AI時代に“必要な人材”として生き残るためには

2017年12月11日

「2045年問題」をご存じですか? コンピュータがこのまま進化を続けていけば、2045年にはAI(人工知能)が人間の知能を超えるという予測に基づいたもので、近年話題になっています。「30年近くも先の話でしょ」と思うかもしれませんが、AIによる社会の変化は徐々に、そして確実に訪れようとしています。近い将来、多くの職種がAIに取って代わると予測され、すでにAIを導入している企業も増えています。

「今後AIがどんどん進出してきたら、私たちの仕事はどうなるの?」と不安に感じている人もいるでしょう。そこで今回は、キャリアコンサルタントとして多くの女性を支援してきた高村祐規子さんに、AI時代の到来に備えて今からどんな準備をしておくべきか、アドバイスをいただきました。

 

将来、どんな仕事がAIに代替されるの?

今後AIに代替される仕事としては、決められた手順やフォーマットに従って行う定型業務が考えられます。

たとえば、データのシステム入力や集計、経理の仕分け業務、銀行の融資係、ホテルのフロント、コールセンターのオペレーターなどは、すでにいくつかの大手企業で、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによる業務の自動化)に代わられています。
 

AI時代がきても、生き残るためにはどうしたらいい?

今後、AIに代替される仕事が増えていくのは確実でしょう。しかし、すべてをAI化できるわけではなく、実際の職場ではAIにまかせる部分と、高度なコミュニケ―ションなど、人間ならではの能力が必要とされる部分とが混在する複合的なものになると考えられます。

そこで、AI時代が到来しても「求められる人」になるにはどうしたらよいのか、考えていきましょう。
 

今の職場で“残れる人”になる

AIの導入によって将来、人員がゼロになることはなくても減っていくことは事実です。ただ、AIでは代替できない部分を担当する人は必ず残るわけですから、その職場で必要とされる「残れる人」を目指しましょう。

そのためには今のスキルを高めるだけではなく、さらに今後役立つ知識や技能は何なのかを探り、スキルの枠を広げていくことが大事です。

たとえば、事務職であれば「業務でエクセルの使用が多い」「パワーポイントを使いこなせたら便利」など、状況を精査することが大切です。そのうえで、エクセルだけしか使えないよりはパワーポイントもアクセスも使いこなせる人の方が有利でしょうし、「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト:総合的にマイクロソフトのソフトを使えるという資格)」の取得なども強みになるでしょう。

また、将来的に他部署との合併なども視野に入れ、そのときどういう人材が必要なのかを情報収集してスキルを高めておくこと。ピンポイントでスキルを高めることも大切ですが、豊富なスキルを身に付けて、どんな状況でも「残れる人」になる準備をしておきましょう。

 
キャリアチェンジを考える

AI化によって消えていくと推測される定型業務についているのであれば、これを転機と考え、“非定型”のスキルを発揮できる分野にキャリアチェンジするのもいいでしょう。

これからの時代、「職種」というよりどんな「スキル」を持っているかが生き残るための大きなポイントになってくると思います。今後、「コミュニケーション力」や「洞察力」「創造性」などは、どの職場や職種でもますます必要とされるでしょう。

具体的には、頼まれたとおりの仕事をするのではなく、相手が望むことを察して、期待以上の成果を出したり、付加価値のあるサービスを提供できるかどうかが重要になってきます。このような“人間ならでは”のスキルは、個人向けや富裕層向けのサービス業や接客業などで、今後需要が高まっていくと思われます。

こうした“非定型”のスキルは一朝一夕には身に付けられませんが、いま就いている定型業務の中でも、何かしら工夫したり配慮したりすることで体得できるでしょうし、キャリアチェンジの最大の武器にもなりますから、将来を見据えて日々磨いていきましょう。

 
英語はできた方が絶対にいい!

ビジネスを海外に広げ、海外から大きな収益を得ている企業が増えています。多くの企業がビジネスを海外にシフトしている状況から考えても、もはや英語ができることは特別なスキルではなくなってきています。外国人のスタッフやクライアントと直接コミュニケーションを図ったり、英語の契約書や資料に対応したりするなど、今後、英語の使用頻度はアップすると思われます。

今の部署に留まるにせよ、キャリアチェンジをするにせよ、英語はぜひ身に付けておきたいスキルです。
 

私たちの仕事の形態は、AIの進出によって今後大きな変化が予測されます。今やるべきこと・大切なことは、アンテナを高く広く張り巡らせて積極的に情報収集し、必要なスキルを身に付けておくことです。

そのために、キャリアコンサルタントなどの専門家に相談して、自分では気づかなかった強みを発掘してもらうのもよいでしょう。AI時代をむやみに恐れるのではなくて、キャリアアップやキャリアチェンジのきっかけと捉え、今一度自分のキャリアの棚卸をしてみてはいかがでしょうか。

 

記事監修:高村祐規子
合同会社キャリア&マネー協会代表。キャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナー。企業における女性社員向けキャリア研修の企画・運営、キャリア面談、女性向け講座の運営等をメインに活動。派遣会社のコンサルタントとしても、人材戦略に関するプロジェクト運営や大手外資系企業の女性支援プロジェクトの運営等を行っている。

※この記事は2017年11月時点での情報です。