時間や場所を有効に活用できる、フレキシブルな働き方「テレワーク」が未来を変える!?

2017年10月24日

「テレワーク」とは、「離れた場所で働く」という意味の造語で「インターネットなどの情報・通信技術を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のことをいいます。

テレワークで女性の働き方はどう変わるのでしょうか? 自社で最先端のテレワークを実践し、国の事業や民間企業などで多数のコンサルティング実績がある株式会社テレワークマネジメント代表取締役の田澤由利さんに話をうかがいました。

 

将来の労働力不足解決の切り札として、在宅勤務に注目

テレワークには、自宅などでの在宅勤務、会社や自宅以外の外出先で仕事が可能なモバイルワーク、都心や郊外、地方のサテライトオフィスなどの施設を利用した勤務、という3つの形態があって、政府が「働き方改革」の一環として2020年に向けて導入・拡充を推進しています。

その中でも、とくに注目されているのが在宅勤務です。なぜなら、少子高齢化による労働力不足が課題とされている中で、労働時間を減らして従業員のワークライフバランスを実現しながら、会社が利益をあげて成長していくためには、育児や介護、高齢、障害、病気など、何らかの事情で働き方に制約がある人たちが労働参加することが必要だからです。

営業職などで、移動しながらパソコンを使って仕事をするモバイル型のテレワークはかなり浸透していますが、今後はワークライフバランスに効果のある在宅型テレワークや郊外型・地方型のサテライトオフィス勤務の導入・拡充が期待されています。将来、育児や介護で外へ出ることが難しくなったり、夫の転勤などで会社を辞めざるを得なくなることもあるでしょう。働きたいのに働けない人が、雇用の中で柔軟に働ける仕組みがテレワークなのです。

子育て中の社員に聞いた、在宅勤務のワークスタイル

一般的に、在宅勤務は「長時間労働を招く」「孤独になる」と誤解されることがありますが、決してそのようなことはありません。一般の社員と同じように就労規則・法律が適用され、勤務時間中は常に会社とパソコンでつながっています

2児の子育て中の当社社員の例をご紹介しましょう。彼女は1人目の出産の際にメーカーを退職。2009年に当社へ入社して以来100%在宅勤務。web担当をしています。

週3日、在宅で勤務
現在は在宅で、週のうち3日働いています。勤務の日は、朝8時に子どもを保育園に送り、家に戻って9時までにパソコンを立ち上げて業務開始。12時から13時まで1時間の休憩を取り、17時30分に仕事を終えて、子どもを迎えに行きます。

通勤の体力的・時間的ロスがない
通勤ラッシュに揉まれないので体力的にもラク。子どもが熱を出して保育園から急な呼び出しがあっても、自宅と会社の移動がないため30分以内に迎えに行き、状態が落ち着いたら、再び仕事に戻ることができます。

時間有給休暇を有効に活用
子どもの学校の家庭訪問がある日などは、1時間単位で時間有給を利用することができます。会社に通勤していたとすると、最低でも半日休暇を取らなければなりません。用事が済んだらすぐに仕事に戻れるので、同僚に負担をかけることもありません。

 

あらゆる仕事でテレワークが可能になる?

「テレワークに適した業種・職種は何か」、とよく質問されますが、業種・職種に限らず、これからはテレワークの導入が重要になります。業種・職種にかかわらず、導入しやすい企業の傾向としては、以下の通りいくつかの要件があります。

■すでに業務がIT化されている
紙のデジタル化、メールやクラウドサービスの利用などが進んでいる企業は、テレワーク導入のハードルが低くなります。

■女性社員比率が高い
女性社員が多い企業は、女性活用の視点からも、テレワーク導入を進める必要性が高くなります。

■企業トップが未来を見ている
テレワークの必要性を理解して、トップダウンで導入を速やかに進めることができます。

以前はIT企業で導入しやすい傾向にあったテレワークですが、2015年以降、自動車メーカーの総合職、スーパーマーケットの店長職、持ち帰り仕事が難しいとされている銀行などでも、次々と在宅勤務が導入されています。上記の要件が整っていれば、多様な業種でテレワークの導入が可能になると言えるでしょう。

総務省の「平成27年通信利用動向調査」によると、我が国でテレワークを「導入している」と回答した企業は16.2%ですが、そのうちの8割以上が「効果があった」と答えています。今年の夏には、政府と経済界が連携し、テレワーク・デイとして多数の企業が全国一斉にテレワークを実施するなど、多くの企業が導入・拡充に動き始めていると、コンサルティングの現場からも感じています。

テレワークは「自由な働き方」というよりも、雇用の中での「柔軟な働き方」の仕組み。今はまだ制度・環境の整備が半ばでも、人材を大切にしている企業は長期的な視野に立って導入・拡充を進めていくはずです。

自分の生活を大切にしながら、継続的に安定した環境で働きたいと思うなら、テレワークも選択肢のひとつとして考慮し、運用の実態を見極めて会社を選ぶといいでしょう。

 

記事監修:田澤由利
株式会社テレワークマネジメント・株式会社ワイズスタッフ代表取締役。1998年、「在宅でもしっかり働ける会社を作りたい」と株式会社ワイズスタッフを設立。2008年には、柔軟な働き方を社会に広めるために、株式会社テレワークマネジメントを設立。企業等へのテレワーク導入支援や、国・自治体のテレワーク普及事業等を広く実施している。

※この記事は2017年10月時点での情報です。