[子育てママの再就職] 三世代同居ならではの悩みとは?

2015年04月17日

[子育てママの再就職] 三世代同居ならではの悩みとは?
結婚・出産したら仕事はどうする? 働き女子が将来を考えるときに、誰もが一度は思うこの問題。先輩ママたちはどうしたのか、出産後の再就職支援を手がける「ハナマル総合研究所」代表の上田晶美さんに、リアルストーリーを聞きました。

【上の子が小学校に入る4年後を目指して、再就職準備を開始】
働く女子お悩み相談
川井直子さん(30歳/仮名)

短大卒業後、メーカーで営業事務を5年経験。遠距離恋愛を実らせて北陸地方にいる夫と結婚し、転居のために勤務先を退職。翌年、27歳で第1子を出産。3歳の子どもと夫の両親と、三世代同居の5人家族。

夫の両親に再就職を勧められることが悩み

川井さんは、結婚して北陸地方に移り住み、夫の両親と同居しています。この地方では三世代同居はよくあることで、妻は子どもを夫の両親に預けて仕事をするのが一般的。全国的にも、共働き率が高いことで知られている県です。

川井さんも、夫の両親から「まだ働かないの?」と再就職を勧められていますが、実はこれが彼女の悩みの種。いずれ仕事を再開するつもりはあるものの、今は好きな裁縫と料理を活かして、子どもの幼稚園のグッズやお弁当をつくったり、しばらくは育児に専念したいと考えているのです。

核家族化が進み、子どもの預け先がないと悩む都会とは逆の状況ですね。再就職のタイミングは自分のペースで決めたいのに、同居の家族の目が気になる。大家族ならではの悩みだといえます。

自分の将来の計画は、自分で立てる

私からは彼女に2つのアドバイスをしました。1つはいつごろ再就職するか、目標の時期を決めて家族にも宣言しておくこと。もう1つは、得意なことがあるなら、それを仕事にする手もあるということです。

まず、再就職の時期について。例えば「子どもが小学校に入学したら考えます」などとあらかじめ伝えておけば、家族も心配しなくてすみます。目標の時期を決めれば、準備もできる。ここで2つ目のアドバイスにつながるのですが、得意なことを仕事にする、地方にいることを活かすなど、柔軟な発想で小さなチャレンジを始めることもできるのです。

地方にいること、子どもがいることを強みに変える

「再就職=どこかに勤めに出る」と多くの人が思いがちですが、そうとは限りません。裁縫が得意なら手づくり品をインターネットで販売する、料理を活かして自宅で料理教室を開くなど、趣味を収入につなげる方法もあるのです。

私の別な受講生の例ですが、やはり地方にある自宅でネイルサロンを開き、順調に軌道に乗せた人がいます。東京では競争が激しいネイルサロンも、その地域は競合店が少ない。地方には地方の利点があるのです。お子さんが卵アレルギーだという別な女性は、アレルギー対応のパン教室を自宅で開いたところ、子連れOKということも評判になって、予約がすぐ埋まる人気教室に。地方住まいや子どもがいることを強みに変える。そんなしたたかな発想も大切です。

川井さんは、お子さんの小学校入学まであと4年。その期間を、できる範囲で手づくり品のネット販売や自宅での料理教室に挑戦する「お試し期間」にあてる。まずはそんな一歩から踏み出すことを、彼女は今計画しています。

【川井さんのケースに学ぶ3つのポイント】
1.再就職の目標時期を決めて、家族にも共有する
2.柔軟な発想で、得意を活かせる働き方を考える
3.本格的に挑戦する前に、小さなチャレンジをしてみる

キャリアコンサルタント 上田晶美さん■プロフィール
上田晶美
ハナマルキャリア総合研究所 代表
キャリアコンサルタント歴20年のベテラン。10年間の大手流通会社での人事経験と、3児の母として子育てをしながら仕事をしてきたノウハウをもとに、結婚・出産後の再就職を積極的に支援。女性のキャリアについて年間200講演を行う。『ママも今日から働くワ! 主婦の再就職講座』、新刊『働くための話す・聞く』をはじめ著書多数。
http://hanamaru-souken.com/