心理カウンセラー・心屋仁之助先生に聞く!
第1回【将来が不安な理由】
恋愛、結婚、出産、仕事…と将来を思うと不安でいっぱいになったり、自信をなくしてしまったり。そんな悩めるU29女子たちは、いかに自分自身を受け入れ、自分らしく働き、生きていくことができるのか?多くの人の心の悩みを聞いてきた心屋仁之助先生に、将来への不安を抱える悩み多きU29女子たちの心を軽くするコツを聞いてきました。
第1回は、「将来が不安な理由は?」です。
がんばり屋さんほど将来が不安に
結婚や出産、転職など将来を考えるとさまざまな悩みや不安があると思います。まずひとつ言えるのは、この不安は結婚しても出産しても、転職しても消えることはないということ。むしろ「この人とずっとうまくいくのだろうか?」や「子どもはできるんだろうか?」「子どもをちゃんと育てられるのだろうか?」と、次のステージに進むたびに悩みの範囲は広がっていってしまうものなのです。
「将来、どうなるんだろう?」という不安がある人は、簡単に言うと「がんばり屋さん」な「いい人」。そもそも人間はみな、怠け者で役立たずで、ぐうたらな部分をいっぱい持っているのに、それじゃダメだと思うから、人の役に立とうとしたり、人に喜ばれようとしたり、人に迷惑をかけないようにしたり、人の期待に応えようとしたり、とにかくがんばってしまいます。将来への漠然とした不安というのは、「私はいつまでがんばり続けなければいけないのだろう?」という悩みでもあります。がんばり屋さんのいい人こそが不安になりやすいのです。
がんばり屋さんに共通する「お母さんを悲しませたくない」という思い
さらに、がんばり屋さんのいい人には共通点があります。それは、小さな頃に自分のお母さんを見て、あまり幸せそうじゃないと感じていた人。そんなお母さんを見ていたから、今でもお母さんの喜ぶ顔が見たくて悲しむ顔が見たくない。このふたつの原動力ががんばりすぎる女性を作ってしまうのです。
自分がちゃんとがんばらないと、お母さんが喜ばないし、悲しむ。だから、常にいい子でいよう、お母さんに迷惑をかけない人間でいようとしてがんばる。泳ぎ続ける魚のように、止まれなくなってしまうのです。
がんばった結果、お母さんを喜ばせることができているときはいいけれど、期待に応えられなかったり、望むような結婚ができていなかったりといった状況になると、気持ちが落ち着かなくなり、途端に不安になってしまうもの。全てお母さんという存在が大きく関わっているのです。
逆に子どもの頃にお母さんがいつも楽しそうにニコニコしていたという人は心配事が少ない傾向があります。お母さんを喜ばせる必要がないから、自分のやりたいように振る舞うことができます。自分がうまくいこうが失敗しようがお母さんは笑っているから、うまくいかなくてもいいんだと安心でき、将来の漠然とした不安なんて感じることもなくのびのびと暮らせるのです。
がんばらない女性が夫を出世させる!?
がんばり屋さんの女性は、がんばり屋さんなので仕事ができるし、がんばってやってしまうもの。しかし、「私ががんばって稼がなくては」、「私がこの家を守らなければ」という思いは将来結婚したら旦那さんの給料を下げてしまうことにもつながります。がんばり屋さんの女の人は、言ってしまえば究極のサゲマン。女性が家計や家族のためにがんばると、男性はどんどん働かなくなるんですよ。
「旦那さんはこれくらいの給料だけれど、家でのんびりしていよう」くらいの、できるだけダメな奥さん、働かない奥さん、遊びまくる奥さんになると旦那さんの給料は上がっていったりします。不思議ですよね。
先ほどお話したように、自分が楽しそうにしていないというのは、自分がお母さんになったときに子供にも伝わってしまうということでもあります。
だからもし、将来の結婚&出産を考えて転職を考えている人がいるなら、「お金も稼いで、子育てもしっかりできる仕事」を探すより、「できるだけヘラヘラできる仕事」がいいのではないでしょうか。ランチを食べに会社に行くような「あなた、ダメでしょう!」と言われるくらいの女性の旦那さんは、不思議と給料が上がっていきます。
さらに、できるだけ家事はちゃんとしない、家計を管理しない、節約しないなど、世間一般で言う「いい奥さん」と逆をすると男性はどんどん出世していく。ヘラヘラとしたお母さんを見て子どもはのびのびと育ちますしね。
ここでもきっと頭の中の「お母さん」が、あなたをデキる女にしようとがんばらせようとしますが、振り切ることが大切です。
焦りやひがみ、嫉妬を振り切るためにも「がんばらない」が大事
20代後半の女性は、周囲の人たちも結婚・出産・転職を迎えるタイミング。「あんな子が結婚できているのに、なぜ私はダメなの?」など、焦りやひがみ、嫉妬など黒い感情が沸いてくることもありますよね。
それも最終的には「あんな子が結婚できるのに、私は結婚できないっていうことは、私の存在がダメなんだ」という自分へダメ出しにつながるのです。仕事ができる、スタイルがいいなど、長所になりうるところがある人ほど、その傾向が強く、むしろ長所が欠点だと自分で自分を責めることにもなりかねない。常に自分の存在に罪の意識を感じるようになるのです。その結果、がんばることで罪を償える、自分が不幸になれば許されるなど、常に罪の意識と戦うようにがんばるしかなくなってしまうのです。
「このままの私」という存在に自信がないから、がんばるという鎧で自分を保とうとしているがんばり屋さんには、今まで自分が身につけていた鎧を脱ぎ捨てて「いい人」から「どうでもいい人」になることが必要なのです。
あれもできないし、これもできないし、太っちゃったし、全然ダメだけど「これでいいや〜」と思えた瞬間に、焦りやひがみ、嫉妬で渦巻いていた気持ちに平和が訪れるもの。これまで避けてきた「超ダメな自分」、「がんばらない私」になれた瞬間に周りの人から逆に「すごく素敵ね」と言われるなんてこともあるんですよ。
短所こそが長所!人を引きつけるのは欠点
みんな自分の魅力を長所だと勘違いしているけれど、魅力というのは自分が一番ダメだと思っているところだったりするもの。自分の弱いところ、できないところ、グズグズ言うところ…欠落している部分こそ、人を引き寄せる魅力だったりするのです。みんなその欠落しているところを、自分の魅力だと知らずに必死で隠そうとしている。欠落している部分を見せていれば、その凹んでいる部分をきっと誰かが埋めてくれるというのに。埋めてくれる人は誰かの役に立てたことでうれしい気分にもなるのですから、埋めてくれる人が現れたのなら、素直に「ありがとう」って埋めてもらえばいいのです。
だから仕事がバリバリできる女子より、仕事中も携帯電話ばかりいじって、ネイルの心配だけしている女子の方がモテたりするんです。「えー私わかんないですー」というできないことを見せている女子は、男性が役立つチャンスをちゃんと作ってあげているから、男性も進んで助けたくなる。男性は女性の役に立ちたいもの。男性は女性からの「すごーい!」という言葉が何よりもうれしいわけ。でも、ひとりでがんばっちゃっている女性は絶対にそんなこと言わないでしょう。「私の方がもっとできるもん」くらい言っちゃう。そんな女性、男性からしたら嫌でしょう。
もちろん女性も一緒で、男性の役に立ちたいという思いはあるはず。そのためには、仕事を手伝うことでも家計を助けることでもなく、男性に役に立たせてあげることが大事だと思うんです。
「できない自分」を見せないと、男性に「役に立たせて」あげられない。
女性の働き方としては、自分でバリバリなんでもできるようになるというよりは、周りの人を役立たせる、人に助けてもらう、頼るということを意識した方がいいですよね。
このように、できるだけがんばらず、不真面目に生きて、ダメな人間になるということで、ずいぶんと生きやすくなるはず。がんばらないことは、将来の「いつまでがんばり続けなければいけないのだろう?」という不安を取り除く一番簡単な方法なのです。
————————————————————————————————————————————————————–
恋愛・結婚・出産・仕事…と将来を考えると不安ばかり。でも、それらを振り切るためにがんばっているという方にとっては、心屋先生の「がんばらないで、ダメ人間になる」ことが一番の解決法というのは驚きのアドバイスだったのではないでしょうか。がんばり屋さんはがんばらないことの方が難しかったりすると心屋先生はおっしゃいます。
第2回(8月7日公開)では、「がんばらないトレーニング」についてお話いただきます。
お楽しみに!
<プロフィール>
心屋仁之助(こころや じんのすけ)
主に個人のクライアントを対象として「性格を変える」「自分を好きになる」サポートを行う、性格リフォーム心理カウンセラー。
兵庫県出身。大学卒業後、佐川急便に新卒で就職、その後、自身の家庭や性格の問題解決を通じて心理の世界に出会い、心理カウンセラーとして起業。
現在は、京都を拠点として独自手法の‘言ってみる’心理カウンセリングや、その手法を広めるためのカウンセリングスクール・セミナー・講演・執筆活動などを行っている。
代表著書に「心が凹んだ時に読む本」(王様文庫)など。