周りに流されるタイプの人も大丈夫!「決断力」を身に付けて未来を切り開く方法
U29女子が抱えるモヤモヤ。原因は決断力のなさ!?
人生は決断の連続です。
これまで周りに流されて生きてきても特に問題はなかったのに、U29世代になり、転職・結婚・出産など、絶対に失敗したくない大事な決断を前に戸惑っている人も多いのではないでしょうか。これからは、自分で決断して道を切り開いていかなければならないのです。
それではその“決断力”は、どうすれば磨くことができるのでしょうか?今回はこれまで数々の決断で人生を切り開いてきた、作家の有川真由美さんと一緒に考えていきます。
就いた仕事の数は50以上。38歳で上京、40代で台湾留学へ
■まずは有川さんご自身の“決断”について聞かせてください。これまで住む場所やお仕事など、大きな決断をしてこられた場面が多そうですよね。
多すぎますね(笑)。まず鹿児島から東京へ出てきたのが38歳。それから台湾へ留学したり、田舎暮らしを始めたりと、大胆な引っ越しを結構してきました。
またこれまで携わってきた仕事は50以上。ブライダルコーディネーター、塾講師、衣料品店の店長、コンパニオン、化粧品会社事務、編集者…。数々の仕事に就きましたね。
■業界も業種も異なるものばかり。新しいものに飛び込むときは勇気が必要だったのでは?
そんな大それた感じではないんです。20代~30代の前半までは、ただただ「自分に何が合っているか分からないから、自分の可能性を試したい」「おもしろい経験をしてみたい」という気持ちでいっぱいでした。
コンパニオンの仕事では立ち方や姿勢、しゃべり方をいろいろ訓練させてもらったし、新聞社では編集や企画のスキル、写真の撮り方、文章の書き方などいろんなことを教えてもらいました。工場の組み立て作業は、潜入取材のような気持ちでやっていましたね(笑)。
30代後半からは、「ものを書きたい」という自分の軸がより明確に。夢に近づくために「少しでも成長できる場所へ」という想いが強くなりました。それで38歳の時、上京を決意したんです。
■38歳での英断。どちらかというと、年齢的には遅めでしょうか。
一般的に考えると遅いかもしれませんね。周囲の目を気にしつつ、なかなか決断できずにくすぶっていたんです。ただ、今思うと、それが私のベストタイミングでした。
38歳で失業した時に「誰かがなんとかしてくれるなんて絶対にない。自分を幸せにできるのは自分しかいないんだ!」って気付いて。だったら自分がやりたいことをやって、思うように生きていくしかないじゃん!と、東京行きを決意したんです。
その決断以降、一歩踏み出してからは求めていたことばかりが起こるようになりました。奇跡のような出会いがたくさんあり、やがて本を書くチャンスにも。いろんなことが回り始めたんです。
決断力を身に付ければ、人生をコントロールできるようになる!
■決断力がないことのデメリットは何だと思われますか?
自分が動かないと、何も入ってこないしチャンスも回ってこない。何かに振り回されたり、流されたりすることも出てくるのではないでしょうか。その分、ストレスも生まれるはず。
また、いつまでも決断できない自分に、「こんなことではこの先どうなるんだろう」と不安を抱えることに。
U29女子の皆さんだと、例えば40歳、50歳になった頃に、「あの時ああすればよかった。決断力がないばかりに……」という後悔が付きまとってしまう可能性もありますね。
■なるほど、決断力ってとても大切なんですね。
決断力があることで、チャンスやベストなタイミングを逃さずにつかむことができますよね。また「自分は決断力がある」と思えることで、気持ちに余裕が生まれ、焦ることがなくなるはずです。自己肯定感も生まれます。
何より、人生を自分でコントロールできるようになる! これが一番大きいのではないでしょうか。決断力さえあれば、自分でかき分けたりつかんだり、進んだりすることができるのです。
「成功体験」って決断をすることで初めて生まれると思うんです。自分で決断したことを実行して、納得のいく結果になると嬉しい。そういう気持ちって、無意識のうちに自分の中に積み重なっていくものですよね。
逆に決断から逃げてばかりいると「これまであまり自分で決めてこなかったな」という思いが自分の中に残っていってしまう。そうすると大きな決断を迫られた時に、自分を信用できなくなってしまうのではないでしょうか。
結果がどうであれ、自分で決め責任を取ってきた、という経験は自信に繋がります。人のせいにしたりせず、「自分で決めたことだから」と自分に決着をつけるということを心がけるといいかもしれません。
これを逆に言うと、自分で責任を取れるなら、何を決断しても良いということ。そう思うとグッと自由度が高くなって、選択肢が広がるような気がしませんか?
決断を阻む要因とは?
■決断の妨げになる要因として考えられるものはありますか?
決断とは、何かを捨てることでもあると思うんですが、捨てることがなかなかできずに決断できない、ということもあるのではないでしょうか。
私の場合、鹿児島がすごく好きで、大好きな人たちがいる場所で生きていきたかったので、「地元を離れたくない」と固執している部分がありました。
人って「こうでなきゃいけない」みたいな無意識の呪縛をついつい持ちがち。そういうものにとらわれると、決断できなくなることがあります。
やはり、「自分を幸せにできるのは自分」ということを突き詰めることがポイント。自分が幸せになりたいと本気で思うなら、真剣に考えることができるし、決めることもできるはずです。
■周囲の目が気になって、決断できなくなっている人もいるかもしれません。その場合はどうしたらよいのでしょうか?
“外”ではなく“内”に答えを求めるべきだと思います。私も一時期、悩むと「みんなはどうしてるの?」「どういう人が上手くいっているの?」と“外”に答えを見つけようとしていました。
でも本来は、「私は本当のところどうしたいのか? 何をしたいのか?」と、自分の“内”に向かって問いかけるべき。
判断材料として“外”に情報を求めることは必要ですが、最終的に決める際には自分に問いかけないとならないんじゃないでしょうか。考えすぎてしまっている時というのは、おそらく気持ちが“外”へと向かってしまっているのだと思います。
また“外”から仕入れた情報も、量が多すぎたり精査されていなかったりすると、決断の妨げになります。頭の中が整理されておらず混乱を起こしているとき、決断はできませんから。
■考えていることを上手く整理する方法はありますか?
私は、「自分が何をしたいのか」「どうなりたいのか」「それにはどんな方法があるのか」を順序立てて考えるようにしています。「目的」「ビジョン」「方法」の3つです。
まずは脳を混乱から解いてあげることが大事。そして整理する。決断には不安がつきものですが、この3つを押さえておけば大丈夫なはずです。
■決断を先延ばしにして、だらだら悩んでしまうというパターンもありますよね。
小休止を入れながら考えることも大事ですが、いくつも懸案事項が重なってくると、それらがゴチャゴチャに混ざり合ってしまい、かえって悩みが大きくなることも。
この場合はまず、すぐ決断できることからどんどん決めていくこと。頭の中にあることを書き出していくのもいいですし、期限を決めてそれまでに解決するというのもおすすめです。とにかくできることはさっさと片付けてしまって、頭の中をなるべくスッキリさせておくことが大事です。
また問題を先送りせず、早めに検討することも重要。問題に突き当たってから考えるのではなく、未然に予測してリスクヘッジできるといいですね。
決断力を得るためのポイントは?
■決断力を高めることの重要性が、とてもよく分かってきました。そういう力を身に付けるためには、どんなことが必要なのでしょうか。
まずは自分に正直にならないと、幸せにはなれない気がします。先ほどもお話ししましたが、素直にどうしたいのか、どうなりたいのかを自分に問いかけ続けていくことが、決断力を上げるための“軸”を作るのだと思います。
そうすれば、もし残念な結果だったとしても、「自分で決めたことだから仕方ない。決めたのは自分だから、何のせいにもできない」と自分に決着がつけられる。
この決着があれば、また先へ進めるのだと思います。自分の内面は刻々と変化していくので、アップデートすることも忘れずに……。
また、これまでの経験値は、決断する際の自信に繋がります。小さなことも全て自分で決めるよう心がけて、一つひとつの決断の結果を判断材料として積み上げていくことが、ベストな決断を生み出すのではないでしょうか。
子どものころ、夏休みに「自由研究で好きなことをしてください」と言われた時の感覚で、やりたいことに素直になればいいんじゃないかと思います。人生は夏休みのようなもの。考えているよりずっと自由なんですよ。
些細なことから人生の一大事まで、決断できる力を養うことは、幸せになるための第一歩。決断によって手放さねばならないものもあるかもしれませんが、モヤモヤして立ち止まっているより、自分で決断して動くことで、未来は大きく開けていくはずです。
有川真由美
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。 化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。韓国、中国、台湾でも翻訳される。旅をするように国内外で転々と暮らし、旅エッセイも手掛ける。2014・2015年内閣官房 すべての女性が輝く社会づくり推進室「 暮らしの質」 向上検討会委員。日本ペンクラブ会員。