中尾さんが芸能界に飛び込んだのは「クイズ番組に出たい」と思ったのがきっかけだったそうですね。
中尾さん「そうなんですよ。小学生のころ、クイズ番組を見ていて出演している芸能人の方々がすごく楽しそうで、俺もココに入ってみたい!と」
最初は役者志望ではなかった…。
中尾さん「役者とか歌手とか、よくわからないけど、とりあえずテレビに出てみたい、という気持ちだけでレッスンに通い始めて。そこがまず自分の中での第一の扉。その扉を開けてみたら、演技レッスンがすごく楽しくて興味を持った、そして次の扉を開けるとオーディションを受けて落ちた、すごく悔しい、もっと演技が上手くなりたい、そしてまた新しい扉を開けていく…なんてことを続けていたら、自分にとって芝居をすることが一番楽しいし、面白いことだと思うようになったんです」
自分にとって、一番面白いと思ったから仕事にしたわけですね。
中尾さん「もちろん!よく一番好きなことを仕事にするのは良くない、なんてことを言う人もいますけど、まったく理解できない。仕事にしたほうが、ずっと好きなことをしていられるじゃないですか。それに、一番好きなことをやっていないとどんな仕事でも成長できないし、上にあがれない。二番目に好きなことを仕事にしている人が、それを一番に思っているヤツに勝てるワケないですから」
好きなものが見つからず模索している人も多いですよね。どうすれば「好き」を見つけられると思いますか?
中尾さん「僕の友達も模索状態で“やりたいことがない”って言っているヤツが多い。そういうとき、いつも言うんですよ。“今、何をしているときが一番楽しい?”って。クラブに行って酒を飲んでいるのが楽しいなら、クラブで働いてみればいいし、ラーメンが好きならラーメン屋の面接を受ければいい。今、一番好きなことは何かを考えて、その入口の扉をちょっと覗くことだと思うんです。そこで違うと思ったら扉は閉じればいいし、少しでも興味を持てたら、次の扉を開けていけばいい。自分がそうして今の仕事に辿り着いたから、模索中なら一番好きな扉をまず覗いてほしいんです。“どうしよう、好きなものが何もないんだよね”って言う人もいますけど、ないワケは絶対にない!本当に何もなかったら、つまんなくて死んでるでしょ、人間は」
「時をかける少女」で1970年代を生きる男性を演じていますが、中尾さんにとってはまったく知らない時代ですよね。自分が知らない対象を演じることは難しくなかったですか。
中尾さん「結局、どんな役でも自分が知らない人間を演じることに変わりはないですからね。70年代も知らないし、ドラマの『ROOKIES』に出演したときも高校野球なんてしたこともなかったし。『時をかける少女』では資料を読み込んで、監督と話し合いながら演じましたけど、あとは想像力。役者として想像力は一番大事なところだと思いますから」
知らないものや、新しいものに挑むときは、ワクワクと不安だったらどっちが強い?
中尾さん「ずっとワクワクだったんですけど、最近不安が強いです。その不安はいろいろなことを考えすぎて混乱してしまう感じ。でも、ただのワクワクから一歩成長できたのかもとも思います。不安がなければ、人は伸びようとしないですからね。混乱のまま現場へ行って、そこで答えが見つかることが最近は多いかな」
今回、演じた涼太は、未来から来た少女を不器用な優しさで包むタイプですが、中尾さんの恋愛と共通する部分ってありますか?
中尾さん「共感はするけど、自分ではできないなぁ(笑)。僕はわりと何でも言うタイプなので好きだったら好きと言うし、カワイイと思ったら言葉にしてきちんと伝える。かけひきとか、さりげない優しさができないんですよね。でも、女の子の部屋に遊びに行くと、照れくさくて隅っこの方でずーっと体育座りしてたりもするから、この辺は涼太っぽい。さりげない優しさができればモテるって、頭ではわかってはいるんですけどね(笑)」