転職前に知っておきたい!今後需要が高まる仕事とは?

2016年01月26日

転職先を選ぶときに、その業界が今後どれだけ長く続いていくかというのは、誰しも気になりますよね。特に業務のIT化や機械化が進み、需要が減っていく仕事も多いと言われる昨今。せっかく転職するなら、これから必要とされる仕事に就きたいという人も多いのではないでしょうか。

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そこで今回は、今後需要が高まると予想される仕事にはどのようなものがあるのか、働き方はどのように変化していくのか、リクルートワークス研究所にて労働経済学の視点で雇用、労働市場の研究を行う戸田淳仁さんに伺いました。

今後需要が高まる仕事とは?

今後需要が高まっていくと考えられる仕事には、どのようなものがあるのでしょうか?

その1:サービス業

「販売や宿泊・飲食といったサービス業は、現在でもインバウンド(訪日観光客)需要が増えており、今後も、ホテルスタッフなどの人材需要が増える見込みです。また2020年の東京オリンピックを機に宿泊・飲食といったサービス業で働く人の数は2015年の402万人から、439万人まで増えると予測されています。この数字は2020年をピークに減少すると予測されていますが、東京オリンピックの際に日本に魅了され、その後も来日する外国人観光客が増えることが考えられるので、外国人や語学力のある人材へのニーズが出てくるのではないでしょうか」

東京オリンピック開催による人材需要が大きいようです。外国人観光客に対応できる「語学力」はもちろん、外国人観光客の目線に立って対応できるコミュニケーション力や、日本の魅力を伝えるにはどうすればよいのかといった発想力なども必要となってくるかもしれませんね。

その2:医療・介護業

「介護業界は、少子高齢化がますます進み、高齢者の介護ニーズが増えるため確実に需要が増えると考えられています。また、医療・介護業界で働く人は2015年で780万人。2025年には、ロボットの普及が進むと需要がもう少し低くなるかもしれませんが、902万人にまで増えると予測されています」

少子高齢化社会に伴ってホームヘルパーや介護福祉士、看護助手や医療事務などの仕事の需要が高まっていくようです。医療・介護の仕事は、都心部に限らず全国的にもニーズがあるので、今後「夫の転勤」「親の介護に伴う引越」など、何らかの理由で移住する必要がでてきた場合でも、変わらずに働くことができる、将来性の高い業種といえるのではないでしょうか。

今後、働き方はどう変わってくるの?

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それでは、5年後や10年後に、人の働き方はどのように変わっていくと考えられるのでしょうか?

「2025年時点では、多くの仕事の代替までには進まないと考えられますが、バックオフィスを中心にITや機械化が進むと言われています。特に人工知能は事務職などのルーティン化できる仕事を高い生産性でこなすことができるようになります。また、介護や建設現場などにはロボットが普及するでしょう。
人間の仕事が一部代替される分、人間がやるべきことがよりはっきりして、専門性がより求められるようになります。特に、人間が価値を発揮できる接客サービスなどは、顧客からのニーズもあり引き続き人間が行うとみられ、機械では生み出せない『おもてなし』の価値が再認識されるでしょう」

やはり、ITや機械化が進むことで、仕事内容や人に求められることが変わっていくようですね。
また、人口減少に伴って働き方が変わってくるそうです。

「人口減少によって、2015年には6,274万人だった就業者数は、2025年には6,091万人となり、今後さらに人手不足になると考えられています。その問題を解消するため、企業は働く時間に希望を持っている主婦やシニア層を活用していくようになるでしょう。そのため、在宅勤務や短時間勤務といった制度の実施がより進み、個人の制約や希望にフィットした柔軟な働き方ができるようになると考えられます。事務職などを中心に、在宅勤務も可能とする企業も増えるのではないでしょうか」

今後は、時間や場所といった仕事の自由化が進むようです。結婚や出産を考えているU29女子にとっては、仕事と家庭・育児の両立がしやすい環境になっていきそうですね。

U29女子が「今後求められる人材」になるためには?

このような世間の流れをふまえ、今後U29女子が、「求められる人材」になるためには、今からどんなことを準備しておけばよいのでしょうか?

「人工知能や機械化の動きが進んでいった場合に必要とされるのは、人工知能や機械にはできない人間らしい仕事をするための『非認知能力』。非認知能力とは、一般知能(IQ)とは違った能力のことで、『自制心』や『粘り強さ』といったことから、『やり抜く力』、『協調性』、『感謝する力』といったもののことです。
『非認知能力』を意識して仕事をするのは、難しいことではありません。どんな仕事でも自分から主体的に取り組んで、ちょっと工夫をするだけでも大きく違います」

ちょっと工夫、と聞くと「難しそうだな」と感じるかもしれませんが、そんなことはありません。例えばホテルスタッフといったサービス職であれば、「何らかの記念でいらっしゃったお客様が喜ぶようなサプライズなど、できる範囲のサービスを行う」、一般職であれば、「同僚が気持ちよく働けるよう、伝言などのメモに『お疲れさま』『頑張れ』といった労いや励ましの言葉を書く」など、業務こなすだけではない、心遣いを意識することが、求められる人材への一歩のようです。

まとめ

仕事が機械化されていくことや、観光客の増加、少子高齢化に伴い、事務職や製造業などの労働需要が減少していく一方で、顧客接点のある仕事の需要が増え、相手の立場に立って考え、行動できるようなホスピタリティを発揮できる人材が、今後は求められていくようです。また、時間や場所といった働き方の自由度が上がることを考えると、限られた時間でしっかりと仕事をこなすことや、自宅などの、会社以外の場所でもきちんと仕事のスケジューリングができる自己管理能力も必要となってくるかもしれませんね。U29女子も、企業や業界の将来性に注目して転職活動を行ってみてはいかがでしょうか。

 

(プロフィール)
戸田 淳仁(とだ あきひと)
リクルートワークス研究所主任研究員/主任アナリスト。2002年慶應義塾大学経済学部卒業。2008年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。同年リクルートに入社し、ワークス研究所勤務となる。研究領域は「労働経済学」「応用計量経済学」。「2025年の働く」予測プロジェクトでは、データ担当を務めた。

出典:リクルートワークス研究所「2025年 働くを再発明する時代がやってくる」