女性が知っておきたい「がん保険」のこと

2017年09月20日

「2人に1人はがんにかかる」といわれる時代。女性の場合は「乳がん」や「子宮がん」といった女性特有のがんへの不安も大きく、20代を過ぎた頃から将来のリスクに備えて「がん保険」を考える方も多いようです。

そこで、マネーステップオフィス株式会社代表でファイナンシャルプランナーの加藤梨里さんに、「がん保険」の必要性から保険を選ぶポイントまで、お話をうかがいました。

 
 

女性ががんにかかるリスクはどれくらい?

「がん保険」について考える際、まず知っておきたいのが女性のがんの罹患率(生涯でがんにかかる確率)。女性がかかる「がん」にはどのようなものが多いのでしょうか。国立がん研究センター「がん情報サービス」の統計によると、2016年の女性のがん罹患数予測は約43万4100人です。そして女性のがん罹患数のうち、一番多いのが「乳がん」で、続いて「大腸がん」「肺がん」「胃がん」、そして「子宮がん」となっています

また、よく「2人に1人ががんにかかる」といわれますが、2012年のデータによると女性が一生涯でがんにかかる確率は47%(※)です。これらの数字をみると、日本人はがんにかかりやすい、女性は特有のがんにも要注意、と思うかもしれません。

しかし若い人に絞ってみてみると、20歳の女性が将来がんにかかる確率は、10年後で0.4%、20年後で2%、30年後で5%というデータが出ています(※)。統計的にみれば、若い女性ががんにかかる確率はそれほど高いわけではないことを知っておきましょう。

加えて、一生涯で女性特有のがんにかかる確率をみると、一番多い「乳がん」は9%で11人に1人、「子宮がん」は3%で33人に1人です(※)。これはほかの部位に比べると多少高い数字ではありますが、すべてのがんを合わせた「2人に1人」よりは小さいことがわかります。

一概に「多くの人ががんにかかっているから怖い」と考えるのではなく、こうした状況を客観的に捉えた上で、がん保険を検討したいものです。また、医療の進歩や新薬の登場などで、がん治療における環境も進化しています。早期発見に向けて検診を受け、自分の身体に関心を持って健康管理をしていくことも大切です。

※国立がん研究センター「がん情報サービス『がん登録・統計』」2012年のデータに基づく
 

がん保険を検討するタイミングは?

このような状況を踏まえた上で、がん保険を検討するならいつがよいでしょうか。それぞれの生活環境や考え方でも異なりますが、ライフスタイルが変化するときは、お金や健康管理のしかたについて、改めて目を向けるいい機会です。入る、入らないにかかわらず、保険を検討しやすいタイミングといえるでしょう。

とくに「実家を出て独り暮らしをする」「会社員からフリーランスになる」などの場合、これまで家族や会社から受けていた援助・公的支援が減ることが考えられます。「食事などの生活習慣が変わったら、健康状態は大丈夫か」「病気をして収入が減ったら、治療費など自力でどれくらい対応できるか」「他の人のサポートは受けられるか」など、リスクとその対応策を改めて考えてみましょう。もし、いざというときに自分の貯蓄では足りなさそう、家族には迷惑をかけられない、といった状況ならば、サポート体制として保険を考えてみるのもよいでしょう。
 

加入には保障内容を見極めて

がん保険にはさまざまなタイプのものがありますが、基本的な保障としては、がんと診断されたときに一時金として支払われる「診断給付金」や、がん治療のために入院した場合に支払われる「入院給付金」がメインになるものが多いです。ほかにオプションとして、手術給付金、通院給付金、放射線やホルモン治療・抗がん剤治療を受ける際に受け取れる治療給付金、がん先進医療給付金などがあり、女性にとっては関心が大きい乳房再建術の費用をカバーするものもあります。

自身や家庭の経済状況、またライフプランなどによって、がん保険に求める安心は人それぞれです。いざというとき、自分は何が心配で、何を保障でカバーしたいのかを整理して、保険のタイプを選ぶとよいでしょう。
 

健康で若いうちに保険加入を検討する意味は、「今後の自分の人生のリスクについて、真剣に考える」ことにあると思います。そしてそれをきっかけに、「責任を持って自分の健康を管理しよう」と改めて自覚することでしょう。

将来の病気のリスクに対し、どうやってバックアップのための仕組みを作っていくのか、そのツールのひとつが保険だと考えてください。そして、いざがんにかかったときにどういった保障があれば安心なのか、自分にとって何が必要なのかをしっかり理解して決めることが大切です。

 

記事監修:加藤梨里
ファイナンシャルプランナー。マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、銀行、FP会社を経て独立開業。家計、保険などお金のセミナー、執筆、相談を行う。働く女性のライフプランと健康にも関心がある。慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。

※この記事は2017年9月時点での情報です。