塚地さんは、もともと会社員からお笑いの世界へ飛び込んだ“超異業種転職者”ですが、きっかけは何だったんですか?
塚地さん「ちゃんと働けばそこそこ暮らしていける会社だったんですけど、気が付いたら仕事中に手帳へネタを書いてたりしてて。別に、当時やっている仕事が嫌ではなかったんですけど“このまま死んだらどうするんやろ”って思ったんです。もし、不治の病にかかって死ぬ前に何を言うかと考えたとき“良かった、オレの人生”じゃなくて“オレ、お笑いやりたかってん”と言うなって。お笑いはホンマにやりたかったことなんですけど、大学まで出してもらって就職もせんかったらシャレにならんと、世間体を考えて会社員になったから、親にも友達にもずっと隠していたんです。仕事って“この仕事メッチャ好きや”と思って働くか、“あんまハマってない仕事やけど、食うために続ける。そのかわり休みの日は
自分の趣味に没頭する”か、にわかれるんじゃないでしょうか?当時はその両方ともできてなかったんです。きっと、どっちかになれていたら会社員は続けてたんやないかな」
周りの反応はどうでしたか?
塚地さん「もう、ドン引きですよ。会社の上司や友達や親戚とか“アホちゃうか”って。会社辞めるときも相当のパワー使いましたし。ドラマで見る辞表をドカンと出して、それで終わりなんてのをイメージしてたもんですから、辞表出して上司から“残り1カ月頑張って”なんて言われて“あと1カ月も働かなあかんのか”って呆然。辞表出したヤツがカタログとか見て商品覚えてるんですよ。今後、確実に何の役にも立たんのに(笑)。家に帰れば帰ったで、夕飯がみんなステーキなのに僕だけチキンラーメンやったり」
そんな逆境を乗り越えて、お笑いの世界へ飛び込んだわけですが、最初は泣かず飛ばずだったんですよね。
塚地さん「会社員を辞めて、お笑いやってるっていう気合や自信みたいなのがあったから、すごく斜に構えていた。でも、そんなイジりにくい芸人、誰もからんでくれんわけですよ。でも、僕がどんどん太ってきたら、“太ってんなぁ”みたいな感じでイジられるようになってきた。この辺りから、斜に構えてカッコいいオレではなく、カッコつけずにやったほうが目立てるし、オイシイなと思い始めたんですよ。それで、笑いの方向性を少しずつ変えていったんです。自分が思っていたことを転換するのって難しいけど、それに気付けると新しい可能性が見えてくるんですよね。それに気付いたからこそ、こうやって『ハンサム★スーツ』で主演のお話もいただけましたし」
映画の中でモテない男、琢郎を演じていますが共感する部分はあったんですか?
塚地さん「料理が上手とか、友達が多いとかまったく違うところもありますけど、モテへんとか女性に対してのひがみや、イケメンへのジェラシーなんかは共感しましたね。て、ゆーか、これオレですもん(笑)。だから、役を飛び越えているところもたくさんあって、琢郎が片思いしている北川景子ちゃん演じる寛子に“告白してくれて嬉しかった”と言われるシーンで、“なぐさめなんかいらん”と僕が怒りのセリフを言うんです。でも、あのセリフは『琢郎が寛子』に、ではなく完全に『塚地が北川に』キレてまし
たね。そんなん言うからブサイクは辛いめにあうねん!みたいな。カットがかかった後も“あーゆーこと言うヤツおんねんから、ブサイクは困るんですわ”って監督に怒りをぶちまけてましたね」
もしも、ハンサムスーツを1日だけ着てハンサムになれるとしたら、塚地さんだったら何をしますか?
塚地さん「うわ〜、難しい質問しますねぇ〜。もう、やらしいことしか浮かんできませんわ(笑)。そうやなぁ〜、まる1日オフの日に極上の女性を朝から晩までナンパする。ハンサムをフルに活かして、なんとかその日中にモノにする!って、やっぱりやらしいことしか思い付きません