突撃!ワークライフバランスの現場訪問!この会社の短時間勤務制度がスゴイ

2016年01月20日

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3歳未満の子を育てている労働者への「短時間勤務制度(時短勤務)」は、法律で定められているもの。しかし子どもが3歳になったらどうすればいいのでしょう?
インターネットサービス基盤事業を展開する株式会社クララオンラインの時短勤務は、子どもの年齢に応じて、社員の要望に応じています。どのように育児支援に取り組んでいるのか、アドミニストレーション部の林寛子さんと、3人の子どもを持ち、実際に時短制度を利用している植木しのぶさんにお話を伺ってきました。

クララオンラインについて

インターネットサーバやクラウドサービス運用、インターネットやゲーム関連のビジネスコンサルティング事業を日本だけでなくアジアでも展開している株式会社クララオンライン(以下、クララオンライン)。社員は約60名、そのうち女性は20名ほどで、子どもをお持ちの方は全社員のうち16名です。

クララオンラインの時短勤務とは?

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ほかの企業と同様に、育児のための時短勤務があるのはクララオンラインも同じ。しかしこちらでは、2010年の時短制度導入当初から、子どもの年齢に応じて対応しています。

「当社の育児支援は、子どもの年齢に応じた対応ができることが特徴的だと思います。法律で定められている時短勤務は3歳未満の子を持つ場合ですが、当社は3歳を過ぎてからはもちろん、小学校に入っても希望に応じて、勤務時間の変更ができます。つまり必要であれば、応相談っていうことなんです。

例えば、保育園が夜間にも対応しているところに入れればその期間は時短勤務の必要はなく、小学生になったら預けられるところがないから時短勤務にしたいというというように、時短勤務で働きたいタイミングは人それぞれですよね。子どもの年齢に応じて、上長や人事に相談して、OKがもらえれば時短勤務が可能という形にしています。子どもが大きくなっても、必要であれば相談のうえ取得可能です。

2000年代前半、時短勤務制度をつくる前には、会社の規模が大きくなかったことから、一度保育園にお迎えに行ってから子どもを連れてオフィスに戻るといった勤務をしていた社員がいたこともあります。何においても、様々な社員の事情に柔軟に対応するという社風なんです」(林さん)

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3人のお子さんを育てている植木しのぶさんの一番下の子は小学1年生、一人で留守番させるのもまだ心配な年齢です。クララオンラインの時短勤務はどのような働き方なのでしょうか。

「当社の就業時間は9時30分から18時30分まで。私の場合は17時30分が終業です。私が入社したのは一番下の子が1歳のときで、パートとして1日6時間半の勤務でした。その2年後、契約社員を経て現在は1日7時間で約4年間時短勤務を続けています。

下の子がまだ保育園に通っていたときは、18時頃のお迎えに合わせられるし、子どもたちが学校に通いだしてからも、夕食の支度や入浴、学習の補助、就寝といった子どもの生活リズムを崩さないよう、夕方の貴重な1時間を有効に活用できるので、ありがたいですね。時短勤務をそろそろ終えても大丈夫かなと思ったら、そのときに上司と相談するつもりです」(植木さん)

企業にとっての時短勤務のメリットは、優秀な人材の流出防止。目まぐるしいスピードで成長しているIT業界にとって、スキルや知識のある人員がいなくなることはデメリットでしかありません。出産後も働いてくれる、長く勤務し続けてくれるスタッフは、何よりの資産だと考えています。

育児休暇の始まりは社長から

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そして気になる育児休暇について。クララオンラインでは、通常であれば子どもが1歳まで、保育園に入れられないなどの特別な事情がある場合は1歳6カ月まで、何度でも育児休暇の申請が可能。たとえば、「最初に夫が育児休暇を取得し、その後別の会社に勤めている妻が育児休暇を取得、妻の職場が忙しくなり復職する必要があっため、再度夫が育児休暇を取る」といったことも相談できます。

クララオンラインで最初に育児休暇を利用したのは、なんと代表取締役社長の家本賢太郎氏。第一子だったこともあり、生まれたばかりのときは1週間ほど育児休暇を取得したそう。

「女性のためにというだけでなく、自らが育児に専念したいという気持ちがあったのだと思います。クララオンラインの特徴として育児に関する制度でも、はじめに男性が積極的に取得する傾向がありますね」(林さん)

また全従業員が取れる制度として、「1時間単位での有給休暇」があるのもクララオンラインの特徴。どうしても役所や病院に行きたい、子どもの学校に数時間行く必要があるなど、様々な状況に使えるそう。

「もともとは半日有給休暇だったものが1/4日有給休暇になり、1時間の有給休暇制度に移行しました。半休を消化するほどではないときにとても便利で、社員にも好評ですね」
(林さん)

クララオンラインには、決まったお盆休みがありません。その代わり好きな時に3日連続の休暇を取れるリフレッシュ休暇というものを設けています。外国籍の社員も多く、春節や国慶節など、国籍やその文化によっても休暇の取り方は様々。リフレッシュ休暇をうまく利用して長期休暇が取りやすいようになっています。

子どもたちが会社訪問! ファミリーデーを企画

出産後も無理のない範囲で働いてもらうことを願っているクララオンライン。制度だけでなく、みんなが楽しめる行事も生まれつつあります。復職を控えた出産育児休暇中の社員が子どもを連れて会社にやってくることも歓迎しているそう。ひさしぶりに復職したら会社に知らない人ばかり、ということのないよう、復職前から顔見知りになっておくことを目的としています。

「生まれたばかりの子どもの顔を見ると、復職後に周りが『子どものために早く帰らないとね』って思えるようになるんです。小さい子どもが会社にやってくると、みんな心が和むというのもありますけどね(笑)」(林さん)

さらに、従業員の子どもたちが会社訪問をする「ファミリーデー」も行われました。下は赤ちゃんから上は小学生まで。IT企業を体感してもらうために、会議室にいる子どもたちと別室の社員たちがテレビ電話で会話をしたり、名刺をもらったり。パパやママがどんな会社でどんなふうに働いているのか、子どもたちにとってはイメージがしやすくなったことでしょう。

「うちの子どもは家に帰ってから、兄弟たちに名刺を自慢していました(笑)。たまに残業になってしまうときでも、『お母さんは今あんな風に仕事をしているんだな』と、子どもにとっても想像がしやすい。やってよかったなって思いますし、今後も開催を検討したいです」(植木さん)

まとめ

国の制度として義務づけられている「時短制度」ですが、法律上子どもが3歳未満の人しか取得できません。一般的に公的な学童保育は18時まで、そもそも学童保育の数も少ないなど、小学校入学と同時に子どもの預け先がなくなってしまう、いわゆる『小1の壁』問題も、まだまだ深刻な状態です。その中で、子の年齢に制限を決めず、必要であれば都度相談しながら柔軟に利用できるクララオンラインのような「時短制度」は、今後結婚・出産をしていきたいと考えているU29女子にとっても、心強い制度なのではないでしょうか。