一筋縄ではいかない「長く働き続ける」キャリアを実現する方法

2016年12月26日

ロングキャリアを叶えてくれる5つの力

U29 ロングキャリア

結婚しても、出産しても、働き続けることがスタンダードになりつつあるU29女子世代。
ロングキャリアを実現するために、住んでいる場所や環境にとらわれず、長く働くためのノウハウを、『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)よりご紹介。
この5つの力があれば、仕事を続けていても、ワーク・ライフ・バランスを保つことができます。

1:選択肢を生み出す力

例えば転職、転職先を考えたとき、業界や希望条件などである程度絞ってみても、選択肢は無数にあるように感じます。大切なのは、数ある選択肢の中から選ぶ決断力、というよりも、自らで考えて、適切な選択肢を生む力だと、著者の秋山さんは言います。

転職せずに済むなら転職したくない。できるだけ会社に居られる仕事は何か?一五年も前から、次のようなことを一生懸命考えて、仕事を選んできました。

・海外に外注、または、社内でも部門が海外に移転される可能性のある仕事は何か?
・子会社化されて、切り離される可能性のある仕事は何か?
・国内に市場はあるか?
・グローバルに伸びる市場は何か?

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

自分が何を「したい」か?という観点で考えているだけでは、長期的なキャリアは見えてきません。一度、目線を自分からマーケットに向けてみてください。その仕事のマーケットでの「ニーズ」はどれくらいあるのか、そして今後どれくらい伸びていくのか。さらに、国内だけでなく、海外にも「ニーズ」が拡大する可能性がある分野は何か。こうした観点で情報収集を続けていくことで、自分の意思を尊重しながらも働き続けられる、“生き延びやすいキャリア”を掴む選択肢を生むことができるのです。

ちなみに、

 将来成長する可能性がある業界を探すのは、総研などが出している「未来予測」を読み、実際に自分の周囲でどのようなことが起きているのかをリサーチして、自分なりの仮説を出すことです。

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

また、新聞各紙や各業界の専門メディアが年末年始や年度末に発表する、未来予測にかかわる情報にも注目してみましょう。市場をみる目が養われることで、仕事を選択する判断軸が確実に増えていくと思います。

2:成果が出る勉強力

将来を見据えたスキルアップのため、語学の勉強や読書など、しておきたいことはやまやまなのに、まとまった時間が確保できないし、おまけに続かない…というのは、あるあるだと思います。限られた時間を無駄にしないためにも、勉強にも選択と集中が必要です。

継続するには、「自分の原動力」を知る

例えば、海外俳優のファンになり、出演ドラマや映画をチェックし続け、その趣味が高じて語学力がアップ。例えば、知識がないために、取引先のお客さんからの質問に答えられず、申し訳なさと恥ずかしさで憂鬱に…。もっと勉強せねば、と思うタイミングは人それぞれです。
人間の行動の源泉は、「快楽の追求」か「苦痛の軽減」どちらかであるそう。
自分はどちらのタイプか、考えてみてください。

 なかなか、最初の一歩が踏み出せない人は、まず、「自分の原動力が何か?」それを明確にしましょう。そうすることで、自分の心が満足する目標を設定できます。
 ただし、稼ぐことに繋がらない勉強は止めておきましょう。
 学ぶべきは、稼ぐことに直結するスキル。収入アップすることで快感が得られ、また将来仕事がなくなる不安が減ります。
 さらに、進歩が実感できないことも、継続できなくなるので、避けましょう。

進歩していないなぁと感じると、不安や苦痛を解消するためにやっていることも、それをやること自体が苦痛になってしまいます。大きな目標を設定する場合は、一日以内に達成できる小さな目標を掲げるのがいいでしょう。

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

つまり、「稼げるスキル」に繋がり、「身についていることが感じられる目標」を設定できる勉強であれば続くのです。

また、語学教室などに通う場合は、
・もったいないと思う程度の一定額以上のお金を払うこと
・後戻りできない支払い方法を選ぶ(全額振込み、前払いなど)
なども、せっかくお金をかけているんだから…と思えて、三日坊主とおさらばできるはずです。

勉強時間は、コツコツの積み重ね

通勤している人が勉強時間に充てられるのは、移動時間やランチタイム、帰宅後、そして休日…と挙げるだけなら簡単です。実際はうとうとしてしまったり、食事を食べながら仕事をしたり、予定を入れてしまったり…。まとまった勉強時間を確保することは、難しいようにも思えます。そこで、著者の秋山さんは、以下の方法を取り入れたそうです。

私は、毎日一時間の勉強をするために、五分の隙間時間を一二セットやっています。これで、一時間の勉強時間が確保できる!
 これのメリットは、集中が切れる前に終わるため、集中して勉強できるという点。さらに五分なので、さっとやって、さっと終われるから、飽きる前に勉強が終わります。

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

勉強時間を短く設定すれば、あまり意気込まず、軽い気持ちで参考書を開くことができます。勉強しなきゃ……と思うと腰が重くなってしまう人にもおすすめです。

3:危機からリカバる力

仕事が上手くいかない、職場の人間関係に嫌気がさす、プライベートで傷ついた…。なにか一つでもうまくいかないと、それが次の不調を呼び、スランプに陥ることもありますね。そうした状況から一分一秒でも早く回復する手段を知っておくことも大切です。
秋山さんは語ります。

 そうはいっても、仕事は忙しく、残業も多かったので、なかなか自分を冷静に振り返ることもできない。
 そこで、不調になる手前の「プチ不調」を検出する方法を導入しました。
 検出方法は、自分を観察することです。

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

職場の対人関係ならば、対面でのコミュニケーションの時間が減っている時、プライベートなら、金遣いと部屋が荒れている時など、自分の状況を見直すことでプチ不調を察知できます。
問題は、どうしても危機から逃れられなかった時。
物質的でも、精神的でも、自分を満たす、癒してくれるものがあるのがベストです。
ただ、仕事が忙しくなってしまうと、自然と家族や友人と会う、プライベートな時間が失われてしまうことも。
秋山さんは以下の方法で、周りの人とのコミュニケーションの時間を見直しました。

 一カ月、七二〇時間を仕事の時間、家族の時間、友人の時間、自分の時間に分けて、ある一定の時間は、必ずすべてに割くと決めました。
 時間を死守することが目的ではなく、「大切なことをおろそかにしていないか?」と自分に問いかけるためです。

「自分なんてまったく生きている価値が無い」と思ってしまうときもあるけれど、支えてくれる人たちがいれば、「もうちょっとがんばろっかな」と、不調から抜け出すきっかけになるのです。
 そのためには、きちんと時間を作り、自分から仕事以外の場で人と会い、自分個人を受け入れてくれる人たちとの関係を持ち続ける必要があります。

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

4:結果が出せる現場力

仕事において、あれもこれもやらなきゃいけないけれど、自分一人ではどうにもまわしきれない、ということがありますね。上司や同じチームの人に助けてもらうのは申し訳ないし、後輩に任せるには不安だし…とついつい自分で抱えてしまいがちですが、時間には限りがありますし、心や身体が疲れ切っていては、クオリティの問題もでてきます。
例えば誰かに資料の作成を頼む時、どういった情報をどこにいれるのか、ざっと紙に書いた“アウトプット・イメージ”をつけることを、秋山さんは提案します。

 人に仕事をお願いするときには、必ず関連資料だけでなく、アウトプット・イメージを一緒にお渡ししています。それは、何をやろうとしているのか、そのイメージを明確に摑めれば、どういう仕事をする必要があるのか、理解してもらえるからです。あいまいな点が減れば減るほど、作業はスムーズに進むはずです。

 また、アウトプット・イメージが出来ると、どこで仕事を区切れるのかが明確になるため、人に頼める仕事、自分でやったほうがいい仕事が見えてきます。人に頼める仕事が明確になれば、人に頼めばいいのです。

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

そのほか、

・マニュアルを整備する
・部下から見て、質問しやすい状況を作ってくれる、分からないことはパパッと答えてくれる、と感じてもらえる環境にする

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

ことも、人に仕事をしてもらいやすくなるためには不可欠です。

5:未来を創る進化力

現在勤めている会社でのキャリアアップはもちろん、転職することによって掴める未来もあります。

 自分のキャリアを考えるとき、少なくとも四○代までは、自分の将来が発展するキャリアを選択したほうがいいでしょう。それを実現するのは、同業他社での同じポジションではなく、上のポジションか、異業種の同じポジション、あるいは、完全に異なる職種に就くことです。

 異業種の同等以上のポジションであれば、新しい業界の知識と経験が身に付きます。そして職種自体を変えると、(中略)まったく新しい知識と経験が身に付き、キャリア自体を変えることが可能になります。
 これらの根底にあるのは、「キャリアはすべて掛け算で考える」ということです。

 掛け算でものを考えれば、オンリーワンになれるのです。

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)より

ある職種、業種の中だけで経験を積んでいくと、似たような能力、経験をもった人の中から、頭一つ飛び出すことさえ難しいところ。そこで活かせるのが「転職」です。異なる環境で経験を着実に積み、新たな知識・発想を得ることで、希少な人材になれるという強みがあります。

秋山さんがご自身の経験から見出した“世界中で通用する5つの力”いかがでしょうか。
長く働き続けるために今の自分に必要なのは、よりよい仕事のこなし方なのか、プライベートとのバランスなのか……。ぜひ今一度、自分と向き合ってみましょう。

『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)参考書籍:『考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(秋山ゆかり/早川書房)