ママ向けWebグロースハッカー養成講座第2期 8ヶ月間の集大成となる課題発表で覗かせた、ママたちの成長と自信

2017年05月22日
本サイト上でもその取り組みを継続的にレポートしてきた、ママ向けWebグロースハッカー養成講座。2016年秋よりデジタルハリウッドSTUDIO福岡にてスタートした第2期生の講座も、いよいよ最終章へと突入。4月26日(水)に、講座開始から8ヶ月間で身につけたスキルを活かして制作した修了課題の発表が行われた。5月の卒業へ向け、過去最高潮に熱のこもったプレゼンの様子をレポートする。
集合写真

プレゼンを終えて安堵の表情を見せる2期生ママたち。8ヶ月間成長を見守ってきた講師陣と、応援に駆けつけた1期生のママたちも一緒に。

今回のプレゼンは、2期生の集大成とも言える修了課題の発表。当日はママたちの雄姿を見守るべく、授業に登壇した講師陣や第1期生のママたちも会場を訪れ、教室はいつも以上の賑わい。プレゼンを控え緊張感はあるが、長い道のりだった講座を乗り越えてきた自信も感じさせる、すがすがしい表情のママが多い。

これぞママグロースハッカー!
ママ視点がキラリと光る改善案が多数

今回の課題は、求人サイト『はたらいく』、ほかテレビショッピングや鉄道会社、通販アプリなどのサイト改善案件。中でも多くのママたちがチャレンジしていたのが、20~30代の男性をターゲットにした「はたらいく」の求人画面一覧とフォーマットデザイン改善案件、40~60代をターゲットにしたテレビショッピングサイトの入力フォームの改善案件。後者に関しては、「番組視聴後30分以内の申し込み」という制約が設けられている難易度の高い案件だ。

すでに高度に完成され、特に改善が必要なさそうに見えるページだが、ママたちはさらなる改善ポイントを見つけ出していた 。
「『はたらいく』のサイト改善のために、 夫の会社で働く20~30代の男性にヒアリングしてリサーチしました」
「今回の通販アプリサイトと同様、40~60代の女性をターゲットにしている大手化粧品メーカーのデザインや色づかいを研究しました」
「うちの小学生の子どもが、こっちの方が見やすいよ!とアドバイスをくれて、それに従ってデザインを決めました」
ママならではの心遣いと洞察力、そしてママを応援する家族のサポートまで盛り込まれた改善案が、次々と発表される 。手がかりを探りながら改善までのストーリーを作り出す手腕に、講師陣たちも成長の手応えを感じていた。

そして、改善案を具体的にデザインに落とし込み、ユーザーの意識を誘導することまでが、グロースハッカーの担当領域。フォントサイズの変更はもちろん、ユーザーの心を掴むキャッチコピーや文言、アイコンの作成、フォームのコンバージョン更新など、サービスを利用するユーザーやクライアントのためを考えた案を実現していく。クライアントが課題を感じている実サイトの案件とあって、ママたちの真剣さがひしひしと伝わってきた。

プレゼン風景

ママたち1人ひとりの個性が表れていたプレゼン資料。入力フォーム自体をアイコン化して見せる案には、「長年(Web制作に)携わっている者からはなかなか生まれない発想」と講師陣がうなる一場面も。

そんな惜しみない努力の一方、「やりたいことがたくさんあるのに、技術的に対応できないもどかしさがあって……」と思わず本音が漏れてしまうママも。この発言に、彼女たちの成長を近くで見守ってきた、株式会社リクルートジョブズ 渡邊氏は次のようにエールを送った。
「今できるスキルの範囲でチャレンジしてみることも大切。今ある情報を減らしたり、配置を動かすなど、少ないエネルギーで成果を出すことも評価に繋がります。ママならではの視点を積極的に活かしてみてほしいですね」

みんなママだからこそ、
励ましあってここまで来られた

今日の最終プレゼンを迎えるまで、ママたちは子育てと家事の傍、週に2回実施されるスクーリングと、教室と自宅で学べる動画教材(eラーニング)での 個別制授業を組み合わせ、約260時間もの学習に取り組んできた。最年少のお子さんは、開講当時まだ生後8ヶ月。掴まり立ちも難しかった幼子が、今や元気いっぱいに歩きまわっている。そして、グロースハッカーとしては赤子のようだったママたちも、さまざまなスキルを身につけ、今では一人前のグロースハッカーとして堂々とスタート地点に立っているのだから、感慨深い。
ママたちはこの8ヶ月間を振り返り、「みんながママだからこそ、諦めずに頑張ることができました」と口々に語る。プレゼン前夜まで諦めずに制作を続ける人、当日の明け方まで資料を手直しする人など、個々人として意欲溢れる面々ばかりだが、さらに受講生全員がママであるという一体感が、結びつきをさらに強固なものにしたようだ。

チャレンジし続けることは、
未来の自分を裏切らない

プレゼンが終わり講師陣の総評の時間に。株式会社リクルートジョブズ 林氏は「今後は家事などの制約の中で仕事を続けていくことになる。だからこそ長く続けるためのルールを、自分の中で作ってほしい。ルールを設けて工夫する中で、ふと生まれてくるクリエイティブもある」と語った。

株式会社リクルートジョブズ 林氏

株式会社リクルートジョブズ 林氏をはじめ、グロースハッカーの仕組みを提供するKaizen Platformからも4名のゲスト審査員が訪れ、ママたちのプレゼンに耳を傾けていた。

続いて、今期から講師として加わった北古賀氏は「Webデザイナーとしてのスキルは正直まだまだ。しかし、サイト 改善に関しては技術的なことよりも改善点に気がつくその目線が大事。グロースハッカーとして、これから踏み出せるんだという希望を持って進んでもらいたい」と、厳しくも愛あるメッセージを送った。

最後にデジタルハリウッドSTUDIO福岡の高橋校長が総評。「ここから継続していけるかが大事。1つの投稿に1週間かけて四苦八苦しながら取り組んでいた1期生が、今では1週間に12本の案件を成立させている。これから先自分で自分を育てるために、チャレンジし続けることが本当に重要になってくるので、執念を持って取り組んでほしい。1日1%でもいいからできることを増やし、チャレンジを続けていけば必ず成長できる」とママたちの未来を照らす言葉で締めくくった。

そしてプレゼンを終えたママたちにも、これまでの講座と課題発表を振り返っていただいた。

夫の転勤にも育児にも対応できる
「在宅ワーク」という選択肢

石田さん

2歳のお子さんを持つ石田さん。結婚後、夫の赴任先の韓国で現地の会社に就職。帰国後は大学で事務の仕事に携わっていたが、出産を機に退職することになった経緯もあり、転勤や育児に影響なく働ける手段を探していたという。

最初はプレゼンさえ不慣れだったが、イラストレーターやフォトショップを使えるようになり、グロースハッカーとしての勉強に夢中になっていったと笑顔で振り返る石田さん。
「同じ目標を持って頑張るママたちと出会えたことは、自分にとって大きな意味がありました。プレゼンを終える度に、講師陣のフィードバックをいただけたり、授業に1期生の先輩が来てくださってわからないところをフォローいただいたりと、手厚いサポートに励まされました」
そんな彼女はプレゼン時に、「時間がかかってもいいから、100件(の提案を)頑張ろう!」という目標をスクリーンに映し出し、会場をどよめかせた。100件という目標はどこから生まれたのだろうか?
「卒業後のことを漠然と考えて1期生のママに話を伺ったところ、100件ぐらい案件をこなしてみると勝ち案や対処法が見えてくるとアドバイスをいただいて、チャレンジするしかない!と思って(笑)」
彼女のような意欲に満ちたママが、2期生全体の成長を引っ張っているようだ。

今後の抱負を語る有働さん

「受講を終えてもまだまだ学びたいことがいっぱい! 思い通りにデザインする力や色づかいなど、もっとデザインを勉強したいです」と今後の抱負を語る有働さん。

この連載で以前にも登場いただいた有働さん。今回のプレゼンでは、テレビショッピングサイトの入力フォーム案件において、特に「わかりやすさ」と「ママならではの視点」という観点で高評価を得た。
「改善案を考えるにあたって、ユーザーになりきってサイトを使ってみることからはじめました。その時、まず郵便番号の記入欄が気になって。郵便番号は引っ越してすぐの場合は覚えていないこともありますし、そこからまた新しいウインドウを開いて、検索して…という動きをしていると、PCに不慣れなユーザーの場合はこれだけで30分過ぎてしまうのではないかなと」
今回の案件のターゲットである40~60代で、普段からPCを活用していない世代を想定した発想だ。そして、目立つ場所にステップ図を追加し、注文商品のカラーがわかりやすいように視覚的な工夫をしたりと、細やかな対応をしていった。中でも彼女の気配りを感じられたのが、支払い方法の欄に、「以下の2種類からお支払い方法をお選びください」というひと言を添えていたこと。人としての気遣いや心配りが改善結果に大きくつながることを、改めて感じられるプレゼンだった。

この8ヶ月の経験と実績は、子どもと過ごす時間や家族を大切にしながら、やりがいのある働き方をしたいと考えるママたちに、具体的な成長を促し、新たなライフステージへと引き上げる飛躍の期間となった。いよいよ5月11日には修了式を迎え、グロースハッカーとしての活動を始める2期生。今後の展開と活躍に、注目したい。