妥協しない転職活動は仕事への言い訳をしないため

2015年12月11日

「自分を変えたい」と思ったとき、みなさんはどんな行動を起こしますか?
引っ越してみる、いつもとは違う友だちに会ってみる、職場を変えてみるのも一つの方法かもしれません。でも、転職にはなかなか勇気がいりますよね。
そこで、さまざまな理由で過去に転職をした先輩女性に、一体なにを変えたかったのか、そして転職により、なにが変わったのかを伺います。みなさんの迷いを解決するヒントが見つかるかもしれません。

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今回お話を伺ったのは、大手レコード会社のチケットセールス部門に勤める岡田さん。各種公演のチケット手配など、プレイガイド業務を行っています。
30代を目前に6年勤めたチケット販売の会社を辞めて大阪から上京。お笑いの制作現場を経て、現在は大阪時代の経験を活かし念願だった仕事に就いているのだそう。

上京や転職といった大きな転機を、「自分のやりたいこと・好きなことを仕事にする」という軸はぶらさずに乗り越えた岡田さんに、やりたい仕事を追求することの魅力や苦労を伺いました。

【岡田さんから学ぶ成功の秘訣】

・うまくいかなかったときの言い訳にしてしまうので、転職先選びは妥協しない
・理想の仕事を追い求めても、業務内容への理想を高めてはダメ
・チャレンジしたいことがあるなら早く行動に移す

 

学生時代にイベントやライブを作り上げる“裏方”の楽しさを知った

岡田裕梨さん(30歳)レコード会社・プレイガイド業務

岡田裕梨さん(30歳)レコード会社・プレイガイド業務

–現在はレコード会社のチケットセールス部門にお勤めとのことですが、もともと音楽業界に興味があったんですか?

大学生のころから、さまざまな音楽イベントに参加するのが好きでした。そのときに、知り合いが運営している音楽系Webマガジンの運営を手伝わないか、と声をかけてもらったんです。

その一環で、自分が企画から携わったイベントを実施することになり、結果は200人以上を集めて大成功。それがきっかけでイベントやライブを作り上げる裏方としての楽しさを知り、運営を支える仕事に興味を持ちました。

–大阪時代も現在と同じようなチケット販売のお仕事をされていたそうですが、上京と同時に別業種へ転職したのはなぜでしょう?

6年間同じ会社に勤めていたことで、業務がルーチンになっていました。公演情報の機械登録は難しいものではないし、社外の方との付き合いも長くやりとりも定型化していたので、スキルアップに繋がるような新しい課題は出てこないような状況でした。「この環境ではこれ以上成長は望めないな」と感じていましたし、変化を求めていたんです。それに、エンタメに関わる仕事をしている以上は東京に出てみたいという気持ちもあったので。

仕事柄、アーティストのライブや演劇を見に行くことも多く、現場で働くスタッフを見ては大変ながらも「自分たちの手で作り上げる満足感や楽しさ」を知っている彼らが羨ましかったんです。

「好きだけじゃ続かない」を実感した制作現場での仕事

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–上京後は制作のお仕事をされていたとのことですが、どのような内容でしたか?

お笑いの公演をメインとする劇場の運営、進行管理に携わっていました。
公演スケジュールに合わせて出演者をブッキングしたり、「香盤表」といわれるスケジュール表を作ったり……かなり忙しい現場でしたが、芸人さんやお客さんのために働くことは好きでした。

というのも、実は中学・高校時代はその会社に入ることが夢だったんですよ。とある芸人さんが「うちの会社は◯◯大学出身の人が多い」と話しているのを聞いて、その大学への進学を決めたくらいです。

–ということは、そのお仕事も「好きなこと」を追求した結果ということですね。

そうですね。わたしとしては小さいころの夢を叶えたことになります。だけど、「好きだけじゃ続かない」というのを実感したのも、このときです。

仕事自体は楽しかったですし、やりがいのあるものでした。けれど、あまりの忙しさにプライベートを充実させることが難しいうえ、さまざまな悩みが重なって精神的に参ってしまいました。上京したばかりで頼れる人もいなかったので、人間関係の寂しさを感じていたんです。

–転職を決意するきっかけはありましたか?

ちょうど転職を考え始めていたタイミングで、大阪時代の先輩がいまの職場に誘ってくれました。

“戦わずして逃げるのは負け”だと思っていたので、そのときは「もう少しいまの仕事をがんばってみたい」と伝え、保留にしましたが、自分にはどうしようもできない・どうにもならない事態に直面したことで、 “逃げるが勝ち”という選択もあることに気付きました。

同じ業務内容でも、職場が変われば気付きがある

いまでも休日は音楽イベントに参加していることが多いそう。

いまでも休日は音楽イベントに参加していることが多いそう。

–どうして、もう一度チケット販売のお仕事に戻ろうと思ったのでしょう?

元のスキルを活かせるというのもありますが、長く続けられる仕事だというのも大きな理由のひとつですね。
プレイガイド業務はさまざまな公演を、チケット販売するためのシステムに登録するのが主な仕事です。ほかには券面といって、チケットの表面に印字される公演の情報やサイトに載せる紹介文を書くこともあります。基本的には内勤で女性の割合が高い職場なので、結婚・出産しても続けている人は多い印象です。まだ自分が出産するイメージまではできていませんが、そうなっても続けられる制度や環境が整っています。

この仕事は合う人と合わない人がハッキリしていると思っていて。業務の内容的に、「完璧にできることが当たり前」なので、2〜3年続けていると誰にも褒められない・認められない状況がツラくなってくるんですよ。
わたしにもその時期はありましたが、自分で自分を褒めることで乗り越えられました。昔から日常のなかのちょっとした楽しみを見つけるのが得意だったので。
たとえば、機械がエラーで動かないときなんかは「ほんまにツンデレやな〜」って話しかけたり…(笑)。

–異業種への転職を経験したことで、現在のお仕事に対する見方が変わった部分はありますか?

大阪の会社を辞めるときは、正直言って「6年もこの仕事を続けたし、これ以上成長することはないだろう」と思っていました。ところが、同じ業務内容でも環境が変わったことで自分のスキル不足や改善できる部分を実感し、まだまだ成長する余地があることに気付けました。いまはまた新たな気持ちで仕事と向きあえるので、毎日楽しく過ごせていますね。

U29読者へのアドバイス「決断は早く、だけど妥協はしない」

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–最後にU29読者へのアドバイスをお願いします。

転職はしんどいことが多いし、妥協したくなることもあるんですけど、そこで妥協してしまうと、仕事で嫌なことがあったときに「やっぱり自分には合っていないんじゃないか」と、その経験を言い訳にしてしまうのではないかと思います。

収入面での不安は、わたしがそうだったように、20代のうちにある程度の経験を積んでおくと、それが転職先でのお給料に反映されるようになります。だからこそ、自分がチャレンジしたい仕事があるなら、早く行動することが大事です。ウダウダしているうちにチャンスは逃げてしまうし、経験を積んだほうがお給料にもプラスの影響を与えてくれるので。

ただ、「やりたい職業」という理想と、業務内容への理想は切り分けておかないと、実際その仕事に就いたときのギャップが大きいと思います。
どんな仕事にも絶対に「理想と現実のギャップ」はあるものなので、あくまで「やりたい職業」への理想はもちつつ、業務内容への理想はあまり高くしすぎないのが賢明だと思いますよ。

人生のうち働いている時間の割合ってすごく多いですよね。1週間のうち5日間は仕事をしていますし。仕事の時間が楽しければ1週間を楽しく過ごせて、人生も楽しくなるはずだと思っています。
みなさんも、自分の人生を楽しく過ごすために夢を持って、妥協せずにがんばってほしいです。

 

(木村衣里/プレスラボ)