新業態の立ち上げにも参加!東急百貨店で働く2児のワーママ「家庭と仕事を両立することで、良い影響があった」
仕事と家庭を両立!働くママの最新事例
東急百貨店 清水有為子さん
2児を育てながら、東急百貨店の正社員として育児勤務をこなしている清水有為子さん。仕事と家庭をどのようにとらえ、どんな日常を過ごしているのか、じっくり取材しました。
清水有為子さんのプロフィール
2003年に東急百貨店に新卒入社。服飾小物、婦人靴、婦人服などの売場で販売業務を経験し、人事に異動。二度の産休・育休を取得後婦人靴売場に復帰し、その後、自ら希望して新業態であるファッションのセレクトストア「HINKA RINKA 銀座」の立ち上げに携わり、現在も同店に勤務。8歳と3歳の2児の母。
「長く働ける職場」と予想したとおり、制度が充実した職場
■入社されてからこれまでの職務経歴を教えていただけますか?
最初は吉祥寺店の服飾小物売場に配属されました。4年間販売業務を経験したあと、数か月間、人事に在籍。その後1人目の出産があり、1年3か月の産休・育休を取得。育休明けは売場に復帰したものの、しばらくして2人目の出産もあり、二度目の産休・育休を取得しました。
そして2016年の1月に、希望を出してセレクトストアの「HINKA RINKA 銀座」(同年3月末にオープン)準備室に異動しました。
現在は「HINKA RINKA 銀座」の売場で販売業務を中心に、後輩の指導やテナントの方たちのサポート・運営といった、サブマネジャーとしての業務を行っています。売場を回す業務全般という感じですね。
■就職されたときに思い描いていたキャリアプランはどんなものでしたか?
漠然とですが、「一生働き続けたいな」と思っていました。その途中には結婚や出産を、という気持ちだったので、女性社員が多く環境も整っていて、産後も働きやすいというイメージのあった百貨店を選びました。
実際に入ってみて、子育てしながら働いている先輩ママが多く、環境も整っているなと感じました。
例えば育児勤務が明けた1か月半後までは早番のみで固定するシステムや、子どもが小学3年生までは時短勤務が可能など、制度の面でも恵まれています。結婚・出産を経ても、辞めるという選択肢はないという人が多いですね。
■ワーママの皆さんとコミュニケーションを取れる場は?
ワーママだけで集まるランチ会が、人事主催であります。売場や職場環境が異なる人たちが一堂に会して話せる貴重な場で、私も参加したことがあります。
同じ悩みを抱えている人と共感し合ったり、どんな風に子育てと仕事を両立しているかと話し合ったり。人事の担当者もその場にいるので、制度に関する要望や提言もできるんです。
職場と家族。安心のバックアップ体制
■1日のタイムスケジュールを教えていただけますか?
7時前に起床。朝は主人が下の子を保育園に連れて行ってくれます。お店が11時オープンなので、10時過ぎに出社。17時半に退社して、買い物を済ませてから19時までに保育園へお迎えに行きます。
上の子は学童の後はだいたい習い事なので、ファミリーサポートセンターに送迎してもらっています。19時くらいに帰宅したら夕飯の準備。少し遅いんですが、20時頃家族みんなで夕食です。朝から仕事でもずっと立ちっぱなしですが、ここでようやく座れます(笑)。
ごはんの後は片付けや洗濯などの家事を済ませ、連絡帳など子どもの書類を記入したら入浴。その間子どもの寝かしつけは主人がしてくれるので、時間が余れば一人の時間を持てることもあります。そんなときは音楽を聴きながら、お茶やお酒を飲んだりして過ごしますね。
■仕事と家庭の両立、一番困ったことは何ですか?
実は吉祥寺店から「HINKA RINKA 銀座」に異動して、通勤時間が倍になったんです。
事前にタイムスケジュールやオペレーション的にうまくいくかを机上で考え、これなら大丈夫そうだと思ったのですが、実際は子どもの習い事の送迎ができなくなってしまいました。
今はファミリーサポートセンターに二人体制でお願いしているので、どちらかが都合がつかなくてももう一人の方が穴埋めしてくれるというかたちで万全。でも最初はファミサポさんがつかまらなかったり、行こうと思っていた時間に間に合わず、子どもを待たせてしまったりで、苦戦しました。
勤務地や仕事内容、勤務時間が変わっても、家族への影響は最小限にとどめたいと思っているのですが、なかなかうまくいかないこともあります。
ただ、何かつまずいても会社や行政の制度に救われたり、ママ友や家族に助けてもらったりすることが本当に多く、なんとか回るものなんだなー!と実感しています。できないと思っていたことも、結局はやらざるを得ないのでどうにかなったりするんですよね。
■ご家族のバックアップは?
主人が今でいうイクメンで、家事もできる人。50/50ぐらいで助けてくれています。私がいなくても家庭は大丈夫と思えるほど(笑)。
あまりにいろいろやってくれて逆に申し訳ないので、こちらも「私がやるよ」という気持ちになります。そこは甘えすぎないように……。
子どもにも「ママができるときはもちろんやるけど、できないときは自分でやるようにしようね」と伝えています。家族の中で、できる人ができることをやる、という空気になっていますね。そうでないと回りません(笑)。
産後変わったいろいろなこと。気づいたのは「どうにかなる」ということ
■小さいお子さんを抱えながらのお仕事は大変だと思いますが、両立する中で良かったなと思うことや、子どもができたことで変わったと思うことはありますか?
仕事と家庭、両方あることで気持ちの切り替えがすごくうまくできるなと感じています。
仕事でのイヤなことは家に帰ったらスパッと忘れようとしますし、逆に家で何かあっても仕事場に来れば紛れます。そういう切り替えが、出産前よりずっと楽にできるようになりました。両方の場があるというのはありがたいですね。
あと良かったなと思うのは、時間管理に関して。時短勤務なので、いかに効率的に仕事を終わらせるかということをとても考えるようになりました。
人との接し方も変わりましたね。後輩などに対して、感情的に怒ったりしなくなりました。子どもと接するとき、「叱る」のはいいけれど感情的に「怒る」のはやめようと思っているので、そういう子育ての部分が職場でも活かされている気がします。
また、自分がいることで周りに少なからず負荷をかけていると思っているので、感謝の気持ちが芽生えるようになりました。自分が働けているのはいろんな人のおかげだなと、自然とそう思えるようになったのが一番大きなことです。
同時に、前よりいろんなことを人にお願いするようにもなりました。誰かに頼るということは、相手に「自分のことも頼ってね」と示しているということなんだと気づいたんです。仕事でもプライベートでも、なるべく自分ひとりで抱え込まず、頼り頼られていたいなと思いますね。
■「HINKA RINKA 銀座」へは希望を出しての異動だったということですが、経緯を教えていただけますか?
私の場合、自分としてはもっとこれぐらい働きたいという意志があるのに、育児勤務者だということで、好意で仕事をセーブされることがあったんです。
そんなときに、「HINKA RINKA 銀座」のオープンとスタッフの社内公募の話が出てきて。
すごく興味があったので、育児勤務者でも応募可能かどうか人事に問い合わせたら、「本当に自分からやりたいという人に来てほしいので、そういう制限は設けていない」という返答でした。
ちょうどその頃、人事主催の一般職女性向けの講習会に出席して、自分のキャリアアップを考えたり、「パラダイムシフト(当然と思われていた認識や思想、価値観が劇的に変化すること)」の話を聞いたりする機会があったんです。
そこで、「育児勤務者としての限界を勝手に作っていたのは、自分自身なんだ」と気づきました。この壁は自分自身で破らないとならないな、と。そのタイミングで公募があったので、トライしてみようと決意したんです。
もちろん主人とも相談をしました。それまでよりも仕事が忙しくなることが見込まれたからです。そしたら「やりたいならやってみれば。ダメだったらそのときに考えればいいじゃない」と言ってくれたんです。「すみません、やれると思ったけどうまく回りませんでした、って謝って次へ進めばいいじゃない」と。
そこから育児勤務者としての不安点などを全て人事に確認して、問題を一つずつクリアしていきました。さらにお迎えの時間などもシミュレーションして、大丈夫だと思えたので応募したんです。
■「子どもができたら、今まで以上の仕事量はこなせないのでは」と思う女性がとても多いように感じますが、そんな不安を抱くU29女子にエールをお願いします。
自分がやりたいことを子どものせいにしてやらずに終えてしまうと、絶対に後悔すると思います。諦めず、まずはやってみてほしいですね。あとはさっきも言いましたが、なんとかなる。絶対になんとかなります(笑)。
「とにかくサブマネジャーとしての役割をよくがんばってくれています」と清水さんを評価する、上司の葛西マネジャー。葛西マネジャーから見た“ワーママ”清水さんについてもうかがいました。
「まず清水さんは気配りがすごいんです。社員にもテナントさんにも、お母さんならではの目線で細かいことにも気づき、声をかけてくれています。
そんな人柄に加えて、「もう早く帰って」と思わず言ってしまうほど仕事をがんばるので、周りのスタッフもとても協力的。だからこそ、職場がしっかり彼女をサポートできる体制になっているんだと思います。
お子さんの具合が悪くなることが、ほとんどないのもすごいです(笑)。彼女本人はもちろん、きっとお子さんがとてもがんばってくれているし、旦那さんの協力も素晴らしい!
正直、オープンしたての頃は、育児勤務の彼女がいてうまく回るのだろうかという不安もありました。ほかのスタッフがフォローしなければならないことが増えるのでは、と。
でも実際は全然そんなことはなく、サブマネジャーとしての役割もしっかりこなしてくれています。これからは後輩たちがワーママとして働くときの、いいモデルケースになってくれると期待しています」