スペシャルインタビュー 菊地凛子さん

2013年12月05日

菊地凛子さん日米豪華キャストが顔をそろえた映画『47RONIN』で妖女ミヅキを演じた菊地凛子さん。グローバルな活躍を続ける菊地さんの気になる仕事感とは。キュートな表情を覗かせながら、素直に包み隠さず語ってくれました。

―――菊地さん初の悪役。それも、妖術を使う妖女ということで、動き方がとても印象的でした。
(菊地さん)「監督からは、蛇やドラゴンをイメージしろと言われましたね。何百年も生きている妖女の設定でしたので、女性らしさと男性の強さを併せ持つような中性的な部分を見せたいと思い演じました」

―――とても、妖艶な雰囲気が出ていましたが、どのように色気を出したのですか?
(菊地さん)「監督からも“妖艶さを出して”と言われましたが私もわからなくて。ミヅキの場合、吉良上野介をアテンションするという目的を持った妖艶さだったので、わかりやすい色気という感じでしょうか。この妖艶さ、プライベートでも使えればいいんですけど(笑)」

―――ミヅキはとても野心家ですが、菊池さんご自身も野心が強そうに見えます。
(菊地さん)「あんなにストレートではないですが、自分がやりたいこと、好きなことに対しては、しっかり矢印を向けて進んでいきますね」

―――その矢印は最初から明確にわかっているのですか?
(菊地さん)「動いているうちに、点が線になっていくことが多いかな。あとは、直感。感情って自分でも説明がつかないことがあるじゃないですか。そういう時は、自分の本能に任せる。答えが出ないものには、答えを出さないことも必要だと思っていますし」

菊地凛子さん―――そう思えるようになるまで、葛藤はなかったですか?
(菊地さん)「いろいろ、考えましたよ。でも、考えてもいい方向にいかないことが多かった。考えるよりも、今、面白いと思うことや楽しいことに素直に進んでいくほうがうまくいくとわかったんです。そして、面白い方向へ導いてくれる人たちと出会い“こっちだよ、あっちだよ”と導かれてここまできたと思いますね」

―――それは、映画関係者ですか?
(菊地さん)「映画関係の人もいますし、親兄弟や友達など関係ない人もいます。私に“凛子”という名前をつけてくれたスタイリストの北村道子さんは特に影響を受けました。彼女の生き方や考え方は学ぶことがとても多かったですね」

―――菊地さんは20代で大きな賞にノミネートされたり、海外作品に出演したりと大きく活躍の場を広げましたが、30代になって仕事の仕方や気持ちに変化はありましたか?
(菊地さん)「30代になって、より独立した人間でいたいと思うようになりましたね。誰かに責任をとってもらうような環境で働きたくない。20代は“誰かが何かをしてくれるだろう”という思いがあったので、そこは大きく変わりました。年齢を重ねているのに、自立することや、大人になることを受け入れない女性が多くてびっくりしてしまうんですよ。私が思う自立とは今、自分に何が起こっているかを把握して行動すること。きちんと自分を見ていないと、どこに向かっているかわからなくなってしまうから」

菊地凛子さん―――でも、年齢を重ねて自分と向き合うのって案外コワイですよね。
(菊地さん)「コワイですよ! でも、コワイからこそ踏み込まないとダメなんです。私なんて、すっごく恥をかいてきましたからね。英語に関しても演技に関しても、女性としても(笑)。おまけに年をとればとるほど恥をかいたときに“やっちゃいました~”なんて言えないし。でも、これからもかいていくんだろうなぁ」

―――恥をかくのを恐れるなと。
(菊地さん)「そうそう! 恥をかいても私は踏んだことのない芝を歩きたい。誰かが歩いたところは嫌なんです」

―――今、歩きたい方向はあるんでしょうか?
(菊地さん)「私たちの仕事って、脚本や物語があるところから演技をして立体的にしていくことですが、最初の真っ白な段階から何かを始めてみたいという気持ちが強くなっています。それが映画なのか何かはまだわからないんですけど。クリエイティブなことでいちから何かを作りたいと思っていますね」

―――どうしても聞いてみたいことがひとつ。菊地さんは恋愛にアグレッシブなイメージがありますが…。
(菊地さん)「みんなそう言う!! 意外と奥手なんだけど…って質問止めちゃった(笑)」

―――すごい勢いでしたね(笑)。そんな菊地さんに恋愛においてのモットーを聞きたかったんですが。
菊地さん「モットー…。(しばし考えて)品よくいきたいですね。恋愛するのは好きなんですけど、恋愛って身体も精神もボロボロになるじゃないですか。できれば、あと1回ぐらいで終わらせたい(笑)。だから、品よくお互いを癒やし、癒やされるような恋愛をしたいですね」

●Profile
きくちりんこ●1981年1月6日生まれ、神奈川県出身。1999年『生きたい』で映画デビュー。2006年『バベル』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ世界中から注目を集める。『ナイト・トーキョー・デイ』『パシフィックリム』など海外作品から『モテキ』など日本映画まで幅広く出演。

●映画告知
『47RONIN』『47RONIN』
12月6日より全国公開。時は戦国時代。緑美しい赤穂の国で吉良上野介(浅野忠信)と謎の女ミヅキ(菊地凛子)の陰謀により大石内蔵助(真田広之)をはじめとするサムライたちは浪人へと身を落とす。主君の仇を討つために異端のRONINカイ(キアヌ・リーブス)と共に47人の浪人たちは決死の戦いへと立ち上がった。カイとの身分違いの恋に惑うミカ(柴咲コウ)や若きサムライ主税(赤西仁)など豪華キャストがそろう。ハリウッドの一流スタッフと日米キャストによる、まったく新しい忠臣蔵が幕を開ける。

インタビュー・文/中屋麻依子 撮影/八木虎造 デザイン/河村俊子(studio PAWOZ)スタイリスト/梶 雄太 ヘアメイク/宮田靖士(VaSO)