転職するなら20代のうち? U29とOver30女性の転職の違い
今の会社にずっといるつもりはないけれど、実際に転職活動を始めるのは面倒…。しかし、「ある程度のスキルも持っているし、いつでも転職できるだろう」なんて言いながらいつまで経っても行動に移さないでいると、後々の転職活動が難しくなってしまうかもしれません。その大きな理由のひとつが「20代と30代の転職市場におけるニーズの違い」。歳を重ねることで社会人としての市場価値が上がる一方、求められるレベルも高くなるのが現実です。
そこで今回はキャリアカウンセラーの藤井佐和子(ふじい さわこ)さんに「U29女性とOver30女性の転職の違い」について詳しくお聞きしました。「転職活動はまた来年でいいかな〜」と先延ばしにしているU29女性は要チェック!
20代女性と30代女性の転職活動の違い
まず、『次のステージへチャレンジする』という点においては、20代の転職活動も30代の転職活動も大して差がないように思えますが、実際は両者の間にどのような違いがあるのでしょうか。
「確かに『次のステージへチャレンジする』という点は、どの世代の転職活動にも共通していますね。ただ、20代は社会人としての経験が少ないかわりに、転職時に『やる気』『チャレンジ精神』などの伸び代でアピールができます。一方30代は社会人としての経験を積んでいる分、伸び代よりも経験内容が問われる傾向にあります。つまり、20代と30代では企業側から求められるニーズが異なるのです」
企業側が求める人材の違い
企業側は20代と30代の転職者に対し、それぞれ具体的にどのような人材を求めているのでしょうか。
「20代の転職者に対しては、『仕事に対する意欲の高さ』『これからのことを前向きに考えているか』などの点を見られます。
『仕事に対する意欲の高さ』とは、例えば『アシスタントなどの事務職であれば状況を汲み取って、上司や営業が求めてくるであろうアウトプットを事前に用意しておく。また、販売職であれば、レジ打ちや品出しなどの通常業務に加えて、お客さまとの会話の中で気付いた問題点をメモしておき、自分なりの改善案を上司に提案してみる』といったようなマインドのことです。
一方30代の転職者に対しては、上記のようなマインドももちろんですが、テクニカルスキルとヒューマンスキルのバランスが期待されます。これは技術や知識だけでなく、『仕事をどのように行うのか』という人間力も兼ね備えていることを指します。
また、解決しなければならない問題に直面した際、まず自分がどのような立場なのかを把握し、それに対してどのように取り組むべきなのかを自分以外の視座からも考え周囲に提案をできるといった『視座の高い発言』や、『高いマネジメントスキルを持っているか』『他者依存せず能動的な行動ができるか』といったリーダーとしての素養も求められるでしょう」
転職は20代のうちに行うべきなのか
それでは、30代の転職者に高度な人物像が求められることを踏まえると、20代のうちの方が転職しやすいのでしょうか。
「人それぞれではありますが、20代のうちに転職するメリットは、『様々な仕事や会社を見るチャンスが時間的にある』ということ。年齢を重ねていくと、転々としづらくなりますからね。だからといって転職をし続ける、いわゆる『ジョブホッパー』になってはいけませんが、様々な仕事や会社を経験してみるよい機会にはなるでしょう。
ただその際、単に会社を転々とするのではなく、一つひとつの会社で実績を残し、その経験をもとに転職することが大切です。この意識が低いと面接時に『仕事内容が嫌だから辞めた』『長続きしない無責任な人』『ちゃんと実績を積まずに単に渡り歩いているだけ』などとマイナスに評価される場合があります。20代の場合、将来性を期待されて採用してもらえることも多いので、例え未経験の業種であっても採用されるチャンスは多いでしょう」
まとめ
転職を先延ばしにすることは、同時に転職のハードルを高くしてしまうこと。「いつか」なんて言っている間にも自分に求められるものは変わっているのです。まずは転職活動のタイミングに対する意識を変え、今がチャンスという積極的な姿勢で行動することで、より理想的な働き方に近づけるかもしれませんね。
<プロフィール>
藤井佐和子(ふじい さわこ)
株式会社キャリエーラ代表。大学卒業後、カメラメーカー海外営業部のOL経験を経て、大手総合人材サービス企業にて、派遣事業部、人材紹介事業部の立上げに携わる。主に女性を対象とした転職支援チームを立上げ、数多くの転職を支援。その後、独立。延べ13,000人以上のキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなど人材育成支援を行う。その他、大学の非常勤講師、講演、キャリアセミナー、執筆など幅広く活動。