U29(ユニーク) 女子プロジェクト

育休が2年まで延長! 改正育児・介護休業法でキャリア継続が前進

2018年01月30日

現在、女性の育児休業取得率は80%を超え(厚生労働省「平成28年度雇用均等基本調査」)、働くママをバックアップする体制は徐々に整備されてきています。しかし、保育所不足によって育休明けの復職が困難だったり、仕事と子育ての両立に悩んだり、まだまだ課題は山積みです。

こうした状況を受け、2017年10月に「育児・介護休業法」が新たに改正されました。そこで今回は、これから出産・育児を控えた女性のために、育児関連の改正のポイントを社会保険労務士の佐佐木由美子さんに教えていただきました。

 

育休を2年間まで延長し、キャリアの継続をサポート

育児・介護休業法は、育児や介護を行う労働者が、仕事と家庭の両立をはかることを目的に制定されました。育児休業は、原則として1歳に満たない子どもを養育するための休業をいい、雇用保険に入っていれば、その期間中に育児休業給付金が支給されます。

これまで、保育所に入れない場合などの救済措置として、子どもが1歳6か月に達するまで育児休業の延長が認められていました。今回の改正では、さらに6か月分が追加され、2歳に達するまで再延長できるようになりました。

期間延長の背景には、なかなか解消されない待機児童問題があります。保育所に入るタイミングとしては、新年度の4月が一番入りやすいといわれています。たとえば、8月生まれのお子さんであれば、1歳6か月まで延長しても翌年2月までしか延長できませんが、2歳までとなることで4月に入所できる可能性が高まります。

今回の改正で、育児休業給付金も引き続き2歳まで支給されることになりました。また、育児休業期間中の社会保険料は改正前から最長で3歳になるまで免除されることになっています。育児休業及び育児休業給付金の延長と、社会保険料の免除の延長は、保育所等に入れない場合に1歳6か月まで、それでもさらに入れない場合は2歳まで、と2段階になっているので、その都度、申請を行うことになります。育児休業を延長するたびに申請手続きを行う必要があるので、忘れずに会社に届け出て、申請手続きを行ってもらいましょう。
 

企業の努力義務を設けることで、より子育てしやすい社会の実現を促進

今回の改正では、次の2点が企業の努力義務として加えられました。企業が従業員個人に育児休業の取得を促すことで、より制度を活用しやすい雰囲気になったり、男性の育児休業取得の後押しになることが期待されています。

1.子どもが生まれる予定のある従業員に、関連する制度を知らせる
事業主は、労働者やその配偶者が妊娠・出産したことを知ったときに、関連する制度について、個別に周知するための努力をしなければなりません。

また、労働者のプライバシーを守るためには、妊娠したことを会社に伝えやすい環境づくりが必要です。合わせて、育児休業等に関するハラスメントが発生しないよう、相談窓口をつくるなど、ハラスメント防止対策を行う必要もあります。

2.育児を目的とする休暇の導入促進
事業主は、小学生未満の子どもがいる労働者に対して、育児目的で利用できる休暇制度を設けるよう努力しなければなりません。配偶者の出産や子どもの入園式・卒業式などの行事参加にも利用できる、多目的な休暇が考えられますが、日数等の法的な定めはないため、各企業の実情に応じたものが求められています。

あくまでも企業の努力義務なので、すぐに社内制度が変わるとは限りませんが、近い将来、キャリアを継続しながらもっと子育てを楽しめるようになることを期待したいですね。
 

社内制度が改正後の内容に修正されているかもチェック

企業によっては法定以上の社内制度を設けているところもありますが、会社によって異なりますので、まずは勤め先の就業規則に目を通してみましょう。もし、育児休業の再延長が2歳までになっていないなど、法律の改正内容が反映されていない場合であっても、法律で定められた要件に該当していれば、法改正後の内容に沿って育児休業を取ることが可能です。

育児・介護休業法は、これまでに何度も改正されているので、先輩社員に聞いても現行の制度に則った答えは得られないかもしれません。また、育児休業関連の申請は、行政側の管轄も複数にわたるため、まとめて相談できる窓口がありません。手続きが煩雑で会社では対応できないこともまれにありますので、そんなときは各都道府県にある相談窓口や、社労士に個人的に相談してみるといいでしょう。
 

今回、育児休業が2歳まで延長されたことで、保育所に預けて職場復帰できるチャンスが今まで以上に広がったといえます。育児休業給付金についても最大で2歳までもらえるようになりましたが、早期に復帰できるのであれば、それに越したことはありません。

また、企業側の努力義務として、育児休業関連の制度を知らせることや、育児を目的とした休暇の導入などが求められているので、今後はさらに会社に相談しやすく、休暇や育児休業を取得しやすい職場環境が整備されていくでしょう。

 

記事監修:佐佐木由美子
社会保険労務士。グレース・パートナーズ社労士事務所代表。中小・ベンチャー企業を中心に就業規則、人事労務・社会保険面をサポートし、親身なコンサルティングで多くのクライアントから支持を得ている。一方で女性の雇用問題に力を注ぎ、出産後も女性が働き続けられる雇用環境をサポート。

※この記事は2017年12月時点での情報です。