夫とはお互いを尊重し、息抜きの時間を作るのが大事
「自分を変えたい」と思ったとき、みなさんはどんな行動を起こしますか?
引っ越してみる、いつもとは違う友だちに会ってみる、職場を変えてみるのも一つの方法かもしれません。でも、転職にはなかなか勇気がいりますよね。
そこで、さまざまな理由で過去に転職をした先輩女性に、一体なにを変えたかったのか、そして転職により、なにが変わったのかを伺います。みなさんの迷いを解決するヒントが見つかるかもしれません。
出版社所属のカメラマンとして活躍していた和田さんは、第一子の出産を機に退社。子どもが生後3カ月になるまで休んだのち、フリーランスとして活動を始めました。現在はデザイン会社に再就職し、2歳と5歳のお子さんの子育てに奮闘する一方でカメラマン兼デザイナーとしても活躍しています。
飲食店で働く夫と共働きを続ける和田さんに、会社員→フリーランス→会社員というキャリアを歩んだ理由や、夫の仕事を支えるために心がけていること、仕事と家事・育児の両立のコツなどを紹介します。
【和田さんから学ぶ成功の秘訣】
・夫とはお互いさまだと許しあえる関係性を築くこと
・夫婦間の会話を大切にし、普段から価値観のすり合わせを行うこと
・家庭の事情をしっかりと話し、それを受け入れてもらえる会社を選ぶこと
「お互いさまだよね」と許しあえる関係性が大事
――子育てしながら共働きするとなると、ご夫婦の間で価値観のすり合わせが必要になってくるかと思います。そういった話し合いの機会などは持たれているんでしょうか。
和田さん:改まって話し合いをしたわけではないんですけど、価値観のすり合わせは自然とできていたと思います。結婚前から二人で気になったテーマについて話を深堀りしていくのが好きで、共働きについても無意識にすり合わせができていたんじゃないかとは思います。
逆にそれができなくなると、知らないうちに考え方にズレが生まれてしまうのかもしれないですね。夫が結婚後に転職したことがあったのですが、そのときもこれといった話し合いはしませんでしたが、すんなり受け入れることができました。
――旦那さまの転職は、一家にとっての一大事だと思います。スムーズに乗り越えられた背景にはなにか理由はありますか?
和田さん:困難を困難と思っていないからでしょうね。当時も夫は飲食店に勤めていたのですが、あるときからすごく待遇が悪くなってしまって。夫が気持ちよく働けないなら、「別の会社に移れば?」というのは自然な流れだった気がします。
―― 一家の大黒柱である旦那さまをどのような点で支えていると思いますか?
和田さん:家事は基本的に私がやっていますし、経済的にも私が働くことである程度支えになっていると思います。あと、休みの日になると相手がいつの間にかキッチンに立っていることがあるんですけど、休日ぐらい休ませてあげたいので、「やるよ!」って言って代わるようにしていて。
ほかにも、「自由時間は自由にしてほしい」というのはよく言っています。飲みに行きたいと言ったら快く送り出したり、夫の仕事の話を聞いてあげたり、できるだけストレスを発散できるような環境作りは意識していますね。それが、夫への精神的な支えになればいいなと思うので。
ただ、一方的に支えている関係だとはあまり思っていないんです。夫は昔から趣味でバンド活動をしていますし、その分私も自由にさせてもらっているので、「お互いさまだよね」って許し合える環境や関係性が大事な気がします。
スキルを着けるために会社勤めの道を選びました
――長男の出産を機に会社を辞めた後、復帰せずにフリーランスとして活動を再開したのはどうしてでしょうか?
和田さん:最初に働いた出版社は契約社員だったので、産休・育休を取って戻れる環境ではなかったんです(グラフb)。
産後、落ち着いてきたころに、ちょうど出版社時代の繋がりでお仕事の声をかけていただくことが増えました。「依頼してくださる方がいるのに、いつまでも休んでいたくない!」と思い、そのままフリーランスとして仕事を受けることにしたんです。
ありがたいことに産休中も仕事を依頼したいという声はいくつかいただいていたので、わたしさえ動けるようになれば仕事はある状態でした(グラフc)。
――産後3カ月でフリーカメラマンとして活動を始めていますよね。仕事中、お子さんはどうされていたんですか?
和田さん:はじめは託児所に預けていました。0歳児から入れる認可保育園は非常に少なく、その分倍率も高いので認可保育園は無理だと思っていたんですよ。それに長男は3月生まれで4月入園には間に合わないので、無認可も選択肢に入れていたんです。そしたら、たまたま新規オープンの無認可保育園があり、調べてみるとすごく良かったのでそこに決めました。フリーランスなので時間単位で預かってくれる点も良かったですね。
――仕事と育児を両立するうえで、不安はなかったのでしょうか。
周りにすぐにサポートしてくれる人がいない、という面では心配に思うこともありましたが、区役所に行って話を聞いたり、保育園もだいぶ早い時期から探したりして準備をしていました。自分にあったサービスを徹底的に探す、というのは不安をなくすうえでも仕事との両立をはかるうえでも大時だと思います。
――現在勤めているデザイン会社では“デザイナー”として新しい分野に挑戦されています。なにか考えがあってのことですか?
和田さん:これからもカメラマンは続けていきたいんですけど、それだといつか体力的な限界が来ると思ったんです。この先も働き続けることを考えたときに、できることを増やしておくべきだと思い、デザインの仕事を始めました(グラフd)。
今の会社を選んだのは、即戦力のデザイナーとして起用してくれる土壌があったからです。未経験の分野だったので、とにかく実践でスキルを身に着けたいと考えていました(グラフe)。
育児と仕事の両立は会社からの理解が肝に
――家事や育児の役割分担について旦那さまと相談することはありますか?
和田さん:特に相談などはしていませんが、私のほうが子どもといる時間が長いので、「こういうときにはこういう風にしたほうが良いよ」というアドバイスはしますね。
役割分担については、基本的に保育園への朝の送りは夫に頼んでいます。それ以外にも、私の仕事が入っているときは料理も洗濯もしてくれていますし、子どもの面倒もよく見てくれるので助かっています。
――妊娠期間中も旦那さまが家事をやってくれていたんですか?
和田さん:そうですね。妊娠8カ月くらいまで仕事をしていたんですけど、つわりがひどいほうだったので、かなり助けてもらっていましたね。
二人じゃどうしようもないピンチのときは秋田から夫のお母さんに来てもらうこともありました。ただ、頻繁に来てもらえる距離ではないので、基本的に夫と協力してなんとかしています。
――転職やお子さんのことなど、「和田家全体」としての意思決定はどのようにされていますか?
和田さん:私が調べたことをベースにして、「どう思う?」って聞く感じですね。夫は忙しくて調べものをするのは難しいと思うので、その辺りは私が調べちゃいます。
基本的に、妻である私の意見に対してすごく理解がある人なので、一応伝えておくという程度ですね。
――出産・子育てにおける会社勤めとフリーランスのメリット・デメリットや、共働きを成功させるコツを教えてください。
和田さん:今の会社は「子どもが熱をだしてしまいどうしても…!」というときはすんなり休ませてもらえるので、 かなり理解があると思います。ただ、やはりフリーランスのほうが自分で調整ができる分、自由度はありますね。とはいえ、自分以外に代わりがいないというデメリットはあるんですけど。
会社勤めをするなら、「時短で早めに帰らせてくれるかどうか」というのは大きなポイントだと思います。あとは、こちらの家庭の事情をしっかりと話して、それを受け入れてくれる会社を選ぶことで後々困ることはないと思います。
U29女子へのアドバイス「『自由な分、家事もやってね』がうまくいくコツ」
――最後にU29女子へのアドバイスをお願いします。
和田さん:お互いを尊重し合うことですね。お互いのやりたいことを禁止しあっていると、不満やギスギスした空気が生まれるじゃないですか。そのときに、相手のことを考えられていれば、「これだけ助けてくれているんだから、これ以上言うのはよそう」っていう考えになっていくと思うんですよね。
あとは、夫にはちゃんとストレスを発散してもらいたいので、「自由に使える時間は自由にしてて」というのはよく言っています。その分、私もしっかり息抜きの時間を作ってもらっています。「自由な時間がある分、家事もやってね」という共通の考え方が、お互いに愚痴もなく、うまくいっている秘訣かもしれませんね。
(佐々木ののか+プレスラボ)