[子育てママの再就職] 10年超のキャリアブレイクの乗り越え方
結婚・出産したら仕事はどうする? 働き女子が将来を考えるときに、誰もが一度は思うこの問題。先輩ママたちはどうしたのか、出産後の再就職支援を手がける「ハナマル総合研究所」代表の上田晶美さんに、リアルストーリーを聞きました。
【退職から13年を経て再就職に挑戦】
山下由美さん(45歳/仮名)
4年制大学卒業後、専門商社で営業事務や商品管理などを9年経験。31歳で出産退職し、32歳で第1子を、35歳で第2子を出産。夫の転勤で転居を重ね、13年間家事・育児に専念。夫の本社異動を機に再就職を決心。現在、子どもは中学1年生と小学5年生。
自分の過去に自信が持てない
山下さんは上のお子さんの出産を機に退職。夫の転勤による引っ越しが続いたこともあり、ご自身は13年間、家事・育児に専念してこられました。このほど夫が本社に異動になり、今後は恐らく転勤がないであろうこと、子どもたちも中学1年生・小学5年生と大きくなったことから、再就職を決心されました。
そして正社員を希望し、何社かに応募しましたが、いい結果が得られないことが続いたといいます。働いていない期間が長かったからではないかというのが、山下さん自身の見方。これまでの過去を否定されたような気持ちになり、私の再就職講座に来られたときには、すっかり自信をなくされていました。
「育児ブランク」は「空白」ではない
こうした方々について、育児期間を「ブランク」と呼ぶことがありますが、空白などではありません。例えば、主婦は複数の家事を並行してこなすことが多いものですが、それによって段取り力が身に付き、育児を通じた人間関係の中でコミュニケーション力が磨かれるなど、ご本人も必ず何らかの成長を遂げているのです。
ただその間、仕事上のキャリアが中断されているのは事実ですが、家事・育児に専念してきたのですからそれは当然のこと。ですから、「育児ブランク」ではなく「キャリアブレイク」と呼ぶことを私は提唱しています。山下さんに伝えたのも、まさにこの点。家族を支えてきた13年間に誇りを持ち、キャリアブレイクをどうカバーするか、具体的な対策を考えることをアドバイスしました。
パソコンスキルは再就職の必須スキル
キャリアブレイクが長い方がぶつかるのが、パソコンスキルの問題です。特に、事務系職種を希望する場合は必須能力。山下さんにも、最低限のスキルとしてワードとエクセル、できればパワーポイントが扱えるよう、パソコン教室などで学ぶことを勧めました。こうした努力は、再就職への真剣な思いや学ぶ姿勢のアピールにもつながります。
そのうえで、面接には胸を張って臨むこと。自信がなさそうな人に、面接担当者はよい印象を持ちません。また、何となく応募したのでは、そもそも熱意がないわけですから、自分をアピールすることも難しい。「やりたい」と思える仕事に応募することが大切です。
そのためには、この連載でも以前お伝えしましたが、自分の中の「宝物」を見つけるという作業が有効です。自分の「好き」なことや「やりたい」ことは何か、これまでどのような「経験」をしてきたか、世の中ではどんな仕事が求められているか。この3つが重なる仕事を探すようにしてください。
1.家事・育児に専念してきた過去に自信を持つ
2.キャリアブレイクをカバーするスキルを身に付ける
3.“何となく応募”ではなく、志望動機が持てる 仕事に応募する
■プロフィール
上田晶美
ハナマルキャリア総合研究所 代表
キャリアコンサルタント歴20年のベテラン。10年間の大手流通会社での人事経験と、3児の母として子育てをしながら仕事をしてきたノウハウをもとに、結婚・出産後の再就職を積極的に支援。女性のキャリアについて年間200講演を行う。『ママも今日から働くワ! 主婦の再就職講座』、新刊『働くための話す・聞く』をはじめ著書多数。
http://hanamaru-souken.com/