U29(ユニーク) 女子プロジェクト

自分の市場価値がわからない…【働く女子お悩み相談】

20代から30代の働く女性は仕事やキャリア、そして恋愛、今後の人生プランなどいろいろと考えることも多いハズ。そんな悩みを抱えるとらばーゆ読者にキャリアカウンセラーの水野順子さんがアドバイス。リアルなお悩み相談に解決の糸口を見つけます。

【今回の相談者】【今回の相談者】

神崎江梨子さん(31歳/仮名)

大学卒業後、大手企業にて秘書を2年経験するが、女性同士のいじめ合戦に嫌気がさし転職を決意。24歳でIT関連企業に正社員として入社。現在、商品企画・開発・設計などを行っている。未婚・彼氏なし。

『大奥』の世界を飛び出し、異業種転職にチャレンジ

水野さん:前回の相談者の方も秘書からの異業種転職でしたが、神崎さんもまったく違う業界に飛び込んだんですね。

神崎さん:はい。転職後、最初の2年半はグループ会社で営業を担当しました。真冬にビルの1階から5階まで飛び込み営業をしてヒールの中がしもやけ状態なんてことも(笑)。

水野さん:秘書から一転して、ハードな世界に入りましたね。

神崎さん:いえ、秘書の仕事も相当ハードでしたよ。江戸時代に『大奥』という世界があるじゃないですか

水野さん:将軍に仕える女性たちですね。

神崎さん:まさにあの世界でした。上席の役職についている秘書をトップにヒエラルキーができていて、私のような新卒は乱暴な言い方をするとカス扱い。先輩に何か聞こうと思っても、会社の規則をまとめた分厚い資料を投げられて「これ、読めば」で終わり。それで自分なりにやって提出すると、指摘されることもなく勝手に直されて「あの子、こんなミスしたのよ」と広められるんです。やり方が陰険そのもの(笑)。

水野さん:ドラマの世界ですね(笑)。

神崎さん:ストレスで肌も荒れるし、体重も増減を繰り返すし。でも、すぐに辞めるのも悔しいし、ここで得られるスキルだけはしっかり積んで辞めてやると決めて3年勤めました。

水野さん:そのバイタリティがあれば異業種転職も問題なさそうですものね。その中でもIT業界を選んだ理由はなんでしょうか?

神崎さん:もともと、クリエイティブやディレクション業務に興味があったことと、どんな仕事だったらキツくても頑張れるか、ということを考慮して選びました。

水野さん:普通、20代だとよりキツくない仕事を選ぼうとする傾向がありますが、神崎さんは理路整然と考える力をお持ちですね。

神崎さん:転職後はリテール営業1年、大手顧客企画営業1年半、その後、商品企画を2年、そして商品の設計を2年担当しています。

水野さん:社内での異動は神崎さんの希望ですか?

神崎さん:すべてそうです。入社のころから企画関連の仕事をしたかったのですが、秘書からいきなりマーケットの業務はできないだろうと、まずは営業を経験しようと思ったんです。

一生働ける職場を見つけるためにも、現在の自分の市場価値を知りたい

水野さん:そこから順を追って、実績を積み、現在はやりたかった仕事に就いているわけですね。一見、なんの問題もなさそうですが…。

神崎さん:今の会社は終身雇用制ではないですし、短期的にアウトプットし続けることを求められるので、しんどいという気持ちもある。私にとって、働くことはライフワークだと思っていますから、一生働く上で、今の会社が最適なパートナーとは思えないので、転職を考えているんです。そこで、率直に自分の市場価値が知りたくて。

水野さん:今後、どのような働き方をしたいと考えていますか?

神崎さん自分の強みを生かした仕事がしたいですね。性格的にとても怖がりなので、仕事において足場がないととても不安なんです。ですから、今後、弁理士の資格を取得して版権管理の業務に就きたいと思っていますが、市場的にそれが可能なのかを教えてほしいです。

水野さん:自分の市場価値を知るための方法として、転職エージェントに登録して紹介される案件で現実が見えることは多いです。また、最近では希望企業に直接アプローチしてポジションを作ってもらう方法もありますね。

神崎さん:そんなことができるんですか!

水野さん:今まで女性が直接アプローチしてくることは少なかったと思いますが、今は大手企業ほど女性雇用に積極的ですので、求人を「待っている」人材よりも「つかみに行く」優秀な人材を企業は求めています。また、インターネットの普及によりアプローチする場所は増えていますしね。そして、30代の転職は「紹介」も増えてきます。神崎さんほど優秀な人材ならばそのような話も多いのでは?

神崎さん:確かにありますね。ただ、あまり興味のない営業職での紹介が多くて断っていますが(笑)。

水野さん:信頼のおける人や神崎さんの実績をわかっている人に「今後はこんな仕事がしたい」と明確にやりたいことを伝えておきましょう。そうすると、今すぐでなくとも、そのポジションに空きが出たときに声がかかる可能性があります。

神崎さん:まずは種をまいておくことですね。

水野さん:その通り! ポイントとして決裁権を持っている方や、管理職を目指している人などにお話しするといいでしょう。神崎さんは実績をしっかりお持ちなので、チャンスは十分にあると思いますよ。

水野
■プロフィール
水野順子
株式会社キャリアコレクション代表取締役。キャリアカウンセラー、ビジネスメンタルトレーナー。女性とキャリア研究所主宰。女性のライフプランとキャリア支援を得意とし、これまで2万人以上、6万人以上の講演・研修を行っている。著書に『責めない しがみつかない 投げ出さない』。

オフィシャルサイト http://www.mizunojunko.com

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