突撃!ワークライフバランスの現場訪問!この会社の育児休暇制度がスゴイ

2016年01月21日

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勤め出したらその会社で長く働きたいもの。そのためには結婚後、出産後も長く働ける制度が整った会社がいいですよね。女性が退職する理由のひとつである“出産”と“育児”に対して真摯に取り組んでいるのが、株式会社ベルパーク。どんな育児休暇を設けているのか、従業員の育児に対してどのように考えているのか、管理本部 総務人事部 採用グループ 遠藤木実さんにお話を伺ってきました。

ベルパークについて

株式会社ベルパーク(以下、ベルパーク)は、キャリアショップの運営事業を行う企業です。街にあるドコモ、au、ソフトバンク、Y!mobileのショップと聞けばわかりやすいでしょうか。そのショップでモバイル端末の販売、コンサルティング、各種手続き全般を行っています。本社を含めた従業員総数での男女比は半々、ショップでは女性のほうが多め。その中には妊娠中の女性スタッフももちろんいます。妊婦用の制服もあるのだそう。

以前は取得率・復職率が思うように上がらなかった育児休暇制度

ベルパークにももちろん、以前から出産休暇や育児休暇はありました。しかし出産を機に退職してしまうスタッフが多く、職場復帰する例はあまりなかったそうです。携帯電話機種の機能や複雑な料金システムを把握しているスタッフが辞めてしまうのは、会社にとっても痛手。そこで、本社で月に一度行われる人事戦略ミーティングに現場のスタッフを呼んで話を聞いたところ、「人数がギリギリで産休を取れる雰囲気じゃない」「職場復帰しても時短勤務では、ほかの人に迷惑をかけてしまうのではないか…」という意見が。こういった声を受け、すぐに行動に移ったそうです。

徹底した意識の共有が、現場の理解へとつながる

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まずは現場の理解を深める。妊娠中のスタッフと、勤務しているショップの店長、そして出産・職場復帰を経験した社員。この3名で三者面談を行うことにしました。

「それまでは、妊娠中のスタッフにどう対応するかを店長の裁量に任せていたところがありました。だけど、しっかりと三者面談を行うことで『時短で勤務するなどの特殊な働き方のスタッフもいて当たり前』 『彼女らが戻ったらどう活躍してくれるか』といった情報を確実に店長に伝えられたんです。ショップのスタッフたちも同じ意識を持てるようになり、会社全体で『産休を取るのは申し訳ないな…』という雰囲気から『産休を取りやすくなっていいね』という雰囲気に変わりましたね」(遠藤さん)

そして、「人数がギリギリで育児休暇や時短勤務を希望しづらい」問題の解決にも着手します。2013年に思いきって200人を新たに採用し、1店舗あたり約1名を増員。育児休暇を取りやすい、職場復帰した際にも時短勤務で構わない、という雰囲気をつくりました。また、システム導入による閉店後の事務作業の効率化も同時に進めたことにより、スマホ普及により増加傾向にあった残業時間を抑制することができました。(平均残業時間:2012年 31.7時間⇒2013年 26.3時間)

「どの会社も、経験のある従業員にまた戻ってきてほしいという気持ちはあると思います。当社は将来に備え、大量採用をしました」(遠藤さん)

そうして2013年から出産休暇・育児休暇の取得促進をスタートしたベルパーク。2012年は84.6%だった育児休暇取得率が、2013年には100%、2014年には95.8%と、現在はほとんどの人が育児休暇を取得しています。また、出産・育児休暇が終わり、従業員たちが多く復帰してくる2016年に向け、様々な準備をしてきました。

保育手当や連休取得推進など、安心して復職できるサポートが充実

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育児中のスタッフに対するそのほかの取り組みに、「保育手当」があります。導入のきっかけは育児から職場復帰しにくい理由のひとつに、「子どもを保育園に入れられない」という悩みがあったこと。
保育園には、国の補助もあり保育料は比較的安いけれど空きの少ない、「認可保育園」(児童福祉法に基づいて都道府県などに認可された保育園)と、空きはあるけれど保育料が比較的高い傾向にある「認可外保育園」があり、保育園に子どもを預けることは簡単なことではありません。

「認可保育園に子どもを預けられなくても復職できるよう、認可外保育園に子どもを預けるスタッフに対して差額分を会社が出しましょうということになり、保育園を利用している従業員それぞれにヒアリングを実施。そこから割り出した、平均的な差額分である月3万円まで保育手当を支給できる制度を導入しました」(遠藤さん)

例えばベルパークのある千代田区の場合、収入によって変動はありますが平均的な認可保育園の保育料は2万円程度です。しかし認可外保育園の一つである認証保育園の場合、保育料の上限が8万円と定められている以外は施設により料金設定はさまざま。認可保育園とは保育料の面で大きな差があります。その部分を補える「保育手当」は従業員から「経済的な負担が軽減できて嬉しい」と好評。この制度も今後利用者が増えそうです。

さらに全従業員にとって魅力的な制度があります。それは最大で6連休の休暇が取れるということ。販売業において長期休暇は縁遠いものであり、それが原因で退職する人も少なくありませんでした。そこで全従業員を対象に、長期連休希望者に対して最大6連休の取得促進を実施。おかげでヨーロッパ旅行にも行けると好評だそうです。また、有給休暇の取得を推進すべく、「マイホリデー」の仕組みも導入しました。記念日などに気持ち良く休みが取れるとこちらもと好評です。さらに月に数回、「ノー残業デー」も設定できます(回数は店舗や部署によって異なります)。

「勤務後、友人との飲み会に行きやすくなりました(笑)」と遠藤さん。スタッフや店舗によって不公平が出ないよう、連休やマイホリデー・ノー残業デーの取得状況は本社でチェック。そのおかげもあり、共に取得率は9割を超えています。

女性のキャリアアップを応援する「女性育成プロジェクト」

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女性も多く働くベルパークですが、管理職となると男性がほとんど。女性の管理職は10%未満というのが現状です。「40歳以上になったときの働き方が見えない」「目標が持てない」という女性たちのモチベーションを高め、女性の管理職を育成する目的で「女性育成プロジェクト」が発足しました。管理職や店長クラスの女性が講師となり、管理職や店長を目指し、キャリアアップを図りたい女性従業員が受講する勉強会。月に一度集まり、半年をかけて女性たちのキャリアアップを応援していく企画です。

「この勉強会は、1日だけの研修ではなく、長期にわたります。第1回目はモチベーションをテーマに4〜5名の女性店長から、運営・教育方針などの講義を受け、第2回目までに自分で課題を設定。2回目のときに自分がその課題に対してどのように取り組んだかを振り返る。それを半年間こなしていくことで、自然とステップアップできるプログラムになっているんです。

私はこのプロジェクトの第3期生で、女性店長の元で一度働いたことがありましたが、ほかの女性店長には会ったことがありませんでした。ほかの女性店長の方針を聞くことで、『自分が店長になったら取り入れたいな』と、将来図が想像しやすくなるんです。また、ほかの女性従業員たちと交流して、それぞれの悩みや店舗の問題を相談し合ったのも力になりました。とてもいいプロジェクトだと思いますね」(遠藤さん)

また、キャリアアップしたい人だけではなく、店長といった役職には興味はないけど長く働いていきたいと考えている人など、社内には様々なタイプの人がいます。ベルパークでは現在、その人のライフスタイルや能力に応じた人事制度の導入も始めています。教育専門のトレーナー、知識が豊富であることを活かすエキスパートクルー、そしてスタッフたちと面談をして問題解決に導くラウンドクルーなどを配置。店長や本社勤務だけではない働き方があるだけで、働くモチベーションにつながります。

まとめ

世間では、育児休暇制度はあるけれど、「人員不足で取得が難しい」「復職しても仕事と育児を両立していけるか不安」と、出産をきっかけに退職を決意したという意見もまだまだ多いのが実情。しかし制度を整えるだけではなく、面談や大量採用による人員の確保といった、安心して育児休暇が取得できる環境づくりへの取り組みや、「保育手当」などの復職後の育児サポートにも力を入れてくれるベルパークのような会社であれば、U29女子も仕事と家庭の両立を目指せるのではないでしょうか。