「時間は本当にやりたいことに投資する」青木夫妻に学ぶ仕事もプライベートも充実させる方法

2016年03月30日

結婚や出産といったライフイベントは女性にとって大きな節目となります。仕事と家庭のバランスを保つには、夫の協力が欠かせません。
そこで、先輩夫婦のうらやましすぎて震える(?)ような、結婚と仕事を両立させる理想的な関係をご紹介します。みなさんがライフプランを考える際のヒントが見つかるかもしれません。

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今回ご紹介するのは、美容関係の情報サービス会社に勤める青木真理子さん(33歳)と晋作さん(33歳)ご夫婦です。妻の真理子さんは現在妊娠7カ月、妊娠9カ月になる5月から産休に入られるとのこと。

青木夫妻は、共にフルタイムで働く傍ら、休日には感性や知性を磨くため“自己投資”に時間を使い、充実した日々を過ごしています。妻の真理子さんは、学生時代に学んだメイクアップの技術を活かし、メイクを中心にトータルビューティーに関する講演・講習などを。夫の晋作さんはそんな奥さんの活動をサポートしようと、Webサイト制作やデザインの自己学習を始めたのだとか。フルタイム勤務を続けながら、私生活を充実させる時間の作り方やコツなどを伺います。

【青木さんご夫婦から学ぶ成功の秘訣】

・共働きでいる以上、互いに歩み寄り協力しあう意識を持つこと
・時間もお金も、先々を見越して計画的に割り振ること
・「なにに」「どのくらい」時間を使うべきかを決めること

妊娠をきっかけに考えた「多面的な自分」とは

真理子さんがメイクアップの活動で使っている道具の一部

真理子さんがメイクアップの活動で使っている道具の一部

–そもそも、お二人にとっての「自己投資」とはどういうことかを教えてください。

真理子さん:私にとっては、「仕事以外の時間を、一人の人間として世に役立つことに使う」ということです。でも、こんな風に思うようになったのはつい最近で、妊娠がきっかけです。
妻であり、会社員でもあり、これからは母にも…となったときに、「本来の自分」はどこに軸を置いているんだろう、と考えました。人間として、一人の女性として何をするべきか自分なりに答えを出した結果、女性が心身共に美しくなり、人生がワクワクするきっかけになるような美容の活動に至っています。感性や人間性を豊かにしてくれることに(時間を)投資していけば、妻としての自分も会社員としての自分にもプラスの影響が及ぶんじゃないか、と思ったんです。

晋作さん:僕にとっては「視点をたくさん持つための行動」ですかね。たとえば、さきほど妻も言ったように、夫としての自分のほかにも、会社員としての自分、上司や部下、他部署の方から見た自分など、なんにでも多面性があると思っていて。ですから一方向からだけでなく、さまざまな立場や分野から物事を見られるようになりたいと思っています。ただ、性格的にいろんなことをやりたがるタチでもあるんですけど(笑)。

–結婚前と結婚後で、考え方に変化があった部分があれば教えてください。

晋作さん:僕は、家庭に対する考え方がガラッと変わりました。うちの父親が仕事で帰宅は夜遅く、家事を積極的に手伝っている印象もなかったからか、僕自身も結婚とはそういうものだ、と考えている節がどこかあったんですね。
しかし一緒に暮らし始めたら、帰宅時間は妻のほうが早いとはいえ1時間ほどの差ですし、そこからさらに妻が家事を全部やるとなると、いかに大変かがわかったんです。

真理子さん:結婚1年目から徐々に家事を分担するようになって、2年目に突入した今ではほぼ半々ですね。私は、それまで仕事中心の生活だったものが、家庭を最優先に考えるようになりました。もともと好奇心旺盛で自由にやりたいことをやる性格だったのですが、結婚後は、夫の人生は私の一部でもあるんだなという思いが芽生え、サポートする立場も楽しいと思えるようになりました。

晋作さんの手料理

晋作さんの手料理

–どちらかというと家事に協力的ではなかった旦那さんの考えを変えるのは大変だったように思います。

真理子さん:働いていれば、使える時間には限りがあります。私がご飯を作ったら、その分お皿洗いよろしくね、という感じで自分が家事をする姿を見せつつ、夫にもやってもらう…というのを積み重ねていきました。

仕事が好きで、自分のやりたいことは全力できちんとやりたいですし、家庭に入って夫を全力サポートする生活もピンとこなかったので…。共働きである以上は、金銭面も家事も互いに協力して歩み寄るもの、という感覚でいましたから。ゴミ捨てなどあまり負担にならないところからお願いしたり、「一緒にやろう」と誘ったりして少しずつ、ですね。

–現在の家事分担の割合を教えてください。

晋作さん:平日は妻が料理をしてくれるので、その分洗い物は僕が担当します。料理を作った人は皿洗いが免除される暗黙のルールがあるので、休日に僕が料理を作ったときは、妻が洗い物をすることも。ゴミ捨ては出勤時間が早い僕の担当です。
洗濯は妻にお任せですが、洋服を畳むのはけっこう好きなので僕がやりますね。

真理子さん:自動乾燥機能付の洗濯機に買い換えたら、干す作業の分担でモメなくなりました(笑)。

今年のテーマは「計画性」無駄遣いを防ぐには“封筒管理”がポイントに!?

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–真理子さんの理想どおり、家事はうまく分担できているようですね。金銭面ではどうですか?

晋作さん:家賃、光熱費、自分のランチや必要な物などは僕の財布から出しています。
真理子さん:食費や日用品、その他自分に関係するものは私が払っていて、二人の外食費や交際費は共通のお財布から出していますね。
共働き夫婦だと、このあたりの計算がどんぶり勘定になってしまうことってあると思うんです。だけど、それだと月にどのくらいなにに使ったかが見えなくなってしまうんですよね。結婚を機に、一度ファイナンシャルプランナーに家計を見てもらい、「青木家の幸せ人生計画」という80歳まで生きたときのマネープランを設計してもらってから細かく管理するようになりました。

具体的には、「食費」「固定費(家賃・水道光熱費など)」「美容・衣服費」「日用品」「医療費」「それぞれお小遣い」の5項目、プラス夫婦共通の「交際費」「外食費」、「自己投資用の書籍費」それぞれの封筒を用意して予算を管理しています。現金で管理しているのは項目ごとにお金の動きを把握しやすくするためです。共通の書籍費は月に1万5,000円ほど。私の活動に必要なメイク道具も大体1万5,000円を目安に、今まで試したことのないものを買うようにしていますね。

実際に使っている家計簿と封筒の一部

実際に使っている家計簿と封筒の一部

–お財布を別にしたり、細かく管理したりするメリットはなんでしょう?

真理子さん:その月にどんなイベントがあってどれだけ出費しそうか、というのを事前に意識するようになりました。計画的に、使いたいところできちんと使えるようになったと思います。デメリットは特に感じていませんが、強いていえば封筒の管理が少しめんどうなのと外で出すのが恥ずかしいくらいですかね(笑)。

–共働きでいることのメリットはなんだと思いますか?

晋作さん:良い意味で、対等な関係でいられることじゃないでしょうか。専業主婦の方だと、夫をサポートしなきゃ、とか家事は私がしなきゃ、などと背負い込みすぎてしまうこともあると思うんです。しかし共働きでは、そうはならない。

真理子さん:お互いの立場を理解でき、自然と思いやれるようになると思います。私も働いているからこそ、仕事の大変さがわかりますし、帰りが多少遅くても文句を言わないように気をつけています。「仕事もしているのに家事もやってくれている」、という夫からの感謝の気持ちと交換し合えるような気がします。

晋作さん:時間的な余裕は少ないけれど、その代わり時間をムダにしないように生活し、相手に感謝できる心の余裕ができた気がします。

「時間」を自分のやりたいことに投資する

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–仕事以外の時間はどんな風に過ごしていますか?

真理子さん:土日のどちらかは勉強やメイクの活動をする日にしています。ひたすら本を読んだり美容や健康に関係する商品を買ってきて試したりして、もう一日は友人に会ったり、夫はサーフィンに行ったりしてリフレッシュして過ごします。

晋作さん:僕は通勤の往復二時間はインプットの時間にしています。朝の30分は新聞を読んで、残りの20分くらいは英語の勉強。帰りの時間は、毎回「学びのテーマ」を決めて、30分ほどはそのことについて勉強し、残りの時間は読書。週に2冊は読むと決めているんです。

–そんな風に、仕事以外の時間を充実させようと思ったきっかけはなんだったのでしょう。

真理子さん:最近だとやはり妊娠が大きなきかっけになっていると思います。子どもが生まれるとなかなか一人の時間を確保するのは難しくなるので、いま自分のためになにをするべきか、という意識が大きいですね。

晋作さん:僕は30歳を迎えて、だらだらと飲みに行くことに興味がなくなった、というのが大きいですかね。大人になるにつれて自由にできる時間はどんどん減っていくので、だったらその時間を貴重な経験に費やしたいな、と。そして行き着いたのが「勉強」と「運動」だったんですね。なんか子どもみたいですけど(笑)、心と体を整えたいなと思ったのです。

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–それによって、どんな変化や得るものがありましたか?

真理子さん:自分にとっての「やりたいこと」が明確になったことで、周囲の人にもそれを理解して応援してもらえるようになりましたね。必然的にチャンスが増えたというか、自分の中でわかりやすくビジョンを持ったことで、いつか会いたいなと思っていた人と出会えたり、いつかチャレンジしてみたいと思っていたことをオファーしていただいたりと、人脈も行動も広がったように思います。夫との会話も中身が変わり、いい影響がいっぱいです。

晋作さん:今までは、例えばホームページを作るときのデザインや、仕組みの部分にはあまり興味はありませんでした。わからないことはプロに任せていればいい、と思っていたんです。だけど、今は関わる人の仕事内容をより深く理解したいと思うようになりましたし、そのほうが仕事もスムーズにいきます。学びと仕事が結びつくことでいい相乗効果が生まれているように思います。

–フルタイムワークと両立させるために取り組んでいることを教えてください。

真理子さん:職場の上司や同僚に「ご飯を作って夫の帰りを待っていてあげたい」というように、理想の働き方や考え方を普段から伝えるようにしました。成果やパフォーマンスを下げてはいけないので、手探りで働き方を工夫しています。まだ子どものいない家庭だと特に、働き方を周りに理解してもらったり協力してもらったりすることを遠慮しがちですが、「自分が大事にしたいことはなんなのか」をきちんと伝えておくべきだと思います。あとは、毎日の献立は通勤時間中に決めてしまいます。メニューや手順、どのタイミングで作り始めたら夫の帰宅時間に合わせられるかなども含めて、計画しておきますね。

晋作さん: 1時間ほど早めに出社して、周りが静かなうちに集中して事務作業などをこなすようにしています。あと、個人的にオススメしたいのは禁煙です。禁煙したおかげで、1日2時間くらいは使える時間が増えたので。

U29女子へのアドバイス「周りの目は気にせず、自分の気持ちに素直になる」

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–最後に、U29女子へのアドバイスをお願いします。

真理子さん:自分に素直になるのが一番だと思います。周囲の目を気にするのではなく、一人の人間として、自分が大切にしたいと思うことに素直に取り組んで、ちょっと欲張りなくらいでもいいと思うんです。年齢や結婚などで自分に制限をかけず、好奇心を持って色々なことに挑戦すると、より30代が楽しくなるんじゃないかと思います。

夫婦円満のためには、「この人はこういう人だから」と決めつけて、諦めてしまわないことですね。もしかしたら、相手も変わろうと頑張ってくれているかもしれない。「どうせ言っても変わらない」と決めつけてしまうと、ちょっとした変化にも気づけなくなってしまうと思うので。ケンカは増えてしまうかもしれませんが、その瞬間瞬間に何を思っているかお互い言葉にし、話を聞こうと努力することが大事だと思います。

晋作さん:どこかで「決断する」ことが大事かな、と思います。いろんな選択肢ややりたいことがあるなかで、どれもこれも…となるとすべて中途半端になってしまうし、時間にも限りがあります。自分はどう生きるのか、何がしたいのか、数ある選択肢の中から少しずつ決めていって、そこに時間を投資していくようにするといいのではないでしょうか。

 

(木村衣里/プレスラボ)