安定志向だったアパレル企業のOLがまさかの独立起業!自分に自信を与えてくれたアパレルPRの魅力とは?
憧れのお仕事のリアルに迫る!輝く女子のワークスタイル
プレス 春海 茜さん
社長秘書やアパレル企業での経験を経て、会社を立ち上げた春海さん。国内外のブランドPRを手掛ける会社のPRであり、一児の母でもある彼女にお話を伺いました。
■アパレルPRというと華やかなイメージですが、実際はどんなお仕事をされているのでしょうか?
私達の仕事は、お客様であるブランドのPR担当となって、そのブランドの魅力を世の中に広めていくことです。アピールしたい商品の魅力を雑誌の編集者に紹介したり、雑誌の企画にピッタリの商品を提案したり、貸出したりしています。営業職と似ている部分があるかもしれませんね。要は「その企画には、このブランドがオススメですよ」と売り込みをするわけです。その他、DM作りや商品の魅力を伝える書類作りなど、地味な業務も多いですね。雑誌などに登場して華やかに活躍している有名なPR担当者もいますが、私は表に出るのが苦手なので陰で頑張りたいタイプ。ブランドの人気を陰で育てていく黒子のような役割をしています。
■春海さんの一日のお仕事の流れを教えて下さい。
朝はまず子どもを保育園に預けます。その後出社して、当社の商品を見に来場した編集関係者の方に「この媒体にはこのブランドがいいですよ」とオススメしたりしています。そういった打ち合わせは1日に5~10件くらい入ります。打ち合わせの合間には、メールで記事の企画内容や誌面校正の確認をしたり、商品の魅力をアピールする書類作りなどもします。効率よく進めることを念頭に、スケジュールを組んでいますね。
ときには、家に帰った後も書類作りをすることがありますが、息子がまだ生後11ヵ月なので、泣き出してしまうこともあるんです。そんな時は仕事を続けたい気持ちはあるけど、10分だけ育児に頭を切り替えて抱っこしたりしています。無理をしないためにも仕事には必ず優先順位をつけ、明日できる仕事は明日やるように心がけています。
■独立する前はどんなお仕事をされていたのですか?
新卒で入った会社を辞めた後、アパレル販売の会社で営業事務になりました。そうしたらたまたまPRのポストが空いて、プレスのお仕事をすることになったんです。タダで雑誌が貰えるし、自分の紹介した商品が雑誌に載るのも嬉しくて、PRの仕事が本当に大好きになりました。この時PRとしてお客様に喜んでいただけた経験が、今の独立につながっているんだと思います。
その後、結婚を機に専業主婦になったんですが、退屈すぎてすぐ働きたくなりました(笑)。私は仕事を続けているほうが、生活のメリハリがついてバランスが取れると気付いたのです。そこで、専業主婦をやめ、社長秘書や事務のお仕事など、未経験職種にも挑戦してみたんです。安定した時間の仕事の方が家庭とバランスがとれると思ったので。でも結局は、アパレルPRに復帰しました。私の原点は服なので、服の仕事を続けていきたいと思ったんです。
■独立という決断のきっかけはなんだったのでしょうか?
専業主婦から秘書などの仕事を経験してみて、やっぱりアパレルPRとして働きたいという思いが強くなり、アパレルPRに復帰したわけですが、次第に「私はどういうブランドを、どんなふうに広めていきたいのか」ということを考えるようになりました。その時の職場は働きやすかったですし、扱っているブランドも好きでしたが、すでに知名度があるブランドのPRなので、自由度が少ないようにも感じていました。そこで、転職活動を開始したのですが、アパレルメーカーであれば、扱っているブランドは世の中で認知されているものが多く、今以上にやりがいを持って働けないのかな、とも考えるようになったんですね。まだ多くの人には知られていないけれども、ぜひ紹介したいブランドがあるのに…という思いが高まり、「独立して私がPRすればいいのでは?」という考えに至ったのです。自由に自分の力でブランドを大きくしていけたら素敵だなと。
私は元々安心・安定志向で、それまでは独立なんて全くイメージしていませんでした。でも、アパレルPRとして本当にやりたいことを考えたときに、独立という選択肢が見えてきたんです。本当にPRが必要なのは大手ではないお客様ですし。自分で扱うブランドを選んで有名にしていきたいなら、会社の枠を飛び出して独立するしかない。なので、思い切った決断でしたが「とりあえずやってみよう!」と始めてしまいました。夫に相談したら「借金しなければいいよ」と言ってくれたので(笑)。
そして独立したからこそ、自分が選んだブランドが大きくなっていく喜びを感じることができています。あの時決断して本当に良かったと思います。
■当初から今の規模でスタートをされたのですか?
始めは知り合いの不動産関係の方が持つスペースを間借りして経営をスタートしました。家賃は人件費と一緒でかさむ部分なので。商売が軌道に乗るかも不安でしたし…。まずはやってみて、経営が順調になってきてもう大丈夫という時に、法人化して今のビルに移りました。急に仕事が立ち行かなくなっては、取引先にもご迷惑がかかりますから、勢いで独立したような感じでしたが、業務の拡大は慎重に進めていきました。
■ゼロから会社を始めることに不安はありませんでしたか?
始めのころはやっぱり不安でしたね。不安はないと思い込もうとしたせいか、独立のお祝いパーティーで飲みすぎてしまったエピソードがあります(笑)。元々自分に自信があるタイプではないので…。
でも仕事も人との出会いもご縁次第、という考え方をするようになって段々と自信が持てるようになりました。例えばお客様からオファーが来なかった時「自分が悪い、駄目だった」って落ち込むじゃないですか。そんな時は、この会社とはたまたまご縁がなかったんだな、と思うようにしています。もし就活で失敗したとしても、その人に合う会社は絶対にありますよね。だから私のPRを気に入ってくれるお客様もいるはずだと、自信を持つようにしています。それに会社にいたころから繋がりのあった編集者やスタイリストの方々が「独立したんだね、行くよ」と言ってくれたのもとても心強く、前向きに取り組むことができました。
■前向きな考え方ができるようになったきっかけはありますか?
自分を採用してくれる会社があったり、「春海さんにお願いしたい」というブランドから連絡があったり。そういう経験を通して自信を持てるようになりました。今の自分を受け止めてくれる会社があるんだと。ご縁のあった周りの方々の支えがあって、今の会社、そして仕事があるのだと思います。
■「ハルミ ショールーム」の特徴はどういう部分にあるのでしょうか?
小さい規模なのでクイックな対応ができ、お客様と親密になれるのが大きな特徴ですね。親しくなれば人対人でお話できるので、「こんな企画はどうですか」というご提案もしやすいです。さらに編集者やスタイリストの方々とも常にコミュニケーションをとって、いつでも頼ってもらえる場所にすることを心がけています。例えば「企画の中で、こんな服を探している」という時に、気軽に来てもらえるような。
それに加えて、納期の管理や基本的な電話・メール対応をしっかりこなすことを大切にしています。社長秘書で培ったスケジュール管理の経験が生きていますね。無駄な経験は一つもないと思います。
■アパレルPRという仕事のやりがいはどんな所にあるんでしょうか?
やっぱりお客様の商品が雑誌に掲載されて、喜んでいただけたときですね。あとはお客様のブランドの人気が出てきたとき。「せっかくいい服を作っているのに、その良さを上手くPRできない…」というお客様を応援させてもらえるのが嬉しいです。
■最後に、春海さんにとって「服」とはどんな存在ですか?
自分に自信を与えてくれるツールだと思っています。人に会う時は自信が持てるようにカッコいい服を選んだり、子どもといるときはリラックスできて汚れてもいい服を選んだりしています。私にとって服は、自分自身を変えてくれる存在ですね。
編集アシスタント、アパレル会社のPR、IT企業の秘書などを経て、国内外のファッションブランドを取り扱うPR会社「Harumi Showroom」を立ち上げる。現在は、PRと卸を行う会社として展開。多くのスタイリストやファッションエディターからの信頼を集めている。
Harumi Showroomの公式サイト http://harumipr.com/