ママ向けWebグロースハッカー養成講座、第2期生修了式 ここで出会えた仲間たちと支えあい、次なるステージへ大きな一歩を

2017年06月05日
2015年よりデジタルハリウッドSTUDIO福岡で始まった、ママ向けWebグロースハッカー養成講座。時間や場所に縛られず、家庭と仕事の両立とやりがいを手に入れる新しいママの働き方として、全国から注目を集めた。1期生は、卒業後も「ママグロースハッカーズ」として活動を継続したり、家庭や他の仕事の状況も踏まえて独自の道を模索したり、それぞれ自分らしく活躍の幅を広げている。そんな1期生に続けと、2016年9月には第2期がスタート。熱い思いと多彩なバックグラウンドを持つママたち16名が集い、8ヶ月間、約260時間に及ぶ講習に打ち込んだ。そして、2017年5月11日に迎えた修了式。彼女たちは何を学んだのか、今後の抱負とは――修了式の様子と併せて、新たな一歩を踏み出したママたちの生の声をお届けする。
集合写真

すべての講座を修了し、ホッとしつつも自信に満ちた表情の2期生たち。これからの活躍に期待したい。

鮮やかな青空とぽかぽか陽気の心地良い5月11日。今日は、2016年9月から始まったママ向けwebグロースハッカー養成講座2期生の修了式だ。デジタルハリウッドSTUDIO福岡には、晴れやかな表情のママたちが続々と集まってきた。応援に駆け付けた1期生だけでなく、開講当初から見守ってきたKaizen Platform、リクルートジョブズの面々も、安堵と自信が漂う2期生の様子に目を細めている。

午前10時半、デジタルハリウッドSTUDIO福岡の高橋政俊校長の挨拶で修了式は始まった。
「皆さん、育児や他の仕事を同時にこなしながら、この厳しい授業をよく乗り切ったと思います。大人になってから、これほど集中的に勉強したのは初めてだったのではないでしょうか。今日を新しいスタートとして、1年後、2年後とどう成長していくのか、とても楽しみです。どうぞがんばってください!」
激励の言葉とともに、一人ひとりに修了証書が手渡された。

修了証書授与

念願の修了証書授与。8ヶ月間のさまざまな思いがこみ上げ、涙ぐむ場面も。

その後は、講師を務める北古賀紀行氏、Kaizen PlatformのCustomer Supportマネージャー・岡本葵氏、リクルートジョブズの宇野百合子氏から祝辞が寄せられた。Kaizen Platformの岡本氏は、グロースハッカーとして一歩を踏み出した意義を、次のように語った。
「グロースハッカーは、マーケティングとデザイン、エンジニアリングの3つの領域を統合的に扱う仕事です。これまでは、各領域の専門家はいるものの、他領域への理解不足のため連携がうまくいかず、Webサイトの改善が進まないケースも多く見られました。皆さんがここで学んだことは、Kaizen Platformの案件だけではなく、Webを通じた情報発信全般に必ず役立つスキルです。一方、最近は、Webサイト改善の必要性が社会的にも認知され始め、企業の内部にグロースチームができたり、Webサイト改善のための予算が割り当てられたりするようになってきました。皆さんの活躍の場はこれからも広がっていきますし、私たちも広げる努力を続けていきます」

Kaizen Platform岡本氏

活動当初はWebサイト改善の必要性が企業に認識されづらかったが、現在では予算も割り当てられるようになってきたと語るKaizen Platform岡本氏

葛藤しながら走り抜けた8ヶ月、
そこで得られた自信と喜び

その後、2期生全員が一人ずつ、自分の言葉で答辞を述べた。
「この8ヶ月間は、受験のときにも経験したことがないほど勉強しました」
「課題や、子育てとの両立が大変で、心が折れかけたこともあったけれど、皆で支えあって乗り切ることができました」
「自分の肩書きとして、(Web)デザイナーと書くにはまだ気がひけますが、堂々と名乗れるようになりたいです」

2期生が共通して語ったのは、「同じ立場でがんばるママたちのサポートがあったからこそ修了できた」という周りへの感謝。そして、「単なる友人とも職場の同僚とも異なる、同じ目的に向かって一緒に努力できる仲間と出会えた喜び」だ。
一般的に、ひとたび子育て期に入ると、女性は子どもを介した社会との接点が増え、「〇〇くん・○○ちゃんのママ」として世間から認知される機会が男性よりも多くなりがちだ。子ども優先で忙しい毎日を送るうちに、ママであることが生活の中心になり、もともと持っていた個人の興味や関心を忘れがちになるとの声も聞く。大切な子どものための時間と、将来を見据えて今自分がやるべきことのバランスを、どう取るか。「子どもを預けてまで、自分のために時間を使っていいのかという葛藤が、常にありました」と、あるママが答辞で語ったときには、皆が大きく頷き、共感して涙を見せるママもいた。「ママ」という共通項のもと、子育てとは別の自分自身の目標に向かって努力する中で、刺激しあい、励ましあえる関係性を築けたこと。その事実が自信に繋がり、今後の活動意欲を高めていることが2期生の言葉の端々から感じられた。さまざまな想いを抱えながら皆で懸命に走り続けて来たママたちに、会場からは改めて大きな拍手が寄せられた。

こうして、修了式は無事終了。しかし、これはスタート地点であり、今後は実案件を通じてグロースハッカーとしてのスキルを高めていくことになる。今回は、1期生とともにママグロースハッカーズとして活動していくことを決めた2期生に、さらに話を聞いてみた。

未経験のスタートでも
卒業前に10万円弱の報酬を得るまでに成長

中原さん1
「最初のオリエンテーションで、周りのモチベーションの高さに驚き、自分の場違いぶりに思わず『しまった!』と思ったんです」
そう語るのは、小学生のお子さん2人を育てる、中原さん。2年弱の銀行勤務を経て、結婚を機に退職し、子育てに専念した。子育てが落ち着き始めて再就職を検討するも、自身の子ども時代を思い返すと二の足を踏んでしまうこともあったという。
「私が子どもの頃は、母親がいつも家にいて、『おかえり』と声をかけてくれました。そんな安心感を与えてくれた母に、今でも感謝していて。だから私も、子どもを一人にしてまで職場復帰したくはなくて、あまり再就職に乗り気になれませんでした」
そんな折、夫の勧めでママ向けWebグロースハッカー養成講座の存在を知った。最初は、「そんな難しそうなことが、私にできるかな?」と半信半疑だったが、説明会で未経験からでも大丈夫と言われたことに背中を押され、軽い気持ちで受講することにした。実際の授業は予想をはるかに超える難しさだったというが、着実にスキルを身につけ、卒業前の4月にはすでにKaizen Platform案件で10万円弱の報酬を得るまでに成長。首席レベルでの卒業といってよい成果を出した。
「他のママより子どもが大きかった分、時間に余裕があったはずなのに、ついていくのがやっとでした。講師や周りのママたちに支えられて、今の自分があります。成果は少しずつ出ているんですが、どこが評価されたのか、まだ正確に掴めきれていない部分もあるので、狙いを定めていい案を出せるようになりたいですね」

中原さん2

「まずはオープンオファーで1件採用されるのが、現在の目標」と語る中原さん。

最初は「なんとなく」受講を始めた中原さんだが、今後はママグロースハッカーズとして積極的に活動すると決めている。一体、グロースハッカーにどのような可能性を感じているのだろうか。
「実際に、わずかながらも稼げるようになってきて、家計のサポートになる定期収入を得られる可能性は大いに感じています。ただ、在宅で仕事ができる分、自己管理や時間管理をきっちりしないと上手くいかないだろうな、とも感じていますね。外に働きに出た場合、家に戻ってからは完全に自由な時間。でも、在宅だと自分でオン・オフを付けないかぎり、ずるずるとオンの状態が続いてしまいます。先日も、制作にのめり込んでいて、子どもに『ママ~、ご飯まだ?』と言われて気づいたら、外が真っ暗だったなんてこともありました……。自由と引き換えにある厳しさを意識して、成長していきたいですね」

子育てを自分への言い訳にせずに
挑戦し続けたい

福岡市出身の緒方さんは、1歳10カ月のお子さんを持つママ。産休期間を利用して、この講座を受けに来た。きっかけは、地元福岡の情報番組で、ママグロースハッカーズの紹介を偶然目にしたことだそうだ。
「ママ、在宅、デザインというキーワードに魅力を感じて。すぐに自分で詳細を調べて、応募しました」
緒方さんの夫は、転勤が多い職場に勤めており、福岡を離れる可能性も常にある。緒方さん自身も、産休を経て職場復帰する予定だったが、子どもが保育園に入れなかったため、復帰を遅らせている状況だった。このまま、いつ保育園に預けられるのかもわからない……。そんなときに、ただ待つのではなく自分から行動したいと考えた緒方さんは、未経験の状態から受講をスタート。子どもが生まれて以来、久しぶりの未知の分野への挑戦だったという。
「私は、ずっと子どものそばにいたいというよりは、私が楽しそうにしている様子を子どもが見て、何かを感じてほしいなと思っているんです。だから、もっと外に出て、私自身が新しいものを取り入れる必要があると感じていました。子どもと一緒にいたいのは確かですが、だからといって、それを自分がチャレンジしない言い訳にしたくなかったんです」
入学当初から意欲は高かったが、未経験のため、壁にぶつかることも多かったという。
「最初のうちは、特に苦労しましたね。作りたいイメージは頭の中にあるのに、ツールが使いこなせないから、うまく表現できなくて。でもだんだん、作業自体が楽しくなっていきました」
その後、緒方さんはメキメキと腕を上げていき、クラス内でも最初にKaizen Platformのオープンオファーに採用され、元案を超える改善率を実現。12月からは職場への復帰も果たし、授業に加えて仕事と家事・子育ても両立しながら、見事、修了まで乗り切った。
「今は講座を終えた充実感でいっぱいで、本当はしばらくのんびりしたいんですが、そうも言っていられませんね(笑)。まだまだ不安なことも多いけれど、夫の理解もあり、チャレンジできる環境は整っているので、早く即戦力になって、ママグロースハッカーズ全体の底上げに貢献したいですね」

ママたちの意気込みと表情から、この8ヶ月間がいかに充実したものだったかがよくわかる。ここでの学びは、ママたちにとって単なるスキル習得の場を超えた、かけがえのない体験だったのだろう。この経験を乗り越えたママたちなら、きっと次の挑戦にも立ち向かえるはず。新しい仲間も増え、さらにパワーアップするママグロースハッカーズの活動に、ますます目が離せなくなりそうだ。