ウェディングドレスデザイナーが本当にステキなドレスだけをつくる会社を設立!「アンテナを張って慎重にチャンスをつかむ」

2016年12月16日

憧れのお仕事のリアルに迫る!輝く女子のワークスタイル
ウェディングドレスデザイナー 渡辺若葉さん

ウーアンジュ渡辺さま

ウェディングドレスブランド「w*ange(ウーアンジュ)」のデザインを手掛ける渡辺若葉さん。幼い頃からの夢だったというファッションデザイナーを経て、ウェディングドレス専門のデザイナーに。さらに現在は会社の経営者としての顔ももつ渡辺さんに、お仕事への思いを伺いました。

ウェディングドレスデザイナーとしてのキャリアをスタートさせたきっかけを教えてください。

小さい頃から洋服が大好きで、デザイナーになりたいとずっと思い続けていました。洋服の魅力は、服によって「なりたい自分を演出できる」ところ。特に映画の中のファッションをチェックするのが楽しみだったのですが、憧れていたのはオードリ・ヘプバーンのファッションでしたね。デザイナーを目指す気持ちは揺らぐことがなく、服飾系の大学へ進み、卒業後は、アパレルメーカーにデザイナーとして就職することができました。

10年以上前になりますが、そのアパレルメーカーでコレクションブランドのデザイナーをしていたときに、友人から「結婚するからドレスを作って」と頼まれて。当時、就職して3年目で仕事はとても忙しかったのですが、休日を使って少しずつ、時間をかけて作りました。

結婚式当日、そのドレスを着て、みんなから祝福されている彼女の姿に感動し、号泣してしまいましたね。自分の作った一着を着て、人生の新たなスタートを切る。それまでの仕事でも「作る喜び」はありましたが、ウェディングドレスを手掛けて、こんなにハッピーな仕事があるのかと衝撃を受けました。

そこから口コミで依頼をいただくようになって。当時、ウェディング業界のことは私なりに調べましたが、用意されているドレスはどれも同じようなものばかりで、私がステキと思えるものがなかったんですね。でも、オシャレで質の高いステキなドレスを求めている人は確実にいる。それなら私が作ろうと考え、会社を辞め独立。個人事業主として4年ほど活動して、その後会社を設立しました。

ウーアンジュ イメージ

独立や会社の設立にあたって、大事にしていた考え方は何ですか?

仕事のことについて常にアンテナを張っておくことです。もともと慎重なほうなのですが、今後のビジョンや次のアクションをいろいろと考えて、「やりたい」という気持ちが大きくなると、不安よりも「どうにかなる」という思いが勝ってくるんです(笑)。その結果、タイミングよくチャンスをいただいて、それをキャッチできたんだと思います。

個人で活動を続けた後に会社を興すにあたっても、式場など企業からのビジネスのお話をいただくようになり、仕事が増えたことでチームを組んで制作するようになりました。それなら会社化したほうがいいのかなと考えていた頃に、たまたま会社として使うのに良さそうな物件を見つけ即決(笑)。

慎重派の人は一歩を踏み出すのに他の人よりも納得のいく答えにこだわると思います。でも、その分普段からよく考えてアンテナを張っていれば、チャンスも自然と目に入ってきて逃しません。だから慎重でいろいろと考えられる人のほうが、転職や起業は向いているんじゃないかと思います。

ウーアンジュ渡辺さま

自分がいいと思えるものを続けることが成功に

「w*ange」ではどのような点にこだわってウェディングドレスを作っていますか?

もちろんお客様のご要望やトレンドも取り入れますが、基本的には、私が作りたいドレスを作っています。それは、何年たっても色あせないデザインのもの。そして、上品さ、主役らしさが感じられるもの。洋服が好きな方や質のいいものを着たいと思っている方に喜んでいただけるように、シルエットや素材にもとてもこだわっています。

ウーアンジュイメージ
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経営者とデザイナーという2つの立場では、仕事に対する考え方は変わりますか?

デザイナーとしてやりたいことと会社として求められることが相反する場合もあるので、最初は葛藤もありましたね。ですが、ただ好きなことを突き詰めるだけでは、会社は成り立たないので、そのときは一度無になって、「どうすれば一番ハッピーか」を考えました。一見会社にとって良さそうなビジネスのお話が来ても、「これは“本当に”いい話なのか?」「それをやって楽しいと思えるか?」と冷静に考える。もちろん経営者として利益は上げなければならないけれど、デザイナーの立場からすると、ブランドとして絶対に譲れないこだわりもあるので、そこはぶれたくなかった。会社を立ち上げて10年ですが、結果的にそのこだわりを認めていただけたから、ビジネスとして続けていられるのかなと。

不安はあっても楽しむ気持ちを忘れない

渡辺さんは、ご結婚されていてお子さまもいらっしゃいますが、お仕事との両立で悩むことはありますか?

私は結婚も出産も20代半ばで、周りの人に比べると早いほうでした。仕事も忙しい時期でしたけど、結婚もしたかったし子どもも欲しかった。「全部は無理」っていう考えは、そのときの私の中にはなかったです。結婚する前に会社勤めをしていたころ、本当に忙しくて、辛かった時期がありました。でも今思えば、そのおかげで自分のキャパシティが広がったのかなって思います。

だから子育てしながらの仕事でも、よほどのことじゃない限り大変って思わなくて。もちろん、子育ては責任重大なうえ先が読めないので悩みは尽きませんが、子どもの笑顔があるから仕事もがんばろうという気持ちにもなれるんです。

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最後に、U29女子に向けてメッセージをいただけますか?

働くこと、結婚すること、子育てすること、どれも不安に感じたらきりがないですよね。老後までずっと不安です(笑)。だからこそ、楽しくとらえられるといいなと。仕事は、生活のためだけじゃなくて、自分がハッピーになれたり誰かをハッピーにできたりすることも沢山あるので、楽しみながら働いてほしいですね。

目の前のことから逃げたくなることもあると思うんですけど、それを見ないようにするのではなく、受け入れて、どうしたいか考える。考えないと始まらないですから。自分を信じて一生懸命やっていけば、きっと道は開けると思います。

tp08_SIN_4600渡辺 若葉
ウェディングドレスブランド「w*ange」のデザイナーであり、株式会社ウーアンジュの代表取締役。大学で服飾デザインを学び、卒業後は大手アパレルメーカーにデザイナーとして勤務。その後、フリーランスのウェディングドレスデザイナーを経て、2006年、株式会社ウーアンジュを立ち上げる。1児の母でもある。
ウーアンジュの公式サイト http://w-ange.com/