一生独身なら……。オンナの一生、いくらかかる?

2017年08月08日

経済的に自立する女性が増えている今日この頃。「このままずっと独身かもしれない」などと考え始めている人もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、「いくらかかる?」「どう貯めればいい?」と湧き上がる、おひとりさまの老後資金への疑問を、株式会社Money&You代表のマネーコンサルタント・頼藤太希さんにうかがいました。

 

単身女性が老後に備えて貯めるべき金額をシミュレーション!

一生独身を想定した場合、安心して老後を迎えるための資金は着実に貯めておきたいもの。

まずは今の自分の年収で必要資金がどれくらいまかなえるのか、また今から毎月どれくらい貯金しておくべきか、シミュレーションしてみましょう。



万円

はい いいえ

万円

万円

万円

●結果

65歳までに貯めておくべき金額:

65歳まで、毎月貯蓄する必要がある金額:

※65歳まで働き、90歳まで生きた場合で計算
※国民年金保険料を未納していない前提
※2016年12月14日に成立した「年金制度改革関連法」により、将来もらえる年金は現在の年金支給額の6〜7割程度になると想定されています。

 

65歳までに貯めるべきお金、雇用形態でどれだけ違う?

65歳までに貯めておくべき金額は、厚生年金に加入しているか否かや、現役時代の年収に大きく関わってきます。単身女性が貯めるべきお金を、正社員・非正規社員の働き方別に見ていきましょう。

正社員なら【約799万円】―年収を367万円(※1)と想定

現役時代はずっと正社員で勤め上げた場合、65歳以上の単身世帯では、1か月の平均収入は、社会保険給付(年金)の支給額、約14万円になります。

一方、総務省「家計調査報告(平成28年)」によると、衣食住の最低限の生活に必要とされる1か月の平均支出は単身で15万6000円(全国平均。持ち家の場合)なので、毎月1万6000円が不足していることになります。

65歳で定年して、90歳まで生きると仮定すると、この1万6000円×12か月×26年分の金額を貯蓄しなければなりません。さらに医療・介護費など、もしもの時のお金も300万円程度は用意しておくのがいいでしょう。

これらを踏まえると、
・65歳~90歳の生活費:1万6000円×12か月×26年=約499万円
・もしものお金(医療・介護費など):300万円

499万円+300万円=約799万円 が必要となります。

 

フルタイムの非正規社員(派遣社員)なら【約1423万円】―年収を286万円(※2)と想定、厚生年金加入

定年までずっと派遣社員だった場合は、正社員よりも支給される社会保険給付(年金)が低くなるので、1か月の平均収入は約12万円です。

上記のとおり、1か月の平均支出を15万6000円として(持ち家の場合)、毎月3万6000円が不足していることになります。

これらを踏まえると、
・65歳~90歳の生活費:3万6000円×12か月×26年=約1123万円
・もしものお金(医療・介護費など):300万円

1123万円+300万円=約1423万円 が必要となります。

※上記は65歳まで勤め上げ、退職金なしの場合。
※賃貸住宅の場合は支出に家賃を計上。ゆとりのある生活を前提にする場合は、その分を支出に計上。
※2016年12月14日に成立した「年金制度改革関連法」により、将来もらえる年金は現在の年金支給額の6~7割程度になると想定されています。

 

65歳までにどうやって貯蓄する?

同じく厚生年金に加入していたとしても、収入の違いから、正社員と非正規社員ではもらえる年金に差があります。ですが、正社員でも必要資金を年金だけでまかなうことは難しく、いずれも早いうちから毎月、貯蓄をしていくことが大事です。

ポイントは、手取りから貯蓄分を先に引き、残った分を生活費に回して、確実に貯める仕組みを作ること。貯蓄額は手取り金額の2割が目安です。

貯蓄方法は「定期預金」や「個人年金保険」などさまざまありますが、個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は積立金額が全額所得控除される、運用中は運用益非課税になるなど、大きく節税できるのも魅力です。

 

漠然と考えると不安な老後。でも、今から計画的に準備しておけば恐れることはありません。

鍵となるのは、どう働いて、いかに貯めるか。非正規社員の人は「同じ職種で正社員になる」こと、または、正社員の人も「より条件のよい会社に転職する」ことで、年収アップが可能になります。

今や、“60歳で定年”は当たり前のことではなくなりつつあります。

キャリアアップをしながら、70歳まで現役!と考えて、より長く収入を得続けることも視野に入れましょう。今のうちから計画的に準備を進めることで、より安定した生活を目指すことができますよ。

記事監修:頼藤太希

株式会社Money&You代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に株式会社Money&Youを創業し、現職へ。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場『FP Cafe』を運営。メディアなどで投資に関するコラム執筆、書籍の監修、講演など、日本人のマネーリテラシー向上に努めている。著書は「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法」(河出書房新社)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。

※1:国税庁「平成27年分 民間給与実態統計調査」より
※2:厚生労働省「平成27年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」の労働者派遣事業の賃金をもとに240日で計算

※この記事は2017年7月時点での情報です。