いまさら誰にも聞けない!?知りたかった保険の基礎をゼロから教えます!

2016年08月01日
保険に入った方がいい、保険が必要だというけど、本当に必要なの?
どんな保険があるの?? 種類がたくさんありすぎて選べない…。まずは、そんな疑問をファイナンシャルプランナーにぶつけてみました!

そもそも保険っていったい何?

人生におけるリスクやトラブルに備える制度です

病気やケガなど不測の出来事や、火災、地震などの自然災害、第三者への損害賠償責任など、人生にはさまざまなリスクやトラブルがあるものです。でも、個人の力(=経済力)だけで解決するのは困難な場合も。そんな時、相互扶助のシステムのもとでリスクを軽減するのが保険です。

どんな種類があるの?

大きく分けると
「生命保険」と「損害保険」の2つがあります

(1)「人」に関わる「生命保険」
あなたが亡くなった時に遺族の生活費を確保したり、病気やケガで入院した時にかかる費用を保障するものです。さらには、介護状態になった際に保障を受けられる「介護保険」などもあります。

(2)「モノ」に関わる「損害保険」
交通事故や火災、地震、風水害、盗難など、住居や車などの「モノ」が損害を受けた場合に費用を補償してくれます。また、自動車事故などで他人を死傷させた場合にも、損賠賠償が補償されます。

生命保険の種類は?

死亡、入院、老後に関係した保険があります

死亡保険
生命保険の代表が死亡保険です。その名の通り、あなたが死亡すると保険金が出ます。もちろん保険金を受け取るのは自分ではなく、保険の受取人です。
一般的に販売されている死亡保険は次の3つの商品です。

(1)終身保険
貯蓄型の保険で、一生涯保障されるので、必ず保険金は受け取れます。しかしその分、保険料は高くなります。

(2)定期保険
掛け捨て型の保険です。一定期間の間に亡くなったら保険金が受け取れます。保険料は終身保険と比べて安く、大きな保障を得ることができます。

(3)収入保障保険
定期保険の仲間ですが、保険金を毎月、または毎年といったように分割して受け取ることができます。ただ年数を経るごとに保証額が減っていきます。定期保険より保険料が安いので、子育て世代にはメリットが大きな保険です。

医療保険
医療保険の基本は、入院と手術をした時の保障です。入院をした日数分だけ入院給付金が出たり、手術をすると手術給付金が出ます。しかし、短期入院の場合は、毎月払う保険料の方が高いですし、健康保険、高額療養費などの制度があるので、必ずしも心配とは言い切れません。貯蓄でも十分対応できる方には、とくに必要ないと言えるでしょう。

がん保険
がんに特化した医療保険で、「がん診断給付金」「入院給付金」「手術給付金」の3つから成り立っている保険です。
がん保険の特徴は、「がん診断給付金」で、ガンと診断されれば、100万円単位の給付金が出ます。がんになる確率は60歳を過ぎてから急激に上がりますが、女性の場合は、若い方でも乳がんや子宮がんなどにかかる可能性があります。ちなみに20歳の女性が10年後までにがんにかかる確率は、0.4%と言われています(参考資料:「国立がん研究センターがん対策情報センター」の資料 年齢階級別罹患率[全部位2012年])。自分は大丈夫と思わずに、備えておいた方がよいでしょう。

学資保険
親の死亡に備えつつ、子の教育資金を貯める保険です。貯蓄を重視するので戻り率がいいのが人気です。戻り率とは、支払った保険料に対して、いくら戻るかという数字で、例えば支払総額100万円に対して110万円戻る場合は、戻り率110%ということになります。ただし、払い込んだ保険料より戻ってくるお金が少ない、つまり元本割れの保険商品もあるので注意が必要です。(解説:親の死亡保険として保障部分が大きい保険は、元本割れになります)

個人年金保険
老後の生活費を準備する保険の1つで、一定の年齢が来たら年金の形で保険金が受け取れます。老後が心配な方には興味深い保険かもしれませんが、将来の生活費を保険で準備するのは、少々考え物です。その理由は、この保険が超長期の固定金利だからです。将来、金利が上がると損をする可能性があります。もし、老後のためのお金を蓄えたいならば、確定拠出年金などで準備することをお勧めします。

介護保険
公的な介護保険は40歳以上の人が加入しますが、さらに手厚い保障を受けるために民間の介護保険があります。ただし今後、公的介護制度が変わる可能性も考えられますし、将来的にどのようになるか分からないので、今は他の方法で準備していた方が賢明かもしれません。

損害保険の種類は?

暮らしに潜むトラブルやリスクに関係した保険があります

自動車保険
自動車事故などを補償する保険です。法律で義務づけられている自賠責保険と任意保険がありますが、自賠責保険は支払限度額が決まっていて、補償額が少ないため。万が一のリスクを避ける意味で任意保険にも入っておくとよいでしょう。補償額も無制限にしておくと安心です。

火災保険
火災や落雷などによって建物や家財に損害を被った場合に補償される保険です。賃貸の方はもちろん、住宅ローンを組んでいる人も強制的に契約するので、多くの方が加入しているでしょう。ただし、火災保険には加入していても、「家財保険」には入っていない方が多いようです。家財保険は、適用範囲が実に広いのでさまざまなトラブルに役に立ちます。例えば誤ってリモコンがテレビに当たってしまい、液晶画面が壊れたという場合でも、突発的な事故ということで修理代が補償されるケースもあります。検討してみてください。

個人賠償責任保険
第三者に対してケガをさせたり、人のモノを壊してしまったりして法律上の損害賠償義務を負った際に対応する保険です。単独の保険はなく、自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約として契約ができます。単独で自転車保険に加入するより保険料が安く、年間2000円程度で1億円の保障が家族全員に適用されます。自転車で人にぶつかってケガをさせた場合はもちろん、飼い犬が人に噛みついてケガをさせた場合なども補償されます。ぜひ入っていた方がいい保険です。

自転車保険
自動車を通勤で利用していたり、乗る頻度が高い場合は、自転車事故に対応する保険に入っておくと安心です。事故の加害者になった場合、自動車事故と変わらない賠償額を負うことになるケースもありますので、自転車を乗る人には検討して欲しい保険です。

保険選びで注意することは?

勧められるままに契約するのはNG!
損をしないために押さえて3つのポイント

主契約と特約をしっかり見極める
保険の内容は、「主契約」と「特約」で構成されています。「主契約」とはベースになる保険で、終身保険とか定期保険、医療保険などがそれにあたります。「特約」は、言わばオプションで、医療特約とか三大疾病特約、女性疾病入院特約、通院特約など、さまざまなものがあります。「特約」はサービスではありません。特約をつけるとその分、保険料がどんどん上がってしまいます。保険の営業の人からは、どんどん特約を勧められることも多いのですが、ここはキッパリ必要な物だけにしましょう。

リスク細分型を上手に取り入れる
定期保険や収入保障保険などでは、健康状態によって保険料が安くなる場合があります。これを「リスク細分型」といいます。非喫煙、BMI値、血圧など一定の基準をクリアすれば、割安の保険に入れます。

通販型保険・ネット保険を活用する
大手保険会社が勧める保険は、多くの特約が設定されている商品が多く、保険料が高くなる傾向にあります。その点、「通販型保険」や「ネットの保険」は、内容がシンプルなものが多く、販売経路も絞っているため保険料が安い商品が揃っています。

いかがでしたでしょうか?
保険について、少しは理解が深まったでしょうか?人生にリスクは付きもの。でもリスクを恐れてばかりいては何もできません。そんな不安を少しでも解消してくれるのが「保険」なのです。とはいえ、保険料によって日々の生活が苦しくなってしまっては本末転倒です。今の自分に必要な保険を、しっかり見極めて選んでください。さらに詳しく知りたい場合は、インターネットで調べたり、保険のランキング本(ただし、広告の入っていないムックがおすすめ)なども参考になると思います。

長尾義弘さん NEO企画代表 ファイナンシャルプランナー、AFP長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャルプランナー、AFP。
徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『お金に困らなくなる黄金の法則』『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社)など多数。