを書き出します。本来、仕事上の悩みであれば、上司や社内の相談窓口を頼る方法がありますが、意外に多いのが「上司は頼りにならない」「相談窓口から話がもれると嫌だから相談できない」といった声。そんな場合は、家族や友人、また外部のキャリアコンサルタントなども視野に入れて考えてみましょう。

④戦略(Strategies)
①~③を踏まえて転機を乗り越えるためには、具体的にどのような行動が必要になってくるのかを一つひとつ、書き出します。転職の場合、未経験の仕事にチャレンジしたいなら、その仕事に就くためにどんな資格を取得すればいいのか? 資格取得のための勉強はどんな方法で行うのか? など、細かいステップに分けて考えるといいでしょう。

また、お悩み解決にあたっては、なるべく自己否定をしないことも大切です。悩んでいる最中は、どうしても「自分はダメな人間なのかも……」と落ち込んでしまいがちですが、悩みを抱えている女性の多くは、真面目で一生懸命、そしてとても優秀です。むしろ「自分にできることは何か?」に主眼を向け、意識的に自己肯定感を高めていきましょう
 

相談にいらっしゃるアラサー女性のお話をうかがうと、「現状に不満があるわけではないけれど、将来的になんとなく不安がある」という方も少なくありません。

“人生の転機”というと、「何か変化が起こったとき」と考えがちですが、シュロスバーグによれば、「(起きてほしいと思っていた)変化が起こらないとき」も、転機の一つ。漠然とした不安があるというときにも役立つ方法ですので、ぜひ実践してみてください。

 

記事監修:寺本亜紀
国家資格キャリアコンサルタント、2級キャリアコンサルティング技能士。ライフキャリアネット®代表。映像翻訳家やライターとして活躍する一方、自身のキャリアアップ経験を生かしてキャリア支援を開始。現在、「未来のあなたが輝くキャリアビジョンメイキング」を始めとしたセミナーや個別キャリアコンサルティング、企業向けワークショップなど、様々なスタイルで働く人々をサポートしている。
ライフキャリアネット®公式サイト:http://life-career.net/

※この記事は2017年11月時点での情報です。

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