子どもの成長にあわせて職や雇用形態をチェンジ。売場も家庭も楽しむ2児のママは、三越伊勢丹のスタイリスト!

2017年06月01日

仕事と家庭を両立!働くママの最新事例
三越伊勢丹 伊勢丹新宿本店 髙橋明代さん

ヘアメイク、ヨガインストラクターという職を経て、現在は伊勢丹新宿本店のシニアスタイリスト(教育、アテンドを含む販売員)として働く髙橋さん。2児の母として、出産を経たうえでどう転職を考えていったのか、どのようにして仕事と家庭の両立をこなしているのか、お聞きしました。

髙橋明代さんのプロフィール
元・美容師兼ヘアメイク。24歳で第一子を出産後退職、専業主婦に。ヨガインストラクターの仕事を掛け持ちながら、第二子の出産を機に、派遣社員として伊勢丹新宿本店でヘアメイク業務に就く。2008年には三越伊勢丹に入社。現在は伊勢丹新宿本店・ベビー子供フロアで、スタイリストの教育担当及び、アテンドを中心にシニアスタイリストとして勤務。2015年には、社内の優秀スタイリストを認定する“エバーグリーン”に表彰された。

 

出産・子どもの成長を機に、転職&雇用形態を変更

これまでいろいろなお仕事をしてこられてますが、その経緯について教えてください。

最初は美容師兼ヘアメイクの仕事をしていたんですが、「産後2年間は子どもと一緒に過ごしたい」という想いがあり、24歳で長女を出産した際に退職しました。その2年間、専業主婦ではありましたが、たまにリクエストがあると、単発でヘアメイクの仕事をすることもありました。

その後、ヘアメイクとして復帰。それと同時に趣味でヨガを始めたんですが、ハマってしまって。レッスンを2、3回受けただけで「もっと深く勉強したい!」と学校を探し、半年間学びました。

以降はヘアメイクの仕事を続けつつ、掛け持ちで週に2回ヨガのインストラクターをやっていました。

やがて次女が生まれ、保育園を検討することに。常勤でないと入園できなかったので、それなら、と正式にどこかに勤めることを考えました。

ちょうどその頃伊勢丹新宿本店から、お子様向けのヘアメイクの仕事をしてもらえないかとオファーをいただいて。まずは派遣社員として登録しました。

そのうち、伊勢丹のマネージャーからの話を受けて、フェロー社員(契約社員)になりました。17時に退社できて、希望の勤務地で希望の職種に就くことができるフェロー社員の制度は、まだ子どもが小さかった私にはぴったりだったんです。

そうして、子ども用ヘアメイクという仕事に加えて、予約が入っていない時は子ども服を販売するスタイリストとしての仕事もすることに。もともと自分でも作っていたくらい、子ども服には興味があったので、まさに希望が叶ったかたちでしたね。

やがて子どもたちの成長にあわせ、フルタイムで働こう、と試験を受けてメイト社員(領域・地域限定社員)へとキャリアアップ。

メイト社員として8年働いたのちに、正社員になって現在2年目です。子ども服お買場(売場)のスタイリストの仕事を始めてから、気づけば10年近く経ちました。

 

20代の頃、ご自身のキャリアプランや人生設計などについては、どう考えていらっしゃいましたか?

正直、ノープランでした(笑)。
子どもの成長度合いなど、その時々の条件の中で自分がやりたいことをやろう!とは思っていましたが。

気づけば、子どもを育てている間にも職業が変わっていますが、仕事と家庭、ときっちり分ける意識があまりなく、仕事も育児も、どちらも楽しそうだからやりたいと選んだもの。もちろん、続けていくうえでも、もっと楽しみながらやっていきたいという気持ちで取り組んでいるんです。

だから疲れを感じることはあっても、ストレスを感じることはあまりなくて。仕事を選ぶときに、「やってみたい」と思えて、何より「楽しめる」ものであることを一番に考えていたからかもしれません。じっとしていられないという性分ありきかもしれませんが(笑)。

「職場には、お客様と接しなきゃ!とプレッシャーを感じている若い子もいるんですが、お客様と楽しくお話すればいいんだよと言っています。楽しめることが一番! 楽しくないと続かないですもんね。」

家事をこなす秘訣は、「気負いしないこと」

1日のタイムスケジュールを教えていただけますか?

平日休日関係なく、毎朝6時に起きてお弁当を作ります。子ども2人と自分用、ときどき主人も持っていくので、お弁当はいつも3、4個用意。大変だね、と言われますが、子どもが小学生の頃は昼だけでなく夜の分と2食、休日は3食分用意していたので、今はとても楽になりました。

お弁当を作り終えたら、出かける支度。
仕事が早番のときは10時までに入店し、遅番の時はヨガに行ってから出勤します(週2、3回)。現在は接客業務がメインなので、昼間はずっとお買場で販売しています。

早番だと20時過ぎ、遅番なら21時過ぎくらいに帰宅。「ごはんはお家で食べる」という家族の中での決め事があるので、帰ったらすぐに夕食の準備です。最近は大学生の長女が作ってくれていることも時々あって、助かっています。

 

帰宅後に食事を作るのは大変ですよね。まとめて作り置きするなど、家事の効率化で工夫されていることはありますか?

作り置きはしていないです。お弁当も夕飯も特別な準備はせず、その場でチャチャッと。物心ついた頃から子どもたちは添加物が苦手だったので、そこはこだわって、作り続けていますね。

ただ、食材は全て宅配にしています。スーパーで買い物する時間が省けて便利です。

毎日のルーティーンにしてしまえば、あまり苦ではなくなってくるんですよね。逆にちょっとでもお休みすると途端にできなくなってしまうんです。夏休みなどで子どもを実家に預けたときなんか、怠惰なダメダメ人間になりましたから(笑)。

家事をシステマチックに整備している、というようなことはありません。ただ、何ごとも変に肩ひじ張らず、当たり前のこととしてパパッとやってしまうようにしています。

体を動かすことが大好きで、ヨガのほか、年1回フルマラソンの大会にも出場するそう

臨機応変に、その場での最善を尽くせば大丈夫

子育てが今の仕事に活きた部分はありましたか?

今のお買場は、お客様の大半がお子様を持つお母様。洋服の話ばかりではなく、子育ての悩みを話されることもたくさんあります。

なので、私自身が学校の行事や受験のこと、子どもの成長などについて、ある程度理解できていることは大きいですね。用途に合わせたご提案もできますから。

ベビー期から学校を卒業される年齢までの長いお付き合いになるので、お客様に寄り添った会話ができるという点で、子育ての経験が活きていると感じることは多いです。

髙橋さんは、商品知識や販売技術、ホスピタリティなど、特定の条件を満たした優秀なスタイリストに認定される“エバーグリーン”にも選ばれた

上のお子さんが2歳の頃からずっと働いていらっしゃいますが、仕事と子育ての両立で苦労はありましたか?

三越伊勢丹に入る前のヘアメイク時代は、急に子どもが病気になったときなど本当に困りました。母や義母の助けを借りたり、あとは近所のママ友とも助け合いましたね。お願いすることもあれば、私が預かったりもして。

そういう、いざというときの対策は何パターンか用意していました。半分泣きつくような感じですが(笑)。

でも、どうにかなるものです。
もちろん不安もあるけど、やってみないと分からないし何もできない。だからあまり頭であれこれ考えて二の足を踏むより、やりたいことをやってみるべきなんじゃないかと思います。臨機応変に、そのときその状況で最善を尽くせばいいんです。
「無理してでもこうしなくちゃ」というものにとらわれすぎると何もできなくなるし、子どももきっと気を遣うんじゃないかという気がしますね。

カッチリと決めすぎず、どうとでも転べるようなユルさを持っておくことも大事だと思います。でないと、できなかったときにしんどくなってしまいますから……。

子どもたちもこれまで不満がなかったわけではないと思いますが、「将来は仕事をもっていたいし、絶対に子どもがほしい」と言ってくれているので、それを聞くと、私の通ってきた道も間違いではなかったのかな、と少しほっとします。

 

お子さんたちの成長とともに、環境は変わりましたか?

子どもがだんだん大きくなってくると、手がかからなくなるだけでなく助けてくれる部分が出てきます。

家事は、よほどのとき以外は主人には手伝ってはもらいません。長女が小3ぐらいから洗濯や簡単なお料理もできるようになり、次女も手伝うようになってくれたので、とても助かっています。

自分の周りには助けてくれる人が案外いるものです。実際私も母を頼ったりして、仕事はほとんど休まずになんとかやってこられました。だから、将来的に仕事と家庭の両立を不安に思っている人には、「やってみないと分からないですよ」と言ってあげたいですね。

私の場合、子どもの行事は必ず休めたし、夏休みも毎年連休を取らせてもらっています。今の会社にいるおかげでその点はとても恵まれていたと思います。

出産して今までの働き方では上手くいかない部分が出てきたら、子育ての都合にあわせた形態でできる仕事を見つけるというのも、ひとつの手じゃないかなと思いますね。

 

従業員の約7割が女性!
三越伊勢丹ホールディングスの取り組みとは?

2017年4月時点で、育児中で時短勤務の「育児勤務者」在籍数は462名。
そんな三越伊勢丹ホールディングスでは、どのような“働きやすい環境づくり”に取り組んでいるのでしょうか?

「女性の活力で回っている会社なので、女性がより長く働ける土壌づくりのため、さまざまな支援に取り組んでいます」と、広報・河辺さん。

 

フルタイム勤務への復帰者・育児勤務者への取り組み

育児勤務期間を終えてフルタイム勤務に戻るというのはハードルが高く、そこで退職してしまう社員も少なくなかったため、「制度の整備」「情報提供」「育児勤務者本人の意識調整」に重点を置いて、さまざまな取り組みを行っています。

面談やコミュニケーションシート
仕事面での課題や、育児に関わる環境(保育園・学童保育などの状況、周囲の協力体制など)、育児勤務中と今後のキャリアプランについて、育児勤務者本人と上司で確認をします。

「ワーキングマザー・セミナー」(業務扱い)、「復職準備説明会」「育児勤務者ランチミーティング」
「保育園に入れるかどうか、入れなかった場合はどうなるのか」「子どもが病気にな
ったときはどのようなバックアップが得られるのか」といった悩みを持つ復職者の
ために、悩みを相談しあえたり、共有できたりする場を提供。

特に、ワーママ同士で情報交換ができるランチミーティングは、育児勤務者の約
75%が参加をしています。

育児勤務者の職務登用
育児勤務者が積極的に業務に取り組めるよう、育児勤務取得時期にリーダー職な
どの職務を担いたいか、ヒアリングをしています。本人の意思と社命が一致した場
合は、短時間勤務であっても職務を担うことができるのです。

 

2017年スタート!新たな取り組み

早番固定勤務制
フルタイムへの移行にあたって、最初の1年間は早番のみというシフトにできます。

テレワーク
今年5月からは、インターネットなどを駆使した在宅業務“テレワーク”も導入。スタッフや後方部門が取り入れています。

 

「今後は育児だけでなく、介護を含め、多くの従業員が何らかの事情を抱えながら勤務することが増えると思われます。少しでも女性が長く働き続けることができる環境を整えるため、さまざまな事情にあわせた働き方を検討していかなければと思います」(河辺さん)